大田区は、高度経済成長期に集中的に公共施設の建設が行われた公共施設の建て替えピークが目前に控えています。

ところが、大田区は、ピークが目前にありながら、基金の積み立ても十分行わず、新規の土木建設工事を優先し、無駄な建て替えを続けています。

大田区行政を子どもたちの世代に引き継ぐために、私たちは、いま、何をすべきでしょうか。


大田区の公共施設整備積立基金の積み立て状況や施設改修の方法から、第一回定例会に提案されている補正予算、施設改修等の契約についての意見を述べました。

大田区のHPには、【大田区公共施設整備計画=現状の公共施設の現状と方針】が掲載されています。
http://www.city.ota.tokyo.jp/kuseijoho/ota_plan/sougou_keikaku/ootakukoukyousisetuseibikeikaku.html

大田区の公共建建築物の現状 http://nasu.seikatsusha.me/files/2013/03/02.pdf

第5号議案「平成24年度大田区一般会計補正予算(第5次)」
第48号議案「大田区立池上第二保育園耐震補強その他工事請負契約について」
「第49号議案大田区立嶺町小学校校舎取りこわし工事請負契約」

について反対の立場から討論させていただきます。

【今回の補正予算に計上された公共施設整備基金積み立て20億円からみる、最近の公共施設整備基金積み立て状況】

今回の補正予算には、公共施設整備積立基金として20億円が積み立てられています。

これまでも、大田区は、最終補正で、残した額の1/2を財政調整基金に積み立てるなど、余った予算の措置として基金に繰り入れることは行ってきています。

従いまして、補正予算で基金に繰り入れるという考え方も、そしてそれが施設整備基金であることも、あっても良いと考えます。

しかし、大田区は、過去3年間、当初予算において公共施設整備積立基金を積み立ててきていません。また平成24年度当初予算にも積み立てていないにも関わらず、今回、補正予算で積み立てています。

大田区は、この施設整備積立基金の生活者ネットワークの質疑に対し、

「公共施設整備計画に従い基金への積み立ても計画的に行うことが望ましいため当初予算に計上するのが基本。しかし、厳しい財政状況に財源不足が生じ多額の財政基金を取り崩さざるを得ない中で、当初予算への計上を見送った。」

と答弁しています。

それでは、はたして大田区は、

財政状況が厳しいから施設整備基金は積み立てられないと言っていいのでしょうか。

施設整備積立基金は、「余った時に積み立てる」といった無計画な積み立て方が許されるでしょうか。

また、現在の大田区の施設の状況から、施設整備積立基金への認識がその程度で、近い将来の施設更新のピークに対応することができるでしょうか。

一方で、現在の大田区の公共施設整備計画が、単にこの10年の間にいくらを土木・建設工事に投入するかという宣言的なものでしかなく、大田区の公共施設についての維持管理が、公共施設全体の長期的な維持管理を視野にした計画に基づき適正に行われていないことが、私のこれまでの調査や議会での質問から明らかになっています。

施設整備計画通りに施設を整備しても、今ある大田区の公共施設を、長期的に適正に維持管理できないのです。

【建て替えピークが集中し、深刻な大田区の公共施設整備状況】

大田区の施設整備がどれほど深刻かと言えば、たとえば耐用年数60年でみると、平成35年以降に更新を迎える建物が集中していて、ピークの20年の間に更新期を迎える建物は400にものぼります。平均でも20ずつの建て替えが必要で、一番多い年には54の更新を迎えます。

現在の年平均5施設程度の財政投入では到底間に合わないボリュームです。しかも、過去5年の解体施設は必ずしも古い施設に集中しているわけではなく、建て替え時の築年数でみれば30年近い差があります。

大田区の公共建建築物の現状 http://nasu.seikatsusha.me/files/2013/03/02.pdf
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こうした実態をふまえれば、更新の集中している時期の負担を軽減させるために、年5程度の更新しかしていないこの時期にこそ、近い将来に備え施設整備基金の積み立てをしなければなりません。

【安易で無計画な公共施設整備基金積立】

ところが、大田区は、補正予算計上した理由について特別区交付金が思ったより多かったこと、それによって財政調整基金を取り崩さなくてよかったことをあげています。需要が明らかな公共施設の整備のための基金について、特別区交付金の見込み違いがあって初めて積み立てるのでは、あまりにも計画性が無さすぎます。

【安易な民間頼み、ダメなら売却?】

しかも、大田区は、施設整備における費用負担についての考え方について、

「PFIによる施設の改修改築や定期借地権による民間事業者への貸付け等公民連携手法を活用し、施設の整備に係る区の財政負担を軽減していくことが大切。その結果生じた活用予定のない財産については、売却も視野に入れ検討していくことが必要」

