洗って、何度も使えば、ごみも減って資源の有効活用になるのは誰もが納得できること。
でも、現実には、「割り箸」「スーパーの袋」「紙コップ」・・・使い捨てでくりかえし使う(リユース)が根付きませんね。
そうした中、「ペットボトル」のリユースの仕組みを作ろうとしている「リユースペットボトル推進ネットワーク研究会」の小沢一郎さんからお話しをうかがいました。
牛乳・しょう油・酢・酒・ビール・・・昔は、みんなビンで売られていて、ビンは返却し、くり返し使っていました。
今では、牛乳は紙パック、しょう油はペットボトル、ビールは缶が主流。酢はビンですが、ビンは自治体で回収されても、細かく砕かれ一旦原料にもどしてから再度加工されていて、繰り返し使うルートはなくなりました。
酒は、一部のメーカーでくり返し使用していますが、現実に、リユースされている酒ビンは多くは無いでしょう。
LCA(ライフサイクルアセスメント)=環境に対する付加を総合的に評価することから考えても、リターナブル(くり返し使う)容器は、優れていると言えます。しかし、容器そのものにコストがかかる上に、重いため持ち運びに不便であったり、その分輸送コストがかかったりすることなどから、消費者・生産者に受け入れられず、市場に出回っている容器のほとんどが使い捨て容器になっています。
環境付加を与えないためにも、また、資源を有効に活用するためにも、繰り返し使うしくみを定着させていくことは非常に重要ですが、そのためには、私たちの意識も大きく変えていかなければならず、そこには大きなハードルがあります。
現在の、容器包装リサイクル法では、リターナブル容器でも、回収率が90%以上無いと、使用回数分全て、負担金を支払わなければなりません。
事業者は、あえて費用をかけてリターナブルにせず、負担金を支払って安い使い捨て容器を使用することになってしまいます。
私が利用している生活クラブ生協の牛乳はビンですが、環境に対する意識の比較的高い人たちが利用しているこうしたリターナブル容器でも、回収率は90%に達しません。
消費者の選択の責任だけではないしくみの問題がここにあります。
ガラスビンは、加工しやすく、臭いや色が着きにくく、熱に強いことから加熱殺菌にも耐えられるなど、容器として非常に優れた素材です。
ガラス容器のリターナブル化を促進させるために、容器包装リサイクル法のリターナブル容器として認めるための回収率を下げることが求められます。
こうした、ガラス容器のリターナルが進まない現状の中、中国に持ち込まれるなどの問題や利用方法に課題のあるペットボトルをくり返し使うしくみを作ろうとしているのが「リユースペットボトル推進ネットワーク研究会」です。
臭いが残るため、水のペットボトルについてのリターナブル化を試みているそうです。
ドイツでも水のリターナブルペットボトルが流通していますが、ドイツのプラントをそのまま入れるのではなく、個々の技術を持つ企業に働きかけることでコスト削減を図り、1000万本のラインが確保できれば、採算がとれる程度になっているそうです。
ペットボトルのリターナブル化により、更にペットボトル使用が増えるのではという不安もありますが、現在使用している使い捨てペットボトルの一部でもくり返し使用することによる環境負荷低減の試みもまな必要なことではないかと感じました。
また、こうしたリターナブル化をきっかけに、現在、日本のペットボトルは、各メーカーでも、また同じメーカーであっても商品ごとにペットボトルの形も大きさも異なっていますが、標準化・規格化の方向に進むことへの期待を持ちました。