大田区にもようやく「まちづくり条例」ができました。
 ひらがなの「まちづくり」条例ですと自治基本条例を想像される方がいらっしゃると思いますが、ハードのまちづくりのための条例です。
 建物を建てたり開発をしたりするときのルールを定めています。
 
 これまで、大田区は「要綱」で緑化割合や最低敷地面積などまちづりに関わるルールを定めていました。
 要綱は、行政からの”お願い”みたいなもの。これが条例になると建築確認の際の用件になるので、守らないと建築確認もおりません。
 
 要綱で定めていたルールを条例化すると、ルールをきちんと守っていただけるようになります。

 今日は、大田区が定めた「まちづくり条例」に私が期待していたこと、そしてその課題について報告します。

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■市民のニーズにこたえられなくなっているまちづくり関連の法律■

 戦後復興から高度成長期に社会インフラを整備し国民の住居を整備する目的で構築された一連のまちづくりに関する法律は、高度経済成長の終焉とともにほぼ当初の目的を達したと言えます。
 
 国民は、まちづくりに単なる生活の場の提供だけでなく、質を求めるようになっていながら、まちづくり関連の法律は未だ旧態依然たるものがあります。現在の都市計画に係る、都市計画法や建築基準法が機能せず、現代の国民生活の質を担保するものになりえていないことが明らかでありながら、法改正は遅々として進みません。

■要綱で対応してきた自治体のまちづくりと限界■

 自治体は、こうした法と市民生活とのかい離を埋めるため、「要綱」により市民生活の質を守るとともに、開発に伴う都市機能の向上を目指してきました。大田区においても、この要綱が一定の機能と役割を果たしてきたことは周知のとおりです。

 しかし、要綱での規定は法的拘束力が無く、必ずしも期待した効果が表れません。
 今回のまちづくり条例制定は、大田区が、まちづくりに係るルールに法的拘束力をもたせようと条例化した点は前進と言えます。

■条例化への期待■

 特に、地域のまちづくりを主体的に行うという区民の発意を権利として明確に規定し、区が助成する手続きを明文化したことは評価できます。
 これまで大田区は、区民が、まちづくり協議会を立ち上げ、地区計画を提出しながら、2年以上という信じられないほどの長期間放置するなど、行政手続き法の主旨に反することを行ってきていますが、条例化されることで、こうした大田区の不作為がなくなることは歓迎します。

■大田区のまちづくり条例の課題■

 *自治会・町会・商店会加入を支援要件に*
 
 しかし、この区民のまちづくり協議会への支援が自治会・町会・商店会の加入を必須としているように受け取られる部分があることに懸念を持っています。
 同時に、条例は、特定の者の利害に係る活動又は特定の開発事業等に賛成し、若しくは反対する活動を行う団体でないこともその要件にかかげています。
 区民がまちづくりに関心を持つきっかけの多くが、開発・建築紛争ですが、町会などは、建築紛争に関わらない場合が多く、町会などの加入については区民のまちづくりへの意欲をそがない柔軟な運用を求めるものです。委員会において、この部分の運用について、柔軟な運用を規則で考えるとした答弁を以って賛成いたします。

 *先送りになった大田区のまちづくり課題解決のための規制整備* 

 一方で、今回のまちづくり条例は、緑化や最低敷地面積の規制、ワンルームマンションへの規制など要綱で規定していた部分を条例化することができず、大田区内のあちこちで起こるマンションや大型店舗などの開発、建設に係る紛争解決のための、整備も何一つ行われませんでした。
 唯一義務化できたのが開発指導の事前協議だけというのは、あまりにもお粗末です。

■今後の整備、拡充に期待して■

 私は、今回のまちづくり条例制定には多大な期待を寄せていました。
 しかし、結果としてでてきたのは、地区計画策定に係る区民の権利を条例化したいわゆる手続条例的なもので、まちづくりの目標であり将来像を描く都市計画マスタープランやこの間策定してきた、あるいは策定中の各計画グランドデザインなどを実現するための、開発にかかわる規制やルールを整備した者にはなり得ていません。
 私といたしましては、満足のできる内容ではありません。

 しかし、区も、これを契機に、条例を拡充していくとの答弁もあったため、大変小さな一歩ではありますが、それを評価し、また、近い将来の改定・拡充と柔軟な運用を条件に賛成といたします。

 今後の改正・拡充にあたりましては、重要な事項につきましては、規則に安易に委ねることなく、まちづくり条例本文に明記するとともに、逐条解説など区民にわかりやすく提示されることも要望いたします。


なかのひと