東京・生活者ネットワーク通信11月号に寄稿した記事より

3月11日に起こった東日本大震災により、膨大な量の災害廃棄物が発生している。 これらの廃棄物の処理は被災地復興に欠かせない大きな課題である。 現地だけでは処分できないこれら災害廃棄物の処理について、環境省は全国の自治体に協力を打診。 復興支援の一環として、多くの自治体や一部事務組合が受け入れを表明した。

東京都も岩手・宮城の災害廃棄物を3年間で50万トン受け入れる方針を明らかにした。 第一弾として岩手県宮古市の混合廃棄物1千トン受け入れのため、岩手県・東京都環境整備公社・東京都の3者で 「災害廃棄物処理基本協定」 が締結された。

東日本大震災の災害廃棄物は、津波による被害を受けているためPCB・アスベスト・重金属・フロンなどの環境汚染物質を含む物が渾然と流され瓦礫となっている。 加えて、放射性物質による汚染も心配されているところである。

■分別の徹底、放射性物質の拡散防止を

これら災害廃棄物の安全処理には分別が欠かせない。 前出 「協定」 によれば、 分別は県が行い、環境整備公社は現地でその過程を見守り、放射能測定を行うとしている。 しかし今日、分別されるべきアスベスト建材が混入したままリサイクルされ、 アスベストの混ざった砂利が流通していることが社会問題になっている。平常時でさえ困難な分別を50万トンもの災害廃棄物において、どこまで徹底できるか疑問が残る。 不十分な分別のまま破砕、焼却が行われれば、環境汚染物質や放射性物質が拡散する。 これら災害廃棄物は 輸送中の拡散を防ぐため、「機密性の高い鉄道コンテナで運搬」 される。 こうした対策が講じられ輸送される廃棄物の受け入れに、不安がつきまとうこともまた、致し方ないだろう。

原発事故による放射能汚染は全国に及び、日本各地でごみや焼却灰から高濃度の放射性物質が検出されている。東京でも、江戸川清掃工場の焼却灰に次いで、多摩地域で発生する下水汚泥の焼却灰から高濃度の放射性物質が測定された。多摩の焼却灰は、セメント原料として再利用することができず、 中央防波堤処分場に埋め捨てることになった。中央高速から首都高を抜けるなどして、特殊タンクローリーで大田区城南島の南部スラッジプラントに運び込まれ固化、埋め立てられる。

埋め立て処分場に降った雨水は、排水管を通じ下水処理施設で処理されて、東京湾に排出される。放射性セシウムは水溶性である。排水から放射性物質は不検出と公表されてはいるが、今後、水に溶けた放射性物質が拡散する恐れはないだろうか。環境への漏洩・拡散を防ぐための放射能測定、迅速な情報の公開など、監視体制の強化が必要となることは言うまでもない。なにより、下水・ごみなど廃棄物処理施設は放射性物質を想定してつくられていないということに、原発立地自治体に押し付けてきた危険の甚大さに、私たちは気づかなければならない。

これら廃棄物処理の決定は都主導で行われ、 自治体の関与のほとんどが首長にとどまり、住民不在で行われてきた。廃棄物処理施設を多く配置する大田区では、多摩汚泥の受入れにおいても議会への説明もなく、区長の独断で決められた。

原子力発電所が都市部を避けて地方に点在するように、東京都では、いわゆる迷惑施設と呼ばれる産業廃棄物処理施設、下水処理施設、ごみ焼却施設などを臨海部に集中させてきた。 臨海部という、住民の目に直接触れない場所でのこうした有害廃棄物の処理が、市民の関心を希薄なものにし、健康、環境など安全策より処理を優先することにつながっていないだろうか。