現行のまちづくりの仕組みの中で、開発により住民の生活環境が損なわれていくこと、そして、それを大田区のとして規制していくには限界のあることを大田区は認識しながら、それに対する対抗策を取らずに今日まできています。

 住民が区に相談する際に決まって区が説明するのが、「地区計画を定めれば、開発を抑制することができますよ」です。

 それでは、実際に地区計画を定めるという事は住民に保障されているのでしょうか。
 
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 開発により、邸宅の見事な樹木が伐採され、緑が減っていく。宅地が細分化され建蔽率いっぱいに建物が建てられ、あいた敷地も駐車場としてコンクリートで固められ雨水が浸透する余裕も、また、樹木を植えるスペースもなくなってしまう。低層住宅の立ち並ぶ地域に高層マンションが建設され、周辺環境を大きく阻害する。良好な住宅地に大規模店舗や墓地が建設され、住環境を乱される。
といったことが、この間数多く起きてきました。

 区は、こうした問題が起きるたびに、現行の法律ではどうすることもできない。まちなみや環境を守るのであれば地区計画を作ってくださいと言ってきました。

 しかし、区ができることは本当に何もないのでしょうか。

 練馬区のように高度地区を定め、建物の高さ制限することができます。墓地建設の規制を効果的に行っている自治体もあります。最低敷地面積を定めることにより、雨水浸透や緑地を確保するのも有効な手段でしょう。

 地区計画も、区は、住民に定めよと言いますが、大田区には、地区計画を区民が提案した際の行政の対応をルール化した手続条例が無いため、せっかく住民が素案を作っても何カ月も放置したり、書類の不備を指摘したりして、まるで引き延ばしを意図しているかのような対応を平気でとってきました。

 行政主導の駅前再開発の際には、比較的ゆるい解釈で計画を推進しますが、住民が主体となって地域の環境を守るためにダウンゾーニング(建築の制限)をかけるような地区計画に対して、きちんと対応できていない大田区は、決して公平・公正であるとは言えず、条例により区民の権利や区の義務をルール化する必要があります。

■質問③■

 そこで質問します。地区計画の住民参加を保障する手続条例を定めるなどし、まちづくりの住民参加の機会を積極的に拡大していくべきではないでしょうか。

■大田区の答弁③■

 地区計画の住民参加を保証する手続き条例についてです。
 区民が主体となってまちづくりを進めるべきものであり、そのためには、住民参加の機会を拡大していく必要があると、認識は、奈須議員と同じです。
 現在、大田区においては、区民の皆様からの地区計画に係る策定及び変更等のご提案等については、特段の基準等を設けず、弾力的に相談を受け、まちづくりの実践に反映しております。
 一方、地区計画の住民参加を保証する手続き条例については、提案に係る明確な基準等を定めることが、住民参加を限定する可能性もあるとご意見もございます。
 
 このようなことを踏まえまして、区は、ご提案を頂いた手続き条例の制定も含めて、区民の皆様にとって有用な、地区計画の住民参加を保証する手続きの制度化・仕組み等について、研究してまいります。

*答弁についての奈須のコメント*

 区は、「手続条例」により、住民参加を保証することが限定する可能性もあると答弁していますが、これは一体どういう意味でしょうか。

 一定割合以上の地域住民の合意があった場合に、地区計画を提案することを保障するのが「手続条例」の主旨ですが、一定割合以下でも大田区が地区計画の提案を受ければ、策定段階に入っているということでしょうか。

 区のいう「弾力的」という言葉は、区民の意向に沿って行っていると解釈すれば、よいように聞こえますが、果たして、行政という公平・公正な立場で行動すべき機関が、土地の利活用という住民の権利義務に関わる問題について、弾力的であることが適当でしょうか。
 いつの時も、誰に対しても、同様の対応をするべきであり、特別な誰かに明確な理由も無く「弾力的」に対応することはあってはなりません。

 大田区の「弾力的」は「恣意的」になってはいないでしょうか。

 次に報告する事例などからも、大田区に住民参画を保障する「手続条例」が必要な理由がご理解いただけると思います。


なかのひと