個人の預貯金を「カラ」にする日本の社会保障システム 大田区の特養利用料から

財務次官の講演をきっかけに、あらためて税と社会保障について考えました。
社会保障にたくさん使うから、税金がたりないと言っているからです。

ところが、よく見ると社会保障システムは個人の預貯金を使うのが前提です。都市部の基礎自治体では、社会保障を理由に税収が大幅に増えましたが、大田区は、社会保障に使わず、大規模な土木建設、さらに、税金を余らせ、国債を買うなどと言い始めています。

税でys会保証を整えたかといえば、社会保障サービス利用料は高額。特養に入れても貯金を切り崩さなければなりません。

特養に入れなければ、さらに負担は重くなります。金融庁は老後に2000万円必要と言いましたが、
このシステム、

別の見方をすると、必死に働いてためた貯金を吸い上げる仕組みになっているんですね。これ、偶然なんでしょうか?

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財務次官の講演をきっかけに、あらためて税と社会保障について考えました。
社会保障にたくさん使うから、税金が足りないと言っているからです。

ところが、大田区では、税金を1000億円も余らせ、国債を買うなどと言い始めています。
こんなに税金が「余る」ようになったのは、社会保障のためだから、と大田区に税金が集まるしくみを作ってからです。

しかも、集まった税金は、保育園の待機児に税金を使うと思ったら、国が、「民営化したら補助するよ」と言ったので、集まった財源を使わずにすんだのです。

結局、浮かせた税金は、社会保障サービスに使われずに、大田区だと、大田総合体育館という予定よりも立派な体育館を建てたり、羽田空港の跡地を165億円で国から買ったり、余らせて蒲蒲線など基金(=自治体の貯金)にためています。

それでは、安心して老後を暮らせるかといえば、特養に入れても貯金を切り崩さなければなりません。
特養に入れなければ、さらに負担は重くなります。

金融庁は老後に2000万円必要と言いました。

確かに年金で足りなければ、貯金を切り崩すしかないわけです。

老後の資金が必要だから、こどもの大学は奨学金で、と考えることも
あるかもしれません。

税金を教育のために使わないから当然ですね。

年金で老後の生活が支えられる金額、物価・介護サービス利用料になっていれば、安心ですが、
年金は安い、家賃も食費も光熱水費も高い、介護サービス利用料も高い、、
で貯金が必要、、、になる。

このシステム、見方を変えると、一所懸命働いてためた貯金を吸い上げる仕組みになっているんです。

これ偶然かな?と思ったら、偶然じゃないかも、と思う文書を見つけました。

6月7日に「新しい資本主義グランドデザイン」閣議決定されていますが、
以下の部分をつなぎ合わせると、

日本の個人の金融資産、中でも高齢者世帯が持っている500兆円や
年金積立金(積立金総額2020年度末190兆円)を
ベンチャー投資やインフラ投資に流して投資利益を上げさせようとしているのが
見えてきます。

 

その11ページ

我が国個人の金融資産2,000兆円のうち、その半分以上が預金・現金で保有されている。

現預金の過半を保有している高齢者に向けて、就業機会確保の努力義務が70歳まで伸びていることに留意し、
iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革やその子供世代が資産形成を行いやすい環境整備等を図る。これらも含めて、新しい資本主義実現会議に検討の場を設け、本年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定する。

その19ページに

個人金融資産及びGPIF等の長期運用資金のベンチャー投資への循環

2,000兆円に及ぶ日本の個人金融資産がスタートアップの育成に循環するとともに、GPIF(年金積立金管理運用道立行政法人)等の長期運用資金が、ベンチャー投資やインフラ整備等に循環する流れを構築する。

地方分権で社会保障の責任主体になった大田区では、財源が大田区に集まるしくみができてから、税金が余って、基金に積み立てるようになっています。

社会保障のために大田区に税金を集中させたのに、社会保障に使っていないのです。
特養の利用料が年金では足りない金額設定になっているのは、貯金をあてにしているからということです。

このシステム、別の見方をすると、必死に働いてためた貯金を吸い上げる仕組みになっているんですね。これ、偶然なんでしょうか?

地方は財源不足で大変だと思いますが、大田区のような都市部、特に23区は、法人住民税、固定資産税、消費税、住民税など、どれも、日本の中では特別にたくさん集まりますから、こういうことになっているのだと思います。

万が一にも、日本の個人の金融資産が投資に流れ、株価が下がったり、ベンチャーがうまくいかなくて、個人の資産がなくなったあとの社会を示していませんね。もちろん、うまくいった場合の社会もですが。

そういえば、「構造改革で日本の構造が、どういう構造からどういう構造に変わったか教えてください」
と内閣府に電話しましたが、内閣府の方は、わかりませんでした。

資料を探してけれど、見つからなかった。

新しい資本主義も、「何をするか」はありますが、どういう資本主義からどういう資本主義になるか
示すものはありません。

資本主義というのだから、資本家と労働者の関係性や、そこと政治=民主主義=意思決定との関係くらいは示してもよいと思います。