あらためて読み直す国交省空港保安防災教育訓練センター視察報告に考える羽田空港の火災事故

令和6年1月2日に羽田空港で、航空機衝突事故が起きました。

奇しくも、
令和5年10月25日(水)~ 26日(木)、羽田空港対策特別委員会で、
国交省空港保安防災教育訓練センターという、日本全国唯一の空港火災防止のための施設に視察に行っています。

以下は、その委員会の視察報告書です。
今も、大田区議会のHPに掲載しています。

大田区ホームページ:令和5年度羽田空港対策特別委員会視察報告

P5~P6の私が書いた報告書の
事故との関係で気になるのが、以下の部分です。

消防車両の薬液・水の放出時間は2分間で非常に短いと感じたが、航空機火災は生死を分ける、発生から90秒以内に消火を始め、機体が溶けだす3分以内に乗客を救出すると聞き訓練、初期消火に加えあらためて予防の重要性を痛感した。

90秒以内に消化をはじめ、機体が溶け出す3分以内に、乗客を救出しなければならないのが、航空機火災の鉄則だと聞いていましたが、

日本航空機の火災発生から、乗客脱出が終わるまでの時間が10分と長いのです。

乗客が撮影したと言う写真からも、火災発生が原因と思われる煙の様子を撮影した
写真からも、火災が期待停止2分経過後には発生しており、それが、3分以上続いたことがわかります。

消防車の薬液・水の放出時間は2分間で終わってしまい、非常に短いと感じたので、
薬液の補給はしないのか、質問したところ
火災発生から90秒以内に消火をはじめ、3分以内に空出しないと助からないから、
薬液の補給は、しないのだそうです。
薬液の補給をするような時間的な余地がないということで、
発生から90秒以内に消火を始め、機体が溶けだす3分以内に乗客を救出する訓練をしていると聞きました。

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国土交通省の事故概要を時系列に追うと、
17時47分40秒に海上保安庁の航空機の火災が発生

日本航空機は
17時47分26秒ごろ大きな衝撃が発生
17時48分14秒ごろ火災が発生を一部乗客が視認していますから、

17時47分26秒以降、17時48分14秒までの間に日本航空機で火災が発生していたことがわかります。
ところが、機長が航空機から最後に脱出したのは、火災発生から10分を経過した
17時58分です

keika20241225-JA722A_JA13XJ.pdf

A機 海上保安庁機
・17時47分27秒、滑走路34Rに着陸してきたB機と衝突した
・機長Aから「機体が爆発した。滑走路34RにLine up and wait し、Cleared for take-off がきて、エンジンの出力を上げたところで爆発した」との報告
17時47分40秒、同飛行場管制所は、緊急電話を使用し、C滑走路上で火災が発生したことを空港事務所空港保安防災課、運航情報官及び東京ターミナル管制所へ通報した。
・17時48分10秒、タワー東は、D機に対し復行を指示した後、交替の航空管制官に業務を引き継いだ。業務を引き継いだ航空管制官は、復行するD機の飛行経路、高度及び移管する周波数についてDFと調整を行い、17時49分15秒、D機を東京ターミナル管制所へ通信移管した。

B機 日本航空機
17時47分26秒ごろ、B機の主脚が滑走路に接地し、逆噴射のための操作が行われた。当該操作とほぼ同時に、B機が着陸の際に点灯していた灯火に照らし出された小型の機体が急に正面に現れ、大きな衝撃が発生
17時48分14秒ごろ、機体が停止した(図6参照)。
異常が発生した直後、左右の主翼下面付近で火災が発生していることを一部の乗客が視認するとともに、前方から3番目の出口付近の客室内で異臭が発生し始めた。
17時51分30秒ごろ、L1及びR1のドアを開放して脱出用スライドを展開し、乗客の非常脱出を開始
17時55分ごろ、L4ドアを開放し、周囲の乗客に脱出するよう指示
17時58分機長Bは、客室内に乗客及び他の乗組員が取り残されていないことを確認し、17時58分、L4から脱出した。

 

以下、視察報告書

(フェアな民主主義) 国交省空港保安防災教育訓練センターは、1994年名古屋空港で284名が亡くなった中華航空機墜落事故を契機に、民間航空機に係る消火訓練などを目的に2002年に開設した全国唯一の空港火災防止のための施設。

航空機火災等に際し、専門的な知識を習得するための教育訓練指導を行う訓練設備を持つ。

ボーイング 767 型航空機と同寸の模型をガスコンロ状の設備の上に置き、LPガスで炎を出して消防車等で消火・乗客の救助を行う設備やシミュレーター装置による操作等の訓練などを全国97空港の職員を対象に行っている。

こうした施設は米国、韓国、英国、独国など海外に10か所ある。

日本の施設は水の再利用や黒煙が出ないようにするなど環境に配慮しているという特徴がある。

航空機火災等の事故は発生頻度が低いため、職員のモチベーションの維持が重要で、技能を習得・保持するための資格を設けるなど受講体制にも工夫している。

炎を使った訓練は、実際の火災において炎を見て動揺しないためにも重要。

実態的な連携には至っていない部分もあるが、地域の消防、警察や医療機関との協定締結など関係機関との連携につとめ、座学での訓練も重ねている。

航空機火災に対応する特殊な機能を持つ消防車両HRET等は1台2億円程度の高額車両。オーストリア製でローゼンバーク社から購入しているが、命にかかわる救急車両こそ国内製造すべきではないか。

一方、消防車両の薬液・水の放出時間は2分間で非常に短いと感じたが、航空機火災は生死を分ける、発生から90秒以内に消火を始め、機体が溶けだす3分以内に乗客を救出すると聞き、訓練、初期消火に加えあらためて予防の重要性を痛感した。

火災は空港内だけでなく、航空機事故が離陸後3分と着陸前8分に集中していることからも、空港立地自治体大田区のリスクが高く、区民を守ることが空の安全を守ることに直結する当委員会の役割の重要性に身が引き締まった。

 

航空機火災予防のための訓練施設を視察して思う、昨今の空港の機能強化と空港立地自治体大田区議会に羽空特別委員会が設置されている意義 | 奈須りえオフィシャルホームページ

羽田空港航空機衝突事故で気になること | 奈須りえオフィシャルホームページ

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