大田区は、
空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、平成28年7月から、計画期間5年の「大田区空家対策計画」を策定し、空き家対策に取り組んでいます。
令和3年7月~策定の現計画終了に伴い、新たな計画期間の改定内容について報告がありました。
改定に際し、行政手続法に基づき、区民の意見を募集します。
ぜひ、意見をお出しください。
*まだ公表されていませんので、公表され次第、HPに再度掲載いたします。
以下に、委員会報告の内容を元に、私の考えを以下にご案内します。
空き家対策は、空き家が放置され、危険だから、法律で適正に管理していく
という印象ですが、
法律をよく読むと、
「経済的社会的活動の促進及び市街地の環境の整備改善に資するもの」として国土交通省令で定める基準があり、
その基準を自治体が参酌して決める、ことになっているのがわかります。
本来、憲法と法律で守られてきた私有財産(この場合空き家)を
経済的社会的活動の促進のために、
基準を定めたら、
行政権力を行使できるようにしたのが
空家対策特別措置法に基づく大田区空家等対策計画だというとです。
「特別措置法」ですから特別な措置をとって良いよ、
例外的に、憲法で定めた財産権を言ってみれば、侵害しても構わない、
という法律の立て付けになっているわけです。
大田区空き家対策計画ootakuakiyakeikakukaitei
そうした視点で見ますと、
今回の改定で気になるのが、
これまでは、特定空家だけだった空き家の対象に、管理不全空家が加わったことです。
特定空き家は、基本は、他者等の生命や財産を侵害する恐れがある空き家ですが、
特定空き家 大田区空き家対策計画ootakuakiyakeikakukaitei P3
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
それに対し、
管理不全空き家は、個人の敷地内での問題で、その方の経済状況や選択の範囲で
家屋の管理を決めていると言っていい部分です。
ここに基準を定め、それに合致していない場合、
特定空家への認定への法的手続きが始まるしくみになっています。
大田区は、この計画改定に伴い
既に管理不全空家基準 20250707hanteikijyun の基準を定めていました。
基準をみていただくとわかりますが、
多くは、お財布の状況や個々人の判断で行われて良い部分(家の修理や植木の剪定等)だと思います。
東京の場合、密集しているため、隣地との距離が狭くて、少しでも管理が悪化すれば、周辺に影響を及ぼすことになりますが、宅地の細分化や密集もまた、政治が政策で誘導してきた問題でもあります。
政策の誘導のしりぬぐいを、個々人の財産や、お財布でツケを払わされるだけでなく
財産権への侵害につながる可能性もあるわけです。
しかも、それらは、他者の生命財産の侵害を防ぐため、だけでなく、単なる環境保全や
場合によっては、経済社会的活動のために管理不全空き家の指定ができるようになる、というのですから、問題を感じます。
たとえば、道路拡幅などの公共事業や地上げして大きな宅地開発をしようとしている区域に、管理不全空き家があり、改善(=修理や剪定など)しなければ、
特定空き家に指定することも可能になるからです。
理屈にならない根拠を大きく取り上げ、
温暖化対策や豪雨水害対策が進んでいて、問題を感じていますが、
行政権の濫用の域に入ってきていると、私は感じています。
ご参考に管理不全空き家の判定基準は以下の通りです。
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【管理不全空家等】判定基準
本判定基準は、管理不全空家等を認定するにあたり「空家等の状態」を判定するためのものである。
また、本判定基準において1項目でも該当(〇の判定)があった場合は、空家等の立地や周辺環境のほか、損傷箇所の位置などを考慮して「空家等の周辺の生活環境に及ぼし得る影響の程度」を判断し、周辺に与える影響が大きいと認められるときは、管理不全空家等と認定し、法的指導に進むものである。
1建築物
1-1屋根材・外壁材・窓等の剥落・脱落等(構造部材が露出している場合は、その破損・腐朽等)
1-2 雨樋・ 看板・ 物干し 等(支持部材含む )の破損・腐朽等
1-3 外付けのバルコニー・屋外階段等(支持部材含む)の破損・腐朽等
1-4 給湯器・ 受水槽など 建築設備(支持部材含む)の破損・腐朽等
2 外構(樹木含む)
判定事項
2-1 立木の 大枝の 剪定・ 補強がされておらず該当の有無(〇・×) 、折れ・腐朽が認められる
2-2 立木の 大枝が 著しく 越境し 、周辺建築物への影響や通行障害等が認められる
2-3 門扉・塀等の構造部材の破損・腐朽等
3 擁壁 判定事項
3-1 擁壁の劣化・変形・排水不良等 該当の有無(〇・×) 令和7年7月7日
4 その他(景観・衛生・環境保全、相続人の有無) 判定事項 該当の有無(〇・×)
4-1 外装材の 汚損又は 植物繁茂等による景観悪化
4-2 排水不良、ゴミの不法投棄、可燃物の放置、害虫・動物の棲みつき等による衛生環境等の悪化
4-3 土地・建物の所有者(名義人死亡の場合にはその相続人)が不明又は不存在であって、管理者もおらず、適切な管理が行われる見込みが無い