と発言しています。

わかりやすく言えば、PFI;伊豆高原のように民間に有利な整備のチャンスを与え、PFIという手法により負債を先送りするとともに、財政的にみえにくくすること。定期借地権;蒲田5丁目開発、大森北一丁目開発のように、駅近くの一等地を長期間の定期借地によりほぼ民間に譲渡したのと同様の使用権を与えるということ。そして最後、どうにもならなくなれば。売ってしまえばいい、という非常に安易な方法しか考えていないということに他ならないのではないでしょうか。

更新の集中的な需要がみこまれるのですから、当然、今から計画的に基金を積み立てなければなりませんが、それもせず、民間活力を導入するというのであれば、どこをどのようにという検討が当然なされなければなりませんが、それらは一切示されていません。

【財政が厳しいと言いながら優先される新規土木建設事業 
    ~事業化されていない新鮮蒲蒲線に5億+5億の積み立て~】 

一方、大田区の財政は、施設整備基金を1円も積み立てられないほどに、本当に厳しいのでしょうか

大田区は、期の途中の平成24年度第三回定例会において、積立基金条例を作ってまで、まだ事業化されていない蒲蒲線の積立基金5億円を計上しています。しかも、平成25年度当初予算で、更に5億円の積み増しが行われています。

現有資産のための財政確保より、新規土木・建設公共事業を優先する意思を明確に示した形です。

複合化についてもたびたび発言が繰り返されていますが、大田区が行う複合化は、税金投入して新たに建物や用地を購入したときにしか実現しておらず、必ずしも限りある財源を有効に使うためになっているとは言えません。
 
【コスト高な手法;仮施設活用による工夫のない建て替え】

松原区長になってから、これまで行ってこなかった、リースによる仮設施設活用を多用しています。
 「大田区立池上第二保育園耐震補強その他工事請負契約について」と「第49号議案大田区立嶺町小学校校舎取りこわし工事請負契約について」では、ともに保育園舎、体育館について仮施設を使っています。

たとえばH18年の梅田小学校では、体育の授業を工夫することで体育館を使用せず、学芸会だけ近隣の体育館を使うことで乗り切りました。梅田の時には近隣の施設活用ができたし、工期も1年余で終了したから。と大田区は言っていますが、それこそが設計における工夫の問題ではないでしょうか

【待機児が厳しいにも関わらず、保育園仮施設は建てたら壊すを繰り返す】

保育ニーズが高く、行政不服申し立てまで区民からうけていながら、文化の森前に建設された仮設保育園に続き、池上第二保育園の改修に伴う仮施設について用地の賃借によるリース契約が行われ、建て替えが終わると壊します。

池上第二保育園仮施設リースに15か月で1億3500万円も支払い、できたら壊すなど、区民からみれば、怒りを抑えられないでしょう。今後も効果的効率的で財政負担の少ない手法を検討する。という答弁を聞いた区民が、15か月間の仮施設に1億3500万も支払いそれを壊す手法に効率的・効果的と評価されると本気で思っているのでしょうか。

はたして仮施設を活用した手法を採用できるほど財政的余裕があるのでしょうか建物改築のピーク時にすべての小中学校において仮施設は採用できる手法なのでしょうか

【必要な区民との合意形成
  ~公共施設の老朽化について区民とともに問題意識を共有すべき~】

しかも、施設の効率的な活用と言えば、すぐに民間との連携になりますが、その前になすべきは、区民との合意形成です。

私たちは、いったい、どれほどの「利便性」「快適性」「安全性」などをいったいどのくらいの税負担で受けるのかという合意が無いまま、大田区が一方的に示した計画や手法を採用させられているというのが実態ではないでしょうか。

区民のみなさんに大田区の公共施設の老朽化についてお話しすると、どうしてそうした大切なことを話してくれないのかといわれます。

私たち区民はひとしく公共施設の老朽化の問題について共有し、将来のために子どもたちの世代のためにともに考えていかなければならないのではないでしょうか。

当然区長は老朽化した大田区の施設の更新ニーズについてご存じのはずで、課題を抱える大田区の施設整備の在り方とは程とおいことから反対します。

  

 大田区のHPには、【大田区公共施設整備計画=現状の公共施設の現状と方針】が掲載されています。
http://www.city.ota.tokyo.jp/kuseijoho/ota_plan/sougou_keikaku/ootakukoukyousisetuseibikeikaku.html