上下水道の民営化と言われています。
一般的には、市や町で行われている上下水道の事業ですが、23区の上下水道事業は、東京都が行っています。
一昨年、多摩の下水汚泥の放射能濃度が上がり、焼却灰の処理を城南島スラッジプラントで引き受ける話になった時、とにかく、城南島に行こうということで、スラッジプランと施設まで行きました。
午後に行き、施設の方に声をかけると、午後は作業をしていないと言われ、驚きました。午前中で、処理が終わるというのです。コストなどの明細を東京都に求めましたが、作ってないし出せないと言われました。
上下水道事業という大切な事業ですが、その時からずっと、事業内容についての検証が不十分ではないかという思いがあります。
民営化と言われている上下水道事業について、私の感じている問題意識を今日は少し。(ツイッターのつぶやきをまとめ少し加筆しました)


 

上下水道の民営化と言われています。23区の上下水道は東京都で行っていますが、多摩の下水汚泥の放射能濃度が上がり城南島スラッジプラントで引き受ける話になった時、コストなどの明細を都に求めたら、作ってないし出せないと言われました。
単純に考えても、東京都の半分以上の流域の下水汚泥の処理を、23区域を中心に処理している城南島スラッジプラントでの受け入れが二つ返事で行えること自体、過剰な設備投資であると指摘しなければならないのではないでしょうか。
【特殊な上下水道のしくみ;23区大田区】
たとえば、23区の下水処理費用負担の在り方の仕組みは、他の上下水道のしくみと異なっているのですが、こうしたしくみが、過剰な設備投資の要因のひとつになっていないかという問題意識を持っています。
上下水道は、その費用を上下水道料金でまかなう「企業会計」で行われています。 しかし、下水処理費用の中でも、「雨水」は税金に転嫁して良いしくみ。
東京都では、上下水道は公営企業会計という別会計で処理されていますが、一般会計からの繰り入れも行われています。東京都下水道事業会計という欄があります。 http://www.kaikeikanri.metro.tokyo.jp/kessan.htm
ところが、東京都と23区の関係は特別です。 23区は、地方自治法で「基礎的自治体」と位置づけられていますが、上下水道事業は東京都に「大都市事務」としてお願いしています。
■23区大田区の財源が明細なくあいまいに使われている
その費用は、「都区財政調整制度」というしくみの中で、単に東京都が財政調整するだけでなく、23区の固定資産税・法人住民税の45%を東京都がとって上下水道・消防・その他の事務の名目で使っています。
普通の自治体なら、固定資産税は、市の課税課などに送付すべきところ、23区民は都税事務所に行きますね。当たり前ののように行われていることですが、これが、23区と東京都の関係の根幹的な問題なのです。
上下水道と言っても、企業会計。上下水道料金で運営が基本です。
しかし、下水処理の中の雨水処理分は、自然からくるもので、料金に転嫁するのは妥当ではないということで、税で負担することになっています。この、税で負担している部分が、一般会計からの繰り入れ分です。
23区の下水処理のうちの雨水にかかわる一般会計繰り入れ分は、最初から23区の固定資産税法人住民税の45%のうちのなにがしかが確保されているしくみということになります。
調整後の財政調整金東京都分は、約8000億円。使途の一番最初に書かれるのは、いつも上下水道ですから、一番金額が大きいのでしょう。 名細が無いので、いくらかわかりませんが。 しかも、毎年、繰り入れ金額は異なっていて当然ですが、45%という割合は固定です。
よく、この財政調整金のうちの法人税部分が取り上げられ、不安定財源と言った言われ方がされます。法人税が景気に左右される税であることに力点を置いた表現だと思いますが、一方で、固定資産税は、安定的な財源です。特に、バブル崩壊後、公示価格は、税・金融など社会システムの根幹に影響するものであることから、市場価格との極端な連動を避けてきています。
23区と東京都における、財政調整制度という仕組みは、23区間の財政力の違いを国が地方自治体との間で交付金により調整するのと同じ役割という部分では、一定の役割を担っていますが、一方の45%分についての議論は、昨今、埋没しています。
