基金が貯まったのは、地方自治体を社会保障の責任主体とし、その責任を地方の自主財源で果たせるよう、三位一体改革で地方自治体に税収を集める仕組みをつくったからです。
小泉構造改革とも言われ、小泉純一郎氏が内閣総理大臣の時に行われたしくみです。
本来であれば、それら地方に集まった税収は、社会保障(三位一体改革の国の説明では保育)に使われるハズでした。
ところが、ひも付き財源を批判し、地方に税収を集めましたが、
国は、民営化保育園で待機児を解消したら、補助金をだすことにしたので
多くの自治体は、民営化を選びました。
大田区も、待機児の多くを、民営化保育園を新設することで解消し、
同時に、区立保育園を民営化することで、解消していきました。
当時、リーマンショックなどで、女性は、子育てしながら働くことを選び、
待機児が急激に増えていましたから、中でも都市部の待機児が急激に増え、結果、保育の分野の市場経済化が進んだのです。
地方自治体に、保育のための名目で、区民から住民税を集める仕組みをつくり、
23区の場合には、固定資産税と法人住民税などを合わせた東京都からの交付金割合も52%から55%へと、3%引き上げました。
地方に税収は集まりましたが、
国と都の補助金は続いているので、
税収は使途を失い、自由に使える財源として、
地方自治体に集められ続け、過剰な箱モノや開発をキャッシュで支払い、
それでも、余って、貯まっているのです。
このパターンは、保育だけではありません。
高齢福祉が介護保険になると、私たちは、高齢福祉費を健康保険料で支払わされていますが
税金もそもまま支払わされているので、地方にも国にも自由に使える財源(隠し財源)になっています。
最近ですと、児童手当など子育て支援にかかる費用負担を、
こども子育て支援金制度=こども保険、で担う仕組みを作りましたから
来年度からは、
税金で負担している子育て支援費を、
新たに健康保険料に上乗せで徴収されます。
地方財政から見れば、
国のひも付き財源の批判で進んだ地方分権でしたが、
国や都の補助金は止まず、増え、それに比例して、基金が貯まっています。
私たちは、
国と地方への税の二重払いどころか、
国と地方と社会保険料で三重に、負担させられているのです。
第三回定例会で、
後期高齢医療の補正予算には、
そのこども保険、こども子育て支援金制度の、
保険料徴収のためのシステム改修経費が計上されましたので、反対です。
区は基金の目的を、
経済情勢の変動、減収、突発的な対応、財政需要などと説明しますが、
その突発的な対応や経済の変動のたび、例えばコロナのワクチンや給付金などは、
国が補正予算を組んで、地方自治体に給付しています。
景気対策も災害等も国がやるべきことで、国もやっていますが、
ここでも、私たちは、国と地方と二重に負担させられています。
大田区は、標準財政規模の20%が基金の適正規模と言い始めていますが、
そもそも、特定目的基金で財政基金残高は調整可能です。
増やしたければ、
特定目的基金の積立額を減らし、一般会計への繰り入れを減らせば良いですし、
その逆をすれば、財政基金残高は減ります。
そのうえ、
潤沢な基金残高があり、大田区は、公債を使わないのですから、いかようにでもなり
後付けの数字です。
三位一体改革の時点での財政需要を、国税や都税や社会保険料で負担させられているにも関わらず、
既に失われた目的のために、税金を払わされ続けていると区民が知ったら
驚きを超えて、憤るのではないでしょうか。