エスカレータの乗り方について、今年の1月11日にこのブログに記事を書いて以来、機会あるごとにお話しするようにしてきました。

 気付かなかったけれどそうだよねとおっしゃる方が多い反面、急ぐ人はどうするの?体の不自由な方はエスカレータよりエレベータに乗った方がいいのでは。統一ルールがあるから安全。人の間を縫うように歩かれると困る。など、さまざまな反響もありました。

 そこで、私の尊敬するシルバー産業新聞の編集長安田勝紀さんに相談したところ、次のような文章を送って下さいました。皆さんもエスカレータの乗り方について一緒に考えてみませんか?

さまざまなひとたちが安心安全に使えるエスカレータを

 エスカレータを歩いて上り下りするひとのために、エスカレータの右側や左側を空けることがマナーになっている地域があります。
 エスカレータを歩くのは急ぐためであったり、習慣であったり、運動不足を補う健康増進のためのでしょう。
 しかし、多くの人たちがエレベータ歩行の体や荷物が当たったことや、歩くひと自身もバランスをくずしそうになったことなどを経験されていることと思います。

 エスカレータは高齢者、障害のある人たち、妊産婦、小さな子どもたちなど、いろんな人たちが利用する、みんなのための階段昇降機器です。実際、エスカレータで思わぬことで大けがになる事故も起こっています。エスカレータの片側空けマナーについて、みんなで考えみませんか。

危険が内在するエスカレータという存在

 JRでは、「事故防止のため、突然に停止した際のために、エスカレータ内では手すりを持って下さい」とアナウンスしています。
 エスカレータには、停電や故障などモータがストップした際の自動停止装置や、転倒事故などがあった時の場合の手動の非常停止スイッチもついています。
 急にエレベータが泊まると、エスカレータに乗っているひとたちは前のめりになり、手すりを持っていないと、転倒するおそれがあります。ひとりが転倒すると、その勢いで次々となだれを打って落ち大事故になる危険もあり得るのです。

 東京ビッグサイトの上りエスカレータが突然逆走して、満員の利用者が将棋倒し状態になるという事故が最近起こったことは、記憶に新しいところです。幸い、大事故にはならずに済んだのは、大半が若者であったためと専門家は見ています。安心して利用しているエスカレータですが、実はこうした危険が内在していることは忘れてはなりません。

東京だけでエスカレータ事故は1年間900件

 日本エレベータ協会によると、03年1月から04年3月までの15カ月間で、東京消防庁管轄区域内で発生したエスカレータの事故件数は、出動や事後報告があったものだけで、1014件(1年間の換算で811件)にのぼります。04年8月から同年12月までの4カ月間では313件発生しています(1年間の換算で939件)。

 事故状況をみると、エスカレータ事故にあうのは、大半が高齢者です。人口10万人あたりの事故遭遇率では、0〜4歳は8人と高いのを除けば、5〜39歳の若い世代は1〜2と少なく、事故遭遇率は50代で4〜7人、60代で10〜12人、70代で18〜23人と年代とともに上がっていき、もっとも事故遭遇率の高い80〜84歳では29人にもなります。

 事故の内容は、96%が転倒・転落です。そのほか、挟まれ1%、衝突1%、引きずられ、飛来物・落下物などがあります。歩行者があったことで起こった事故かどうかは必ずしも判然としませんが、高齢者の多くがエスカレータの歩行に危ないと感じています。回答した65歳以上の高齢者435人のうち、エスカレータの歩行が「危ないと思う」のは268人(62%)で、「危ないと思わない」141人(32%)の2倍に当たります。

やさしい社会のエスカレータマナーってなに?

 多くの人たちが安全に安心してエスカレータを利用するにはどうすればよいのでしょうか。

 当然のように歩く人のために片側を空けているエスカレータにおける現代社会のマナーは、障害や病気などが理由で利き腕が限られているひとや、エスカレータでの転倒リスクのたかい高齢者、妊産婦、小さな子どもたちにとっては、危険なことがあるのです。手にもつ荷物にエレベータ歩行者が当たり、両方が危ない目にあう危険もあります。

 エスカレータやエレベータはバリアフリー社会づくりで大きな役割を果たしています。やさしい社会のあり方として、エスカレータ内の歩行や適切な速度などエスカレータ利用について再検討する必要があるように思います。


なかのひと