大田区外郭団体改革プランに記されているよう産業振興協会は専門的立場から自主事業を展開し、一定の成果を上げています。
産業プラザの指定管理者としてふさわしものと考え賛成しましたが、そこには、いくつかの解決すべき課題があり条件付き賛成としました。
■費用分担が不明確で、財務状況がみえにくい外郭団体■
外郭団体は、人的にもまた財政的にも大田区とのつながりが強く、産業振興協会も例外ではありません。
特に、事務所としている施設は、大田区の財産であるため、維持管理費を大田区が負担していることや事業の補助を行っていることが経営負担を軽くしています。
しかも、施設は、大田区利用に加え、東京都など他の団体、財団事務局も使用しているうえ、財団には大田区からの派遣職員もいるなど複雑です。
こうした中で、施設管理を産業振興協会が行っていることが、費用分担をさらに分かりにくく、みえにくくしています。
産業にかかわる事業も、一見似たような事業でありながら、
①大田区産経部が行っている事業
②大田区が産業振興協会に委託している事業
③産業振興協会の自主事業。そこに大田区が補助している事業
④指定管理者である産業振興協会の自主事業
など、主体も様々です。「工業フェア」「おおた商い観光展」「大田区加工技術展示商談会」「おおた拡大ビジネスマッチングフェア」等々、聞いてもどこが所管か分かりませんし、どこが何を担うべきなのかといった体系的整理もされていないように見えます。
こうした整理が、結果として指定管理者としての産業振興協会の経営状況の判断のあいまいさにもつながります。
■比較的現金収入が高めの施設における利用料金制の課題■
~利用料金収入をすべて指定管理者の収入としてよいか~
現在のところ、産業振興協会に指定している産業プラザの施設管理は帳簿上黒字になっています。
しかし、産業プラザは、民間の営利目的の使用も多く、他の施設に比べ、利用料が高めで収入が確保しやすい施設です。
にも関わらず、利用料金でまかなうべき費用についての精査がなされていないところが問題です。
もし第三セクターの施設であれば出るはずのない収益がでるのは、固定費や大規模修繕費など本来自己負担であるべき費用を大田区が負担しているからなのです。
これまでの大田区が行ってきた他の指定管理者制度の利用料金制は、公共性が高く、利用料金収入を多く望めない施設で、指定管理料を上乗せして協定を結んでいます。
逆に、産業プラザの場合には、利用料金で何を負担すべきかをきちんと検証しなければ、場合によっては、産業振興協会に必要以上の利益供与となっている可能性もあるのです。
区立の産業振興施設において、指定管理者制度の利用料金制にして固定費を大田区で負担し、見かけ上の益をもって経営状況は良好であるとするのは問題です。
たとえば、空港跡地に建設しようとしているコンベンションセンターがこうした税金投入が見えない運営にならないためにも、産業プラザの協定は見直す必要があります。
産業プラザという区立の施設に、大田区の外郭団体が事務所を構え、しかも施設を指定管理者として管理運営している。大田区は、産業振興協会のメリットを強調しますが、逆に密接なつながりが、財政区分や責任所在の曖昧さにおいてデメリットになっています。
これらの体系的整理によるさらなる効率的、効果的な産業振興への寄与を期待します。