■財政のしくみが行政の縦割りを助長する
私は、大田区を流れる呑川の生態系含めた環境や水質の活動を通じ、呑川の問題を解決するためには、東京都の都市整備局・環境局・上下水道の連携が必要だと常々発言してきていますが、なかなか一体的な取り組みが行われません。
行政の縦割りのしくみが・・・と言ってしまえばそれまでですが、一方で、その理由の一つに、この上下水道費用を23区の財政調整金で確保されているしくみが、さらに、この問題を放置している部分もあるのではないかと感じています。
都市化により地下浸透しなくなった雨水を、流域の河川の改修や地下貯留施設でカバーするマッチポンプ式システムを維持するだけの財源が確保されているからです。
都市部の下水は、合流式と言って、汚水と雨水が完全に分かれていません。そのため、雨が降ると下水が雨水でいっぱいになり、あふれてしまうので、河川に放流しています。
都市化が進むと、地表にふたをする形になりますから、降った雨が一気に下水や河川に流れ込みます。この雨水対策=豪雨対策を下水道局では50ミリ、60ミリという形で対応しています。結果、カミソリ護岸の下水道の役割に河川が変わり、大規模な地下貯留池を作り、と対処療法が進みます。
都市化は、経済発展の象徴でもあり、人が集まり、投資も行われて税収も上がりますが、その都市の経済発展の恩恵としての税金がどこに使われるかと言えば、都市化のツケとして、この場合、豪雨対策下水処理に使われるわけです。
・降った雨の事後処理でない、地下浸透まで含めた計画的な都市開発 ・雨水の合流式から分流式の転換 などについて、部局を超えた計画はありません。
23区の場合には、その費用が、都区財政調整制度という特殊なしくみにより、23区の固定資産税・法人住民税の45%のうちのなにがしかという当初から確保されている財源があるので使いたい放題?ということはないでしょうか。
【都市化の恩恵と代償】
このあたり、税金も自然環境もですが、循環のあり方、持続可能性という視点から考え直す必要があると思います。
場合によっては、都市化に伴う経済発展で得られた税収以上に、その後始末のための費用負担を強いられているかもしれないのです。しかも、都市化や高齢化による社会構造の変化に伴い生まれている新たな需要(=保育園や高齢対策)もまた、都市化のある意味代償であり、そこへの税投入も必要です。
【上下水道民営化により変わること】
そして、今、上下水道の民営化というわけですが、これはどういうことを意味するのでしょう。
ここまでの話で、原発について詳しい方でしたら、上下水道は、雨水部分以外、原発の総括原価方式と似ているなと思われたのではないでしょうか。
八ツ場ダムは、東京都の水需要を確保する施設です。
ダムや下水処理施設を作れば、その分は上下水道の費用として転嫁されます。 しかも、23区は雨水処理費用としての下水処理費用も、財政調整金で確保されている。 23区以外は、一般会計から繰り出しですから、都度、議決により繰り出し分の審議が行われています。 もちろん東京都でも都議会で審議されますが、23区から総額約8000億が、一括一般会計に繰り入れられてしまうため、23区にかかった費用と支払った負担額=総額約8000億円の妥当性についての検証は非常にあいまいにならないでしょうか。
ライフラインにかかわる、上下水道の民営化という話ですが、飲み水という視点とともに、この下水のなかの雨水処理はどうなるのか、23区と言う特殊な財政構造の中、今の上下水道の運営の課題が民営化によりどうなるのかも気になります。 仮に、上下水道、雨水も含めすべてを民営化すると、すべての費用が上下水道料金に転嫁されることにはならないでしょうか?
【ステレオタイプな民営化歓迎の前になすべきこと】
民営化により、経営努力が行われ経費削減されると言ったステレオタイプな民営化推進が、決してその通りにならないことは、電気事業と原発という半官半民で行われてきたシステムが私たちに教えてくれました。
民営化により、今、公のシステムで運営されていながら見見えないしくみがさらに、見えなくなってしまうかもしれません。