ある日突然、これまで建たなかったはずの「高くて」「大きな」建物が、建って驚いた。
その根底には、建築にかかわる「規制緩和」があります。
建築確認の民間開放もその一つ。直後に起きた姉歯の耐震偽装事件と言えば思い出される方も多いと思います。
行政に相談しても、法令を守っている、合法なものだから、どうすることもできない、と言われ納得できない思いを持たれたのではないでしょうか。

【規制緩和により失われたもの】
「規制緩和」とは、人・モノ・サービスやお金の流れを阻害する様々なルールを取り払い、経済活動を活性化させるものだというのが一般的な解釈ですが、人やモノやサービスやお金の流れを阻害する様々なルールは、必ずしもいつも「悪いもの」ばかりとはかぎりません。
お金の流れがスムーズになったその結果、無くしてしまうものもあります。
建築にかかわる規制緩和が建築確認の現場において「耐震偽装」を生み、地域では、建築紛争の要因のひとつになっています。

天空率という考え方の導入や、共用廊下など部分の容積率不算入などにより、これまでは建たなかったはずのボリュームの大きな建物が建つようになり、結果として、その周辺の環境や景観に影響が出るようになりました。
大田区内においても、この間、様々な建築紛争が起きています。
しかし、大田区は「中立」な立場を強調します。 確かに、現行法令に忠実であるべきですが、現在起きている問題の根っこにある法令の不備にまで踏み込んで考えようとしないことは問題です。
その結果が現状肯定につながり、現状の法令を守ることだけになって、紛争の根底にあるまちづくりの課題を大田区独自の取り組みにより解決しようという力になりません。
大田区では、今回の議会において、景観条例を提案しましたが、委員会の審議において、
「大田区は、現在、区内で景観に関り、どのような問題が起きていて、それはどんな課題があり、どのような手法により解決できるか」
という私の委員会での質問に、こたえることができませんでした。
現状の大田区の問題意識では、大田区の景観を守るためのしくみは作れません。
その大田区の問題意識が、大田区の誇る景観である 洗足池や池上本門寺田園調布のいちょう並木などを景観形成重点地区に指定することができていないのです。
景観条例自体で、建築紛争の原因になる「高さ」や「ボリューム」を直接規制することはできませんが、景観条例策定をきっかけに、地域ごとに景観を考えることが、結果として区内の景観を守る大きなちからになります。
区が作る景観策定委員会のもと、区民参画のWGなどによるていねいな景観に係る仕組みづくりが必要で、それを今後の高さの規制などにもつなげていかなければならなかったのではないでしょうか。
一方で、大田区議会もまた、大田区と同様の姿勢です。 その最たるものが、マンション紛争を私人間の争いとして、陳情・請願で取り扱わない規定です。
全ての政治課題は、個人の、困った、嫌だ、といったところから生まれます。それが、広く合意されたとき、公共性が生まれ、法令となって、解決へとつながるのです。
門前払いの大田区議会の姿勢では、いつまでたっても問題は解決できません。