■建物解体現場でのアスベスト飛散防止策は不十分■

 第三回定例会で建物解体時にアスベスト建材がきちんと分別されないために解体現場で飛散すること。そして、それが、建設廃棄物リサイクル法に基づきアスベスト入り「再生砕石」となって大田体育館の公共事業も含め工事現場で使われていることを指摘しました。
市民団体が調査したところ、196か所の「再生砕石」使用現場の約99%からアスベスト入りの建材が検出されています。
 このことは、建物解体におけるアスベスト処理が十分でないことを意味します。大田区では、年間200弱の解体届け出がありますが、そのうちアスベスト有りとしている届けはわずかです。今後、全国で、アスベストを使用した建材が年間約100万トン、ピーク時には130万トン排出されるという試算があります。大雑把ですが、おおよその目安として単純に大田区の人口割合いから試算すると約7000千トンのアスベスト入り建材が排出されることになります。それにしては、信じられないほどに少ない届け出件数で、建物に使用されているアスベスト入り建材がどう処分されているのか大変心配になります。

■大田区の公金が投入されている特養建設予定現場でもずさんな解体■

 先日も、アスベストの使われている建物の解体について心配されている区民から連絡をいただき現場に行きました。本来水をかけ手壊ししなければならない波型スレートと呼ばれるアスベスト入りの建材が、木材などとゴチャゴチャに混ざって放置されていました。
 その現場は大田区が条例改正して施設建設費補助を出している施設建設現場です。直接補助金がこの解体に使われていないとはいえ、特養建設のため、条例改正して特別に税金投入した施主の関わる解体でさえこのような状況であることは、他の多くの解体を安全に行わせることのむずかしさを示す良い事例ではないでしょうか。

■行政の不十分な監視体制■

 第三回定例会において池上旧トーヨーボール解体・アスベスト除去工事において、住民が要望しているにも関わらず、説明会さえ開催しようとしない事業者を大田区は指導すべきであると発言しました。区長の地元であることから区長にも地元住民が大変心配しているので対応を要望しました。しかし、残念ながら、区は指導を行わず、住民自らが地域に呼びかけ、業者を招いて、住民主催で説明会を開催しなくてはなりませんでした。
 説明会は、地域の関心も高く、80人までは数えたが・・ということで、参加者80人としていますが、100人は集まりましたねと言う参加者もいました。

 住民が苦労して開催した説明会でしたが開催したことで大きな成果がありました。事業者が吹き付け材の存在を知りながら、法で定められている事前調査を行わず、アスベスト除去、および解体工事に入っていることが判明したのです。

 私が、11月11日の都市環境委員会において、事前調査を定める「大気汚染防止法」及び「石綿障害予防規則」違反ではないかと指摘いたしましたが、区は調査をせず工事を進めることに問題はないと答弁しています。

■大田労働基準監督署が入りようやく不十分な事前調査が認められる■
 そこで、大田区労働基準監督署に同様の指摘をしたところ、労基が現場を確認し、業者はアスベストの再調査をすることになりました。11月17日〜アスベスト除去・解体全ての工事が止まっています。
 
 第一回住民説明会の場における事業者の説明は、根拠となる資料も不十分で、どこをどのように調査した結果、どの場所にどんな(例えばレベル1〜3、或いは、白石綿なのか茶なのか青なのかなどの)種類のどれくらいの量のアスベストがあるのか、そして、それをどのように除去し、粉塵濃度を測定し、除去したアスベストを保管し、処分場へ持ち込むのかという一連の作業が確実に行われる確証を持つことができませんでした。
 業者は適正に処理すると言葉で繰り返しましたが、結果として、十分な調査が行われず、アスベスト調査をやり直しているのです。これまでの経緯や、この件によって、住民の「事業者」と「大田区」への信頼は大きく損なわれています。

■先進自治体の例から■
    〜第三者機関による点検で安心・安全なアスベスト除去を〜

 これと同様のケースが新宿区で起きています。厚生年金会館が解体になり、不安に思った近隣住民が調査の不備を指摘した結果、区の立ち会いのもと、第三者機関が事前調査を行っています。厚生年金会館のケースでは、第三者機関が調査したことにで、事業者が届け出ていない大量のアスベスト建材が見つかっています。

 そこで質問します。池上旧トーヨーボウルにおいても、新宿区が行ったように区や労基署立会いの下、第三者機関が建物内のアスベスト調査を十分に行ったうえで再開するべきと考えますがいかがでしょうか。業者の言うとおり無いのであれば、それが確かに無かったことを確認する安心を担保させるための作業であり、何ら問題は無いと地域住民も考えています。このまま強硬に工事を行えば、風評が立ちかねず、地域は混乱します。万が一にも不可能な場合には、その理由を住民が納得するようにご説明ください。

■解体工事のダンピングがもたらすもの■

 解体現場におけるアスベスト処理は、今や、お金をかけない方向に進むばかりです。到底安全な工事などできない㎡あたり¥3000と言った金額で受けざるを得ない現状により結果として、不利益をこうむるのは安値で請け負う下請け、孫請けとそこで雇われ危険な作業に従事せざるを得ない労働者そして区民です。

 そこで質問します。現在、大田区では、アスベスト除去工事は解体工事と一括で発注されますが、結果として、アスベスト除去工事が安価で買いたたかれる可能性を否定できません。国土交通省でも以前から解体工事におけるアスベスト除去の分離発注をうたっています。まず、公共工事がアスベスト処理に費用をかけることを示す必要があるのではないでしょうか。

 アスベスト処理の安全を確保する立場である行政の強い規制と指導が必要です。こうした象徴的な大規模解体工事において、区が毅然とした態度で臨むことこそが、解体事業者に緊張感を与え、今後の大田区の解体工事のレベルアップにもつながります。


なかのひと