今、大田清掃工場を建て替える必要性とそれに対する説明

 大田区にある平成2年に建設された大田清掃工場は、東京二十三区清掃一部事務組合の施設整備計画で、建て替えが予定されています。

 更新という説明がされていたことから、改修だと思われていた方もいるようですが、現在あるふたつの工場(第一工場、第二工場)は、建て替えになります。

 平成元年から、23区のごみは、3割以上減っているにもかかわらず、大田工場の建て替えは必要でしょうか。

 建て替えの理由は、大田第二工場が不燃ごみ処理施設であるが、プラスチック焼却への方針変更にともない、可燃ごみ処理施設に変えるためとされています。
 
 先日、この大田清掃工場の建て替え説明会に参加しました。

●竣工は、大田清掃工場、第一・第二工場共に平成2年3月。
 大田第一工場は26年。第二工場は20年の使用で建て替えに。
●現在の処理能力日量600㌧と420㌧から、双方共に600㌧の清掃工場を建設。
●現在のキルン炉からストーカー炉に変更。
  
 大田工場建て替えにあたっての疑問をいくつか質問しましたが、その回答は次の通りです。

【質問1】それぞれの工場の建て替え時の工場使用年数は、20年と26年。短いように思うが清掃工場の耐用年数は?
【答え】耐用年数は、20年から30年を見込んでいる。
    可燃ごみの種別が変わる(平成20年からプラスチックが可燃ごみに変わる)。不燃ごみの処理の必要がなくなるので早めに建て替える。

【質問2】これまでに、大田清掃工場にどれくらいのコストをかけてきたのか
【答え】回答できず後日に。

【質問3】東京二十三区全体の清掃工場の処理能力。それに対する適正ごみ量をどのようにとらえているのか。
【答え】一般廃棄物処理基本計画に基づいてという趣旨の回答のみ。明確な数字での回答は得られなかった。

【質問4】灰溶融路受け入れは区内の灰だけか。
【答え】区外(渋谷工場)の灰も受け入れる。

【質問5】プラスチック焼却の方針は、熱利用が前提。熱利用率をあげるべきだがどうなるか。
【答え】熱利用前提であり、従来以上。

【質問6】煙突などには、飛散性アスベストが使用されていることが多い。解体におけるアスベスト対策は。資料もほしい。
【答え】アスベストは無いが後日回答する。

【質問7】東京二十三区清掃一部事務組合のHP・大田区のHPにさえ掲載されていない。説明会開催の広報はどのように行なったか。
【答え】2/1区報で。

 プラスチックを可燃ごみにするから、工場を建て替えると東京二十三区清掃一部事務組合は説明します。
 大田工場以前に竣工した古い施設も複数ある中で、今回、大田工場を立て変える理由として、「可燃ごみの区分変更」だけで十分な説明になるでしょうか。
 プラスチック焼却によって、大田工場建て替えを10年も早めなければならないほどごみ量が増えるのでしょうか。それほど、現在の23区のごみ量に対し、焼却施設の焼却能力の余裕はないのでしょうか。

 不燃ごみを焼却している大田第二工場の焼却能力は420㌧/日=一部事務組合のだしている年間稼働日数293日と焼却余力7%で計算すると年約11万4千トンという膨大なごみを処理できる工場です。これを600㌧/日に増やすと言うことは、更に、年間5万㌧焼却能力を増やすことになります。
 
 現在の施設の処理能力。そしてその施設能力に対して適正ごみ量を何トンと想定しているのかと質問しましたが、一般廃棄物処理基本計画を基本にという回答のみで、明確な数字の回答は得られませんでした。

 現在のごみ量に対する適正施設規模を明らかにし、それに見合った清掃工場を配備していくべきではないでしょうか。
 
 普通、ごみは、自治体が収集・運搬・リサイクル・焼却・埋め立てなどの処理を行なっています。
 しかし、23区の場合、集めるのは自治体。焼却など清掃工場運営は「東京二十三区清掃一部事務組合(一部事務組合)」という特別地方公共団体を設立し、23区が共同で行なっています。そのために、各区のごみ量の計画と、清掃工場を管理する一部事務組合のごみ量予測との間には乖離が生じています。

 一部事務組合はひとつの自治体であり、市区町村のように首長(=管理者)がいて、議会(=各区の議会の議長)が存在します。しかし、首長にも、また議会の議員にも当事者意識が薄いため、現実には、各区の意向が反映しにくい仕組みになっており、透明性の確保は、一部事務組合の課題にもなっています。

 清掃工場運営に係る費用は、各区が一部課題が残るものの、ほぼごみ量に応じて分担しているにも係らず、コスト意識をもったチェックはこれまで十分に行なわれてこなかったのではないでしょうか。

 清掃工場建て替えにあたって、プラスチック焼却という曖昧な説明を理由とするのも良い事例です。プラスチックを焼却していた工場で、プラスチックと可燃ごみが混ざったごみを何故焼却できないのかという理由が説明されていません。

 
 それを、不燃ごみ処理施設を可燃ごみ処理施設にしなければならないほどの問題。
 例えば、
●不燃ごみを可燃にすることで、莫大なごみ量増加が見込めるため現在の整備では足りなくなる。(実際420㌧から600㌧へ規模が大きくなっている)
●不燃ごみ処理施設は莫大なコストがかかり、可燃ごみ処理施設に建て替えたほうがコスト的に優位である。
●施設の安全面に問題があり、建て替えが必要。
など、明確な理由と根拠を示すことが必要です。

 そのためには、当然、各工場ごとの、ゴミ処理能力、受け入れごみ量、コストなどを明らかにしなくてはなりません。

 一部事務組合に対して、大田工場の建設以来のコスト一切を求めましたが、一ヶ月近く待った結果、データはあるが、示すことはできないとの回答を受けました。「煩雑」であり、「各区からの問い合わせが来ると困る」と言うのがその理由です。
 コストが、工場ごとに把握できていないのであれば、それは大きな問題であり、民間企業であれば考えられないことです。
 また、清掃工場ごとに大きくコストが異なり示すことをためらっているのだとするならば、それをクローズするのではなく、その理由を解明し、コスト削減の努力をしていかなければなりません。それを、「各区からの問い合わせがくるのでデータとして示せない」というのは、公表しない理由にはなりません。

 大田区のプラスチック焼却について、一部事務組合の管理者(=首長)でもある西野善雄区長は、プラスチックリサイクルをする場合とリサイクルにより焼却ゴミを減らし、その分清掃工場が減った場合とのコスト比較は行なっていないといっています。
 
 大田区の、一部事務組合への費用分担は年間30億円。説明責任を十分に果たさないままに、重要な政策判断が行なわれていく現状から、共同処理のメリットを最大限活かすしくみになっているのか検証していかなければならない時期に来ていると考えます