民間給与にも深く影響する公務員給与は、
人事院や人事委員会の勧告に基づき、行政が議案にして、議会が議決します。
勧告の資料には、
調査した官民の給与水準のほか、企業物価指数や生計費なども掲載されています。
公務員給与は、
・仕事に見合った給与
・物価と生活水準に見合った給与、
・国家公務員と地方公務員の関係
・民間で働く方たちとの関係
を総合的に判断して決めると法で定められているからです。
ところが、今年の特別区人事委員会の勧告から、企業物価指数などが無くなってしまいました。
ただでさえ、官民格差是正だけで決められていた公務員給与ですが
物価の上昇を補完出来ているか、生活水準を守れるのか、という重要な判断はしなくて良い勧告になったように見え、非常に問題だと思います。
民間給与が株主利益最大化で決められる部分が大きくなって、
ただでさえ、下がり続ける給与水準ですが、
ここに、公務員給与の歯止めが、すっかり無くなってしまうことを危惧します。
しかも、なくしてしまったということは、
これからまだまだ、物価は上がる、政治が物価を上げる、ことを見込んでいて、
指標を示すことが
よろしくないと言う判断ではないでしょうか。
公務員を叩いている「フリ」をしがら
政治は、株主利益を守ろうとしているように、見えます。
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さらに詳しく知りたい方は、、
公務員給与・賞与は、
民間企業の給与等の水準や社会状況をもとに人事委員会(大田区だと特別区人事委員会、国だと人事院)が出した勧告を参考に決められています。
今年の東京都の人事委員会の勧告の概要をリンクしておきます。
こういう決め方は、一見、ふさわしいように見えますし、
私も、長い間、そう思ってきたのですが、
ある時、
官民の給与の引き下げ合戦になっていることに気づきました。
民間給与と公務員給与の引き下げ合戦
その年の民間給与水準と、公務員給与水準の推移をならべたら、下がり続けていたのです。
民間企業の賃金は、企業の経営者が、株主の意向を反映し企業の経営状況の下で決めますから、
・業績が好調で、ポンとバブルの時の様にボーナスを上げることもありますが、
・業績が厳しく、経営者の給与を削って給与を支払う企業もあります
しかも、株をやっていらっしゃる方なら、わかると思いますが、
今の企業の評価に、「配当」はとても大きな部分を占めますから、
・過去最高益を続けていても、給与をそれほど上げないこともありますし、多いと思います
こういう決め方の民間企業の給与水準に従い公務員給与が決まると、
公務員給与が下がってしまうのです。
公務員並みの能力の人を雇おうと思ったら、この程度の賃金水準、というのを決めないと
民間も公務員も給与水準が下がり続けるのです。
本来、公務員は、
・仕事に見合った給与
・物価と生活水準に見合った給与、
・国家公務員と地方公務員の関係
・民間で働く方たちとの関係
を総合的に判断して決めると法で定められています。
公務員給与は、
・一定の職務を遂行するに足る能力がある人を
・公務員の中でも国と地方間での、必要以上の差が生じないよう
・民間給与との間で、国民に理解を得ていただけるよう、
・物価と生活水準に見合った額で
総合的な判断のもとで決めなければならないのです。
ところが、
今年の特別区の人事委員会の勧告の資料から、去年まで掲載されていた、
企業物価指数などが、無くなっていました。
令和6年の人事委員会勧告93ページ 労働経済関係資料にある企業物価指数
無くなってしまった令和7年の人事委員会勧告
そこで、国=人事院勧告を調べたところ、国では、既に、令和5年までで
労働関係資料を添付しなくなっていました。
企業物価の上下は、一足遅れて、その川下の消費者の購入する物品やサービス価格に影響します。
企業物価指数は、その後の消費者物価指数を占う、重要な指標なのに、
その重要な資料をなくしてしまったのです。
私には、今後も物価が上がる傾向が企業物価指数から明らかなところ
そこに、給与引き上げが十分でないことを、見えないよう、見せないよう、にしているように思えるのですが、みなさん、どうお考えになりますか?