鈴木宜弘東大教授講演に学ぶ「地方にも都市部にも求められる地域循環経済」

2000年前後から行われてきた構造改革で、日本の仕組みが大きく変えられてきました。

構造改革と聞くと、改革ですから、悪いことが良くなるイメージですが、日本の構造が変えられてしまうのですから、言ってみれば、革命が起きたようなもので穏やかではありません。   

しかも、この変化は、市民革命では無くて、国外からの力によるので、私は、これを流血無き戦争状態と呼んだことがあります。

国を超えた富の収奪が戦争ですが、この間の構造改革は、TPPをはじめ自由貿易協定と規制緩和や民営化により、国内市場を外資の投資先として許し、しかも、そこで儲けた富をいともたやすく、国外へ移転させることを可能にしてきたからです。

日本国内で得た利益をタックスヘイブンで移転させる仕組みが「カジノ」だと思いますし、富を際限なく最大化させ、固定化させるために、私たちがコロナを怖がっている間に「新しい生活様式」へのコペルニクス的転換を、赤子の手をひねるように、やすやすとやってのけようとしています。

私を含め、多くの国民は、政府による静かで穏やかな革命に気づかず、ここまで来ているように感じます。

私たちが働いて生み出した富の一部が、国外に流出し、その割合が大きくなれば、循環経済のバランスが崩れます。

元来、日本は、豊かな自然とその自然と一体となった生活様式と統治機構により、究極の地域内循環経済である鎖国をほぼ可能にしてきたと思います。

それが、次第に変化する中、それでも、一億総中流と言われてきたように、ある程度の公平性を守り、今よりましな格差のなか、諸外国とは違った形で工業化し、先進国の仲間入りを果たしてきたのだと思います。
その、国民にとっては、今より、これから変えようとしている社会より、まだ「かなり」マシな仕組みを「ガラパゴスと揶揄」してきたわけです。
それをこわすのが構造改革で、規制緩和と貿易の自由化が行われてきたのです。

先日、この自由貿易協定の問題点について、鋭く指摘してこられた鈴木宜弘東大教授の講演を拝聴する機会を得、その内容に感動して、鈴木先生にメールを差し上げたところ、主催者の月刊誌に掲載していただきました。

一部ご案内いたします。

全文をお読みになりたい方は、私にご連絡くだされば、実費(送付切手代)でお送りいたします。

ご住所お名前をお書きのうえ、以下のメールにご連絡ください

office★nasurie.com (★→@)

あるいは、発行元にお申し込みください。
月刊『日本の進路』5月号

http://kokuminrengo.net/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e9%80%b2%e8%b7%af%e3%81%94%e6%a1%88%e5%86%85/

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先日行われた鈴木宜弘先生のご講演「農林漁業を核にした地域循環経済の形成へ」は、これまで進められてきたグローバル化を総括した非常に意義深いものでした。

NHKスペシャルが報じた「2050に起きるかもしれない食料を求める暴動」はそれだけでも、大きな衝撃でしたが、先生が出された試算は、それよりずっと前2035年に日本が飢餓に直面する可能性をリアルに示しており、食料自給への不安を具体的な危機として私たちに突き付けました。

先生は、食料自給率がここまで下がり、飢餓の危機にさらされている背景にある「TPPなど自由貿易協定」と「一連の法改正(種子法廃止→農業競争力強化支援法→種苗法改定→農産物検査法改定等)」など、この間、法や制度が支えてきた公の役割を規制緩和により壊し、市場経済の自由競争にさらすことで、グローバル資本に利益をもたらず構造を作ってきた政府を厳しく批判しておられ、大変に共感いたしました。

地方議員として、この間の制度改正から、農業など一次産業だけでなく、都市部においてもグローバル資本の投資対象が拡大し弊害が生じていることを実感してきたからです。

2000年以降、公共分野の民営化が始まり、福祉分野への営利企業の参入が可能になりましたが、いまや、地域の小規模事業者が淘汰され大資本が市場を広げつつあります。

規制緩和により、商店街から個人商店が次々姿を消し、商店街そのものが姿を消している地域もあります。公共施設の使用許可権限を与え維持管理を可能にする指定管理者制度が導入され、公園や図書館まで営利企業が参入しています。さらに、命に係わる水道事業までグローバル資本の投資の危機にさらされています。 

私たちの人権を守り、暮らしを守ってきた制度や法律を改廃し、日本の構造や統治機構を壊してきた結果、私たちが働き生み出す「利益(富)」が地域に再投資されず、場合によってはタックスヘイブンなど含め海外流出し、格差と貧困が拡大しています。
先生が指摘されている農業はじめ一次産業や公共・非営利セクター、個人事業主や小規模事業者や日本のシステムが地域循環経済を可能にしてきましたが、それを構造改革により壊してきたのです。

その上、意思決定に係る民主主義の根幹まで壊そうとしています。
続く