月一回ならと気軽に引き受けた連載記事ですが、掲載内容と締め切りに苦労しながら書いています。
それでも、第一回の記事を読んでくださったガバナンスの連載を持つライターの方から「まちづくりの会」への取材依頼を受けるなど嬉しい反響もあり、やりがいも感じています。
以下、第2回連載記事の全文を掲載します。
【ステップアップした市民運動】
〜ニーズの対峙への気付き〜
「やさしいまちづくりの会」に様々な人が参加していることは前にも書きました。骨形成不全で車いすAさん。脳性まひのKさん。脊椎損傷のMさん。弱視のKさん。全盲のOさん。聴覚障害のTさん。奥様が車いすのIさん。子育て中のKさん。福祉施設にお勤めのTさん。ヘルパーのMさん。元バリアフリー関係の企業にいたSさん。大企業の社会貢献室にお勤めのTさん、等々・・・・。
”バリアフリー”というキーワードのもとに集まったメンバーですが、当初は、会議をしても話題が本筋から離れ、個々の障害や課題にいってしまうなど、議事の進行もスムーズではありませんでした。
【解決策を提示する段階に】
仕事をもっている人を配慮して18時30分から始まる会議の終了が21時をまわることも度々でした。
こうした市民活動が、いわゆる要求型になって、行政に対して「あれをして欲しい」「ここをこうして欲しい」という段階にとどまりがちであることは、よく聞く話です。私の尊敬する日本社会福祉大学客員教授の後藤芳一先生によれば1声を上げる2問題点を指摘する3解決策を提示する4経済的実現可能性まで考察する、と4ステージに進化していくわけですが、「まちづくりの会」のスタートは、それぞれが、思い思いの声を上げるだけの段階=つまりステージ1以前だったといえるでしょう。
現在の私たちは、ようやく3の段階にたどりつこうとしているところでしょうか。
それでは、私たち「やさしいまちづくりの会」はどのようにして、1未満から3の段階にまで進化することが出来たのでしょうか。私は、それは、この組織が、バリアフリーのまちづくりという同じ目的を持つ仲間で集まっていたものの、それぞれのバリアフリーの到達点が結果、時として対立してしまうことがあると気付いたからだと思っています。
【点字ブロックと車いす走行】
弱視のSさんが車いすに乗り、点字ブロックの上を走行したとき、ガタガタすると感じたこと。歩道と車道の境の数センチメートルの段差は、自走式の車いすには大きな障がいであること。こうした体験を通じ、自分が良くても、他のひとにはそうでないこともあるかもしれないと気付いた頃から「まちづくりの会」のメンバーの発言の視点や内容が変わってきたと私は感じています。
そして、そうした視点からの発想こそが」、説得力のある解決策の提案につながっていくと考えています。
3の可決策を提示する段階を更にレベルアップさせていくためには、とにかく様々な情報を入手し、勉強することであると、今、「まちづくりの会」では、専門家や企業、行政との交流を積極的に行なうよう努めているところです。