現在は飛散性アスベストの使用は認められていませんが、過去にアスベストを使用していた建物が、解体の時期になってきています。

 それでは、飛散性アスベストを使用している建物の解体の課題とはなんでしょうか。

■大田体育館の場合

 例えば、現在、大田体育館は、建替えのため解体工事を行っています。
 大田体育館には飛散性アスベストが使用されています。
 アスベストを除去するためには、特殊な資格が必要なため、一般に、解体を行う業者とアスベストを除去する業者は異なります。

■「解体工事」と「飛散性アスベストの除去工事」を一括発注

 大田区は、体育館の「解体工事」と「飛散性アスベストの除去」という異なる作業を、一括して発注しています。
 その結果、大田区では、解体業者が「解体工事」と「飛散性アスベストの除去工事」の二つの工事を受注し、「飛散性アスベストの除去工事」を下請け業者に再発注しています。

■一括発注の問題
 
 異なるふたつの作業を一括で発注することのメリットについて大田区に確認しましたが、明確な回答を得ることはできませんでした。
 
 一方で、「解体工事」と「アスベストの除去工事」について大田区は、きちんと積算しています。しかし、実際に工事を受注するのは、元受である「解体業者」や「ゼネコン」であるため「アスベスト業者」がいくらで下請けしているのか大田区でも把握していません。

 十分な費用で工事を行わなければ、資格や経験の不十分な作業員が、アスベスト除去作業に従事することにもなりかねません。

 大田区は、安いからと言って安全な工事ができないことにはならないと言いますが、果たしてそうでしょうか。

 特に、原油高騰の昨今では、アスベスト除去作業に使用する資材=除去する部分を密封するシートなどが高騰していて、劣悪な(=薄い)資材を使用して工事を行うケースも見られるそうです。

■国交省も問題視

 こうした、アスベストを使用している建物の解体工事の際に、解体業者やゼネコンに一括発注し、アスベスト除去工事は、下請けに発注する方法は、大田区だけでなく、全国で同様の方法が取られており、国土交通省も問題視しています。

 発注のこうした元受=下請け関係は、自治体の工事のみならず、あらゆる解体工事でも同様の形態がとられているため、国土交通省として「制度改正」に乗り出しています。

■問題点を認識し、制度改正を待たず対処を

 大田区としても、問題を認識し、早急に発注形態を改善することが早急に求められます。
 
 制度改正を待たず、特に、自治体の発注形態を改善することで、民間工事の契約も変えていかなければ、安全な工事にもつながっていかないでしょう。


なかのひと