戦時体制下で生まれた東京都政(都区制度)が大阪都構想で復活、流れに乗る東京都

大阪府と大阪市を廃止して大阪都を作る「大阪都構想」が前のめりだ。

7月10日読売新聞
大阪に「湾岸区」…17年4月に都制移行目指す

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140710-OYT1T50039.html?from=ycont_top_txt

大阪府が東京都と肩を並べたような響きから「大阪都構想」を支持しているなら大間違いだ。

大阪都構想とは、大阪府と大阪市が廃止されるということ。
しかも、税金の流れがかわり、市に入っていた莫大な税金が都に流れることになる。
現在、東京都では、23区が東京市だったら市に入るであろう約1兆円が東京都に流れている。

これと全く同じことが戦時体制下において行われている。
昭和18年の東京都と東京市の廃止は戦時体制下で生まれた政治システムだというのをご存じだろうか。

東京23区特別区長会のHPにはそのあたりがしっかりと記されているのでご確認いただきたい。

http://www.tokyo23city-kuchokai.jp/gaiyo/tokubetsu.html

◇ 特別区制度の歴史 

 昭和18年、戦時体制下において「東京都制」が敷かれましたそれまでの東京府、東京市は廃止され、東京都が誕生しました。


集団的自衛権の解釈を閣議で変える政府。
戦時体制下のしくみにしようとする大阪市と大阪府。

実は、最近、東京都もこの流れにならっている。

というのも、戦時体制下において敷かれた都制度=都区制度だが、戦後、一貫して自治権拡充の運動が展開されてきた。(以下赤字部分)

23区は、平成12年には東京都の内部団体から脱却し、基礎的自治体として位置づけられている。それが逆行していると感じる。

昭和22年5月3日、日本国憲法とともに施行された地方自治法では、特別区は一般市と同格の自治体として出発しました。ところが、実際には多くの事務権限が東京都に残されていたため、以後半世紀に及ぶ自治権拡充のための運動が展開されることになります

 昭和27年の地方自治法改正では、特別区は東京都の内部的な団体とされ、区長の公選制も廃止されてしま いました。その後、東京の巨大都市化に伴う行政の行詰まりや特別区の自治権拡充運動を背景に、順次都から区への権限移譲が行われ、昭和50年には、区長公 選制の復活をはじめ、特別区を原則市並みとする改革が行われました。

 多くの区民や都区政関係者の粘り強い自治権拡充運動が実を結び、平成12年4月1日から、特別区は東京都の内部団体から脱却して法律上の「基礎的な地方公共団体」として位置付けられ、今日に至っています。

私は平成15年23区が基礎的自治体になったあとに議員になった。この10年でも23区の自治意識は大きく変わってきていると感じる。

私が1期目の平成15年~18年当時、区長は区職員たたきあげ、しかも5期目だったこともあり、自治権に対するこだわりをもって区政を運営しているという気概は感じられた。

しかし、保育園民間委託、民営化、指定管理者制度導入、民間企業と自治体の合弁企業など、小泉構造改革の影響が始まった時期でもある。
区長も長期政権の影響か、民間企業との癒着と思えるような配慮をみせる事業もみられたが、これも、官民の線引きがあいまいになってきた時代を反映していたのか。

私の二期目平成19年に区長が代わり、自民党の区議会議員~都議会議員をつとめた現区長が就任した。

都議会議員は東京都の職員の手のひらにいるとも言われるが、この前後から23区長に都議上がりの区長が増えてきた。

また、23区内に東京都の職員それも管理職が交換人事?などで多く配置されるようになっている。

現在、大田区では、任期途中に副区長が理由不明のまま退任し、東京都の特別職である出納長から、東京都住宅供給公社理事長、東京地下鉄株式会社(東京メトロ)代表取締役副社長などを勤めた幸田昭一氏が就任している。

先日行われた練馬区長選挙では、東京都の元知事本局長が当選した。

都議会議員あがりの区長が増え、東京都の職員が区内に増え、23区内をみれば自治権拡充運動が縮小してきているように感じる。大阪も、東京も戦時体制下のしくみに戻ってきてはいないか。

で、なぜ、都構想=都区制度が戦時体制下のしくみなのかという話しを少し。
戦争は経済的収奪。

市町村と都道府県と国はそれぞれに財源が違う。

ところが、都区制度とは、区の財源を都と分け合うしくみなのだ。企業も人も一極集中させて法人税や住民税をあつめ、地価をあげて固定資産税を集める。

で、この都心部に集まった税金は、本来であれば、市町村が保育園や特養など住民福祉に使うのだが、これを都区制度にすると、都が全額集められるようになる。たとえば、23区の固定資産税と法人住民税は、100%東京都が集めて、そのうち45%を都がとってしまい、残り55%を23区間に東京都が配分している。
東京都は大都市事務をしていると言っているがとった45%分仕事をしているのかという議論がある。(23区側の主張が最近は弱くなっているけれど)

なぜ、東京都も大阪府も国家戦略特区で一極集中しなければならないのか。

一極集中して上がった税金は都にすいあげられ、再開発や区画整理やオリンピックやリニアに流れていかないか。

今年の4月から法人住民税が一部国税化された。

23区は税収が減った。
東京都も減ると思ったら、石原元都知事の時に国税化された法人事業税がちょうど法人住民税国税化分くらい戻されほとんど影響無い。

法人住民税国税化により23区民の保育園や特養など福祉財源が緊縮となる構図ではないか。

23区民に住民サービスを我慢させ東京都に税金は流れてていく。

戦時体制下の仕組みがそうさせている。そしてそれが更に強化されている。大阪市のみなさん、早く気づいてください。大阪都構想なんて一つも良いことが無いことに。
23区民が身を持って感じていることです。