都知事選挙がスタートした。 原発が都知事選の争点にふさわしいかといった議論もあるが、それでは、都政と国政は、無関係だろうか。
私は、特に、今回の都知事選挙は、この原発問題を除いても、法人住民税の国税化、国家戦略特区など、国政を左右する大きなカギを握っていると考えている。

【1】法人住民税の一部国税化
平成26年度から、法人住民税の一部が国税化される。 この問題は、地方法人税の偏在是正という名目が示しているように、大企業の本社が数多く位置する東京都への影響が大きく、減収は1,000億円とも報道されている。 ところが、この影響額の多くを、23区がこうむることについては、意外と知られていないのではないだろうか。
一般会計予算規模2300億円程度の大田区で、影響額が約40億円という声も聞こえてきている。東京都と23区の政治課題(事務)は異なるわけだが、子育てや介護、障害といった社会保障の主体的な責任は、実は23区にある。一口に区と言うが、区が社会保障サービスの目減りという形で負担することになる可能性が高い。
石原都知事の時代の法人事業税の国税化など、富裕団体としてその豊かな財源を狙われてきた東京都だが、最後は、自ら傷を負わず、内部団体である23区に負担を押し付けた形だ。
しかし、それでは、国から富裕団体と決め打ちされた都民、特に23区民は、富裕団体にふさわしいサービスを受けているだろうか。
保育園の待機児は、全国でも一番深刻なのが23区だし、介護移住や介護難民と言った問題も23区に起きているが、土地が高いから、人が多いからと我慢させられている。富裕団体とはいったい何なのだろうか。
国税化に問題があるのか、東京都の使い途が問題なのか。都知事選でうやむやにせず、取り組む必要がある。
【2】国家戦略特区
TPP批准のかげで、着々と進められている規制緩和の既成事実化が、国家戦略特区だ。国際条約であるTPPに批准し、実効性あるものにするには法整備が必要だからだ。
国家戦略特区法が成立し、今後、規制緩和の決定システムが大きく変わる。
国家戦略特区の区域の指定や方針の策定などは、内閣総理大臣はじめとした大臣に加え、国家戦略特区を提案した竹中平蔵氏など民間有識者等で占める国家戦略特区諮問会議や区域会議にゆだねられる。
規制緩和を求める企業等が提案し、規制緩和を推進したい諮問会議民間議員が決める、竹中氏が言うところのミニ独立政府ができたことになる。
まずは、今後、2年以内に、
・雇用の流動化(非正規で雇い続けられる) ・医療法人や社会福祉法人や学校法人などがほぼ独占的に担ってきた分野における株式会社の参入(株式会社による、病院、特別養護老人ホーム・障害者施設、公立学校の運営を可能にする) ・道路や上下水道などの公共サービスにおける株式会社への独占的な営業権授与(コンセッション方式)
などの突破が試みられるだろう。
たとえ、TPPに批准しなくとも、国家戦略特区のしくみなら、ISD条項などを除けば、TPPに批准したのとほぼ同じ状況を作ることは可能になる。
一方、突破という言葉が示すように、国家戦略特区を提案した竹中氏本人も法律論上は難しい点を含んでいると言っている。法改正により行うべき規制緩和を、議会を通さず行おうというのだから当然である。
今後の規制緩和における都知事の役割は非常に大きい。