大田区では、現在、絶対高さ制限を導入するための検討を続けている。

1月17日の有識者会議での議論をうけ、基本的な考え方を現在まとめる作業を行っている段階だ。
そこで、大田区の絶対高さ制限が、より有効なものになるよう、大田区まちづくり政策フォーラムでは、絶対高さ制限の意味や他自治体の状況を学ぶ機会を設けた。
フォーラム開催をうけ、大田区が公表してきた資料や、有識者会議での議論についての論点をまとめた。 _______________________________________
有識者会議を傍聴し、有識者の議論とは別に、大田区の思惑というものがあり、事務局であるはずの大田区が作りたい絶対高さ制限を示しているという印象を受けた。
たとえば、個別具体的な高さ制限適用除外地の区域をあげることについて、有識者会議の柳沢厚会長から「現段階では早い」ので、削除するよう指示があった。
確かに、1月17日の会議で、区内の特徴的な建築紛争などの区域を何箇所か視察に行くことを決めていたから、適用除外地域の具体的な個所決めが有識者に出来るはずもなく、これが、区長の考えなのか事務局なのかはわからないが、大田区としての希望だろう。
こうした大田区としての思惑が見てとれる部分は、この適用除外区域の事例だけでなく、高さ制限の目的やの基準値の算出方法など、技術的な部分について他区の事例と比較してもわかる。
大田区の絶対高さ制限は、どのような問題があるだろうか。
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①目的があいまい。
結果、目的に必要な形で絶対高さを導入することができていない。 
②規制値を算出するまでの算定が高め高めの数値になっている。   特例の枠も広い。
結果、地域環境に資する高い建築物を認めると言った誘導策を行えない。 

③適用除外地域の指定が恣意的。 他自治体では、商業地とか工業地、駅前など、一定要件ですっぱり定めているが、大田区の場合、有識者との議論もせず、境界までくっきりと指定して出てきている。
適用除外地域があることでの、周辺への影響をきちんと考えるべきだが、それ以前に、行政としての公平性という観点から大きな問題があると言えるだろう。
第一回目の区民説明会において、適用除外地域として指定する合理的理由は?という私の指摘に対し、これから考えると答えている。その後、説明会のたびに、説明が変わっていたと傍聴者から聞いているが、地域ありきの適用除外など、他自治体では無いことのようだ。
④ ①~③などにより、何がしたいか見えず(もともと目的があいまいではあるが)、制限することでの効果も期待できない。
最後に講師から、高さを導入する際の留意点について聞いた。
高さを導入する際の留意点
1.航空測量データなどによる正確な高さの把握。  これは、GPSデータが有るらしい。  大田区もGPSは導入しており、こうした時に、予算を投入し、せっかく導入したシステムを活用すべきだろう。    2.高層建築物の現状の把握 
3.特例適用にあたっての現実面でのチェック。モデルでのシミュレーションの実施。 
4.きめ細かい規制は地区計画の手法で。 
5.規制と誘導=ムチと飴のバランス。 ______________________________________

目的と高さ制限規制値の考え方 ~他自治体の事例~ 
■目黒区■
いったん高めに作った高さ制限では紛争が絶えず、住民からも不評で低めに再設定している。 世田谷区の高さ制限は、高めに見えるが、高さ10mの第一種低層地域も多い。また、基本的には地区計画策定を住民に促す方針。また、練馬区は、低めで設定し良好な建築物へ誘導するという手法をとっている。
■江戸川区■ 用途が工業場合、日影斜線規制がかからないため、敷地の大きさとの関係で高い建物が建つ可能性がある。そもそも、工業に斜線規制をかけなかったのは、煙突などのためだが、昨今は、工業用途の地域にも宅地化しており、用途と実態が変わってきている。そこで、江戸川区では、用途変更を行い、住居に変えて、実態と合わせている。
■川崎市■ 上記、工業用途の場合、川崎市では、住宅を建設する時に斜線規制をかける都市計画決定をしている。 ものづくりのまちとそうでない自治体との差とも言えるかもしれない。
しかし、大田区では、昨今、臨海部の京浜島、城南島、昭和島3島で土地利用に関る協議会が発足している。住宅ではないが、ものづくりから、廃棄物処理業や倉庫業へと業態変化している実態に合わせた検討が始まったということだろう。
とするならば、工業にかからない斜線規制だが、宅地として利用されている実態に合わせる工夫も必要な時期だろう。
■世田谷区■
高めの高さ制限が意外だったが、住宅地の多くが10mの高さ制限がかかっていることや、その他の地域は、地区計画を策定することでまちなみを誘導するという方針だと聞いた。
これもまた、合理的な考え方だろう。
大田区のように、住民が手間暇(アンケート調査や素案作成など)金(権利関係を確認するための登記簿)をかけて案を提出しても、何年も放置するといった不作為まがいのことはしないのだろう。
高めの算定方法
大田区の場合、規制値算定方法が高めになっている。  たとえば、平均の階数を計算するのに、容積率をけんぺい率で割ればよいのに
けんぺい率/容積率= 50/100  ⇒2階
実際のけんぺい率を容積率で割っている。

たとえば、あるお宅のけんぺい率が、40%だったとすると 100÷40=2.5
これで、2階建てのところでも、2階より高めの数値が出ることになる。

固定資産税と絶対高さ制限
特に絶対高さ制限に関り興味深かったのが、固定資産税との関係。 区はパブリックコメントで”基本的に影響ない”と回答した。
講師に尋ねたところ、その部分は良く議論になるが、正論から言えばまちなみが良くなり上がるはずだが、土地利用制限がかかるので下がるのではないかということだった。
土地評価の要因は多く、明確な回答は出せないようだ。