法人住民税6,000億円を国税化して地方交付税と再配分すると聞いてぶっとんだ。
しかし、次の瞬間、都議会が猪瀬都知事バッシングに熱心な理由がちょっとわかった気がした。
なぜなら、この6,000億円の大部分が東京都の税収である可能性が極めて高いから。そして、この方針を示しているのが、自民党税制調査会だから。
自民党自らが東京富裕論を認めた形だ。
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報道は、以下の通り。 毎日新聞 2013年12月09日 22時33分より
自民税調:法人住民税6000億円を国税化、再配分  自民党税制調査会は9日、来年4月の消費税率8%への引き上げに伴い、法人住民税(地方税)のうち約6000億円を国税化し、地方交付税として自治体に再配分する方針を固めた。
税率10%段階で国税化分を1兆円程度まで拡大することも検討している。
消費増税で自治体間の財政力格差が広がり、企業などが多い都市部に税源が偏るのを補正するのが狙い。
 消費税の地方分は税率8%段階で現行の1%から1.7%に増える。
これによって、地方交付税の交付団体は税収増で交付税が減るのに対し、東京都などの不交付団体は税収が純増になり、自治体間で格差が広がると指摘されている。
約6000億円は法人住民税収全体の約4分の1にあたる。
東京都が法人住民税の国税化に反対していることから、政府は、法人事業税(都道府県税)の約半分を国税化して再配分する地方法人特別税を、税率8%段階で縮小、10%段階で廃止する方針だ。【念佛明奈】
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【法人住民税6,000億円の国税化で影響を受けるのは東京都?23区?】
なぜ、おもに東京都の税収だと思うかと言えば、地方交付税として再配分するのが目的だから。地方交付税として再配分するということは、交付団体が対象になるということはありえない。
今や、不交付団体は、全国に49しか無い。東京都と48市町村だ。 ちなみに、この48市町村に原発立地自治体が少なからず見られるのも興味深い。
東京都は、それまでも富裕団体としてその財源を「あて」にされてきており、これが初めてではない。 記事にもある通り、すでに法人事業税の一部は国税化されている。
平成25年度の東京都の法人住民税は5,479億円。報道によれば、国税化される法人住民税の総額は6,000億円ということで、東京都以外の48市町村の法人住民税の総額がどの程度になるのかデータはないが、東京都の財源がかなりの部分を占めるのは否定できないだろう。
しかし、法人事業税は、東京都の財源の問題だったが、法人住民税となるとその影響は東京都だけでなく23区にも及ぶ。
そもそも法人住民税は、市町村の財源だが、東京23区は、都区財政調整制度という特別な仕組みをとっているからだ。 法人住民税に加え固定資産税等は、いったん東京都が徴収したのち、45%は東京都がとり、55%、は、国と地方のように東京都が需要を算定し、不足分を23区各区に配分する。 
平成25年の法人住民税5,479億円は、東京都に2,466億円、23区に3,013億円という計算になる。
不交付団体49自治体で、この国税化される6,000億円をどう分担するのか非常に気になるところだ。
【東京富裕論を自民党税調が認めたかたち】
これまで、東京都は、東京都富裕論、東京都地方の財政力格差是正論に対し、「需要がある」「地域間格差をうめるのは交付税の役割」などと反論してきている。
しかし、東京都議会与党である自民党が、この法人住民税6000億円の国税化方針をうちたてているのだ。
法人事業税の国税化の暫定措置撤廃と主張しながら、一方で、東京都が富裕であることを自民党自ら認めている形だ。
【富裕論のかげで不足するサービス】
確かに、オリンピック招致のための基金4,000億円は、平成18年から4年にわたり、毎年1,000億円ずつ積み立てているし、国家戦略特区に手を挙げているアジアヘッドクオーター特区における税財政措置のうち法人事業税、固定資産税は、100%減免するなど余裕が感じられる。 あるいは、東京都の主張する需要とは、私の考える都市の機能に必須というよりは、あったら快適、便利、いいなというたぐのものかも知れない。
しかし、一方で、都民、特に23区民のくらしにも「ゆとり」が感じられる施策が講じられているかと言えば、日本で一番地価が高く=固定資産税収が多い、大企業が集中し=法人事業税住民税が多い、人口も多くて=住民税が多い、税収の豊かな都心部に暮らしながら、保育園、特別養護老人ホームと福祉課題ばかりが積み残されている。
東京都の税収は豊かだからと法人住民税の一部が国税化されれば、都民・区民の生活に関る事業に影響が無いと言えるだろうか。
消費税が決まる前の東京都の試算では、東京都の消費税地方交付分の増収見込みは2,200億円。大田区の増収見込みは300億円になる。
消費税増税分は社会保障のためという政府の説明通り、東京都に深刻な待機児対策や高齢者対策に投入されるものだとばかり思っていたが、法人住民税が地方交付金の財源として国税化されれば、期待はまたもや裏切られる。消費税増税分、あるいは、アベノミクス効果で、法人住民税の一部国税化は補って余りある増収を期待できるのだろうか。
それとも、オリンピック関連・周辺インフラ整備は、海外含めた民間投資による道筋がついたから、これまで投入されてきたインフラ投入分が社会保障にまわるということなのだろうか。
【猪瀬都知事バッシング一色の都議会】
猪瀬都知事が徳洲会から5,000万円を無利子・無担保で受け取ったことは、公職にあるものとして論外であり、明らかに政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例違反だろう。
しかし、その陰で、都議会与党、政権与党の自民党税制調査会が、東京富裕論を認める形で法人住民税の国税化方針を打ち立てているのだ。
【法人住民税の国税化、都議会での議論の高まりを期待】 
東京富裕論を認めるなら、経済のけん引役として位置づけられている東京都が、なぜ、こうも多くの都民生活にかかわる課題ばかりを積み残しているのか、これまで否定してきた東京富裕論をここにきて一転した根拠はどこにあるのか、都市の需要と言って投入してきた財源とは一体なんだったのか、今こそ都議会で議論すべきではないだろうか。