「景観と住環境を考える全国ネットワーク」全国集会が、11月15・16日の二日間にわたり福岡市で開催されました。

 16日には、景住ネット事務局長渋谷修氏から「都市計画法改正の動きについて」報告を受けた後、五十嵐敬喜法政大学教授により「私のまちをどうしたいか-都市計画法改正へ」と題した講演を聞きました。

◆都市計画法改正の動きについて

【時期】
 改正が予定されている都市計画法ですが、当初来年といわれていた改正は、平成22年度の春の国会に提案されそうです。
 現段階では、総選挙など政権の動きもあり確定していませんが、近い将来、都市計画法が改正されるのは確かなようです。

【改正の論点】
・現在は、都市農村の土地利用の所管が分かれているがこれを一体的に
・現在の抽象的過ぎるマスタープランをより具体的に
・住民参画
・過大すぎる容積率
・地方議会の位置づけを積極的にとするかどうか
 
 通常は、改正案の出来上がった段階でパブリックコメントを求めますが、今回の法改正では、こうした論点レベルでのパブリックコメントを求めることで検討しているそうです。

 法案提出が平成22年度ということですから、来年の春から夏には、論点への意見公募がありそうです。

◆講演「私のまちをどうしたいか-都市計画法改正へ」

 現在の自治体の都市計画は、マスタープランもと、①地域地区②都市事業③都市施設④地区計画に分かれる。
 マスタープランは、非常に抽象的である一方で、①地域地区②都市事業③都市施設④地区計画は具体的。どのようにも解釈できるマスタープランによって住民不在の都市計画が進められているのが現状。 

①地域地区
 線引き・用途地域・容積率がセットになっている。日本は、容積率が
ドイツの5倍とも言われるほど高い。日本の場合、容積率が200〜300%になると
建築紛争が起きる例が多い。また、相次ぐ市町村合併により、問題が生じて
いる地域も多い。

②都市事業
 再開発・区画整理などをさしているが、これらは、土地の価格が上がることを
前提にした事業になっている。

③都市施設
 道路・河川。無駄。

④地区計画
 多くは、住民の地区計画では無く事業者の地区計画。

 こうした、都市計画において景観や住環境を守るためには、原理原則を変えなければだめ。
 
◆土地所有権の概念
 〜建築や開発は原則自由でよいか〜
 土地所有権の獲得は、近代の成果であるが、都市型社会に移行する中で
ヨーロッパは、建築不自由になった。所有権は自由だが使用権に制約を
かけている。

 開発において、ヨーロッパでは、原則使用権は0とし、マスタープランに
合致して初めて建築ができるしくみにしている。
 一方の日本は、原則100%。原則何をしても良いが悪いものを排除する
という考え方に基づいている。

 日本の土地所有権は国家のみしかコントロールできないしくみであるが、
ヨーロッパでは、自治体がコントロールできる。

◆開発王国

・建設に係わる企業は50〜60万社
・雇用は600万人
・関連企業も含めると1000万人
・開発に係わる官庁に7万人。開発は、全国に8ある地方整備局で行われている。
 職員21000人。予算8兆円。都道府県予算が7〜8000億円だが、地方整備局には
 議会も無い。事実上の開発はこの地方整備局で行っている。

◆官僚主義

・国は、都市計画決定は80%が区市町村であり20%が都道府県。分権は終わったというが、地域地区において、市町村は都道府県の、都道府県は国の同意が必要となっており、権限が委譲されたとは言いがたい。
・合理主義・機能主義であり、歴史・文化・合意・市民参加の概念は全く無い。

 
 都市計画法改正において、国も、表面的認識や現象的認識に相違は無い。
 しかし、最も問題である、先ほどの3点
◆土地所有の概念
◆開発王国
◆官僚支配
を変えようとしていない。

 ひとたび法改正が行われると50年は続く。長期的な視野が必要。

 山林では、民間地主が山林を放置し、相続人が1000人という土地もある。農地では耕作放棄が始まり、同様のことが起きている。
 マンションの寿命は30年〜50年。マンションにも限界集落現象がおきる。
 所有権が死んでいく。

 所有権の死に対抗するために、個別所有権に変え、地域全体で管理「総有権」といった新しい概念が必要ではないか。


なかのひと