以下は、今年の給与改定議案すべてに反対した理由です。
ここ数年、給与改定で全体では引き上げていますが、
若年層に厚く、中高層に薄い給与改定をしてきました。
初任給につられて、公務員になったら、なかなか給与が上がらない、ということです。
私は、これを、希望の持てない給与改定と呼んでいます。
近年は、このことを指摘していて、少しだけ、中高層も上げるようになりました。
区議会では、少なくとも、誰も言ってきませんでしたが、言うべきことは、言うものだと思います。
なので、今年も、
問題点をしっかり指摘し、少しでも、改善できたらいいなあ、と思って討論しました。
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毎年この時期は、地方公務員給与改定の時期で、大田区議会に
・職員
・会計年度任用職員
・区長副区長
・教育長
・監査委員
・区議会議員などの
給与や期末手当などの改定が行われる場合には、改定議案が出されます。
各自治体で、全く同じではないものの、
8月の人事院勧告が大きく影響しているので、
各自治体全く同じではないものの、概ねその傾向は似ています。
私は、民間給与が上がらない原因の一つが
・民営化と
・それに伴い公務員数が減ることに加え、
・人事院や人事委員会の給与改定の際の勧告の在り方になると考えています。
民間と比べ、高いや安いかで決めているからです。
公務員だから当たり前、と私も、議員になりたての頃は考えていたのですが、
*平均(*特殊な決め方があります:公務員給与の決め方の仕組みご参照)”だけ”に合わせると言うのは、
身に着けた能力や、求められる技能が、評価されない給与体系ということでもあります。
しかも、
公務員給与は、一定の能力を持つ者の賃金の水準として
機能させることができるのに、
それを、民間の平均に合わせれば、
民間は、このくらいの能力のものは、いくらくらい払わなければ雇えない、
という水準を失うので、安く雇える方向への力が働きます。
地方公務員法は
民間の給与の平均で公務員給与を決めなさい、とは書かれていません。
その第24条で、給与の根本基準を定めています。
職員の給与は、
1.その職務と責任に応ずるものでなければならないし、
2職員の給与は、
2.生計費並びに、
3.国および他の地方公共団体の職員並びに、
4.民間事業の従事者の給与
その他の事情を考慮して定めなければならないのに、
その中の、民間事業の従事者の給与の事情を考慮して定めなければならない、に特化した勧告になっています。
「職務と責任に応ずる」給与を勧告しないで、
機械的に、民間企業と比較するから、
株主利益の為のコストになってしまっている企業の給与に連動して公務員給与も減るのです。
公務員給与が減れば、それに連動して、民間給与もこの程度で構わない、となって
減っていきます。
今は、物価が上がっているので、少しは上がっているように見えますが、
物価の高騰に見合った上げ幅ではありませんので、
民間も公務員も給与は、相対的に減り続けています。
努力に見合わない給与では、公務員を希望しませんし、だから、公務員の希望者も減っています。
しかも、去年までは、50人の従業員がいる企業と比較していました。
今年は、かつての100人以上に戻り、改善されましたが、長い間、50人規模の事業所を持つ企業の給与との比較で出した勧告をもとにした給与では、
少しくらい是正しても、元に戻りません。
公務員の職責を守る給与にはなりませんし、民間企業の給与水準の指標としてもふさわしくありません。
特に、人事委員会勧告から、企業物価指数の載った労働経済関係資料を削除してしまったことは、問題です。
多くの労働者が、物価高騰に悩まされている中、消費者物価指数に先駆け、動くと言われる企業物価を見ずに、給与を決めるということを意味します。
これのさらに怖いのは、民間企業も同じことをするに違いないことです。
給与改定の指標が、民間企業との比較だけになり、以後、物価や失業率や、労働時間などを考慮しないことのあらわれにほかならず、公務員までが、公民連携で、投資家に雇われた労働者に成り下がってしまったかのようで反対です。
大田区は、企業物価などがか書かれた、労働経済関係資料はなくても、統計を調べれば、出ていて分かるから問題ない、と答弁しましたが、
その論理では、根拠の資料は不要になってしまいます。
統計からどの数値を選び出し、給与改定の指標とするかが重要ですし、それを、審議し議決する議会に示し、区民に公開し、説明責任を果たすことが、人事委員会の役割であり行政の務めです。
人事委員会のやったことだから、とも答弁しましたが、
実は、過去には、人事委員会の勧告通りではない、大田区独自の判断による給与改定をしたこともあるのです。
自らの言動の都合の悪い時は、建前を並べ、都合よく、地方分権を持ち出したりして、使い分けるので、だから、行政は、あてになりません。
独自判断の給与改定をしたときの様に、大切な指標を削除してしまった人事委員会に対し、その理由の説明を求め、区の姿勢を示すべきです。
今回、私は、人事委員会勧告の付属資料についている、エンゲル係数について調べました。
エンゲル係数は、消費支出に占める食費の割合で、高いほど生活水準が低い傾向にあると言われています。
日本生命のコラムに、総務省の家計調査から、1970年に34.1%だったエンゲル係数が2005年に22.9%にまで大きく低下したあと、2024年には28.3%になったとありました。
今回の改定にあたり、生計費の推移をみたところ、10年前の2015年平成27年に比べ、一人から五人世帯まで、10%程度上がっていて驚きました。
しかも、今年は、どの世帯も、30%を超えています。
私たちの生活水準は、年々下がっているのです。
ほかにも、気になるのが住居費です。
2人世帯で高く、3,4,5人と減っていくのは、持ち家になることとも関係していると思いますが、どの世帯も、住居費が減っています。
持ち家で修繕などの経費を抑えている可能性もありますが、光熱水費はあがっていますから、家賃の安いところへ転居している可能性もあります。
みていて、とても悲しかったのは、こづかいや交際費などの雑費2が、10年前の半分以下に下がっていることです。
若い人は付き合いが悪いと、批判めいた言葉をネット上で、耳にすることがありますが、もしかしたら、経済的な理由かもしれません。
しかも、何をするにも、お金を払わなければならない時代になっています。
消費に対し、十分な給与を得られないから、生活防衛で節約しているのに、そこを見ずに、改定しているから、生活水準が下がっています。
給与改定でみるべきは、23区の従業者の給料や報酬だけでなく、労働環境であり、消費から見た生活水準ですが、そこを見ずに出した勧告で、適正な給与体系は作れません。
引き上げの改定ではあるものの、物価の高騰には程遠く、しかも、前年に比べた引き上げ率だけでは、これまで悪化した生活水準を取り戻すことはできません。
地方公務員法は変わらないのに、法律違反の勧告がまかり通ってしまうのは、問題です。
議員も特別職も、全ての働く者の賃金をあげるための指標とすべきという主張を込め、
この人事委員会の勧告の在り方の改善を求め、反対といたします。