大田区立特養の指定管理者指定議案に賛成した理由について
特別養護老人ホーム蒲田、糀谷、たまがわと、蒲田、糀谷、下もある子、矢口、大森本町、たまがわ高齢者在宅サービスセンター、軽費老人ホームおおもり園を区立で運営し、指定管理者を指定するための条例改正議案が提出され、賛成しました。
私は、福祉分野は、指定管理者制度を採用すべきでは無いと考えています。
しかし、今回、私は、特養を民営化するのではなく、区立の特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンター、軽費老人ホームとして運営を存続させることを評価し賛成しました。
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第110号議案大田区立特別養護老人ホームの指定管理者の指定について
第111号議案大田区立高齢者在宅サービスセンターの指定管理者の指定について
第112号議案大田区立軽費老人ホームの指定管理者の指定について
賛成の立場から討論いたします。
これらは、特別養護老人ホーム蒲田、糀谷、たまがわと、蒲田、糀谷、下もある子、矢口、大森本町、たまがわ高齢者在宅サービスセンター、軽費老人ホームおおもり園を区立で運営し、指定管理者を指定するための条例改正です。
そもそも私は、福祉分野は、指定管理者制度を採用すべきでは無いと考えています。
しかし、今回の、私の賛成の理由は、区立で特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンター、軽費老人ホームが運営を継続することを評価し賛成いたします。
中でも経費老人ホームおおもり園は都内で唯一の軽費老人ホームになったそうです。
風呂が共同など、今の暮らし方の中で選ばれにくい施設配置になってはいてその部分は改善すべきですが、
都市型軽費老人ホームが
・専用の個室があること
・食事が1日3食提供される
などで、負担が大きくなっていることをみると
軽費老人ホームは、最も安い料金で入所、住むコトのできるという大きな特徴があります。しかも養護老人ホームおおもり園は指定管理者であっても採算性にこだわる利用料金制を採用していません。
採算性から見れば、区立でなければ、低価格の利用料で軽費老人ホームは運営できないという事です。
高齢というだけで家を借りることが困難な現状を踏まえれば、あらためて区立である意義を私たちは認識すべきで、養護老人ホームのような低価格で高齢者の住まいを提供できる仕組みを途絶えさせてはならず、区立であることに賛成します。
大田区は、平成25年2013年に「区立特養等民営化基本方針」を策定し、
民営化の三つの目的
・特別養護老人ホーム等の更なるサービスの向上。
・社会福祉法人のもつ専門性の地域への還元。・サービスの底上げに向けた区の役割転換。を掲げ民営化を進めました。
この方針に従い、
羽田、池上、大森の各特別養護老人ホーム及び高齢者在宅サービスセンターを先行して民営化を実施しました。
私は2008年度ごろに、特養の優先入所基準の問題に取り組み、調査をしています。
インシュリンの投与、胃ろう、タンの吸引など医療的ケアの必要な方や身寄りのない方で困難なケースなどが特養入所のポイントでいえば、優先度が高いにもかかわらず入所できない実態、また、区立と私立に分けて調査し、私立の医療的ケアや困難ケースの受け入れが低い問題と、区立特養の意義について質問したことがあります。
当時、胃ろうなど医療的ケアの必要な方の割合が区立特養では26%ですが、私立特養は14.6%と11.4%も低くなっていて、私立特養でも8~20%と大きな差がありました。その後、議会で指摘して私立特養の医療的ケアを必要とする方の割合が増えて改善されましたが、こうした数字の違いは、そもそもの介護保険制度の単価に関わる部分が大きく、法人の是非だけではなく、区立と私立の意義や役割としてとらえるべきだと思います。
特養の民営化方針を出した当時、大田区は、
民営化後におきましても、医療的ケアの必要な方や難しいケースの方への対応など、これまで区立施設が提供してまいりました、サービス水準は担保してまいりたいと考えております。
と、医療的ケアが必要な方や、困難ケースは、私立ではなく、区立が提供してきたサービスだと指摘し、その水準を担保したいと言っているのです。
同じ介護保険の単価で運営すれば、区立でも私立でも運営主体は非営利の社会福祉法人ですから、基本、採算性に大きな違いはあらわれません。
今後の特養の運営において考えるべきは、高齢者の医療的ケアや、困難ケースなどをどう支えるか、今の定員と単価で支えることが可能か、という視点が必要です。そうした意味では、区立・私立の比較検証をすべきで、区立だけの表面的なモニタリングでは評価することはできません。
指定管理者制度の利用料金制により、長寿園は大田区からの人を受け入れているものの、私立並みの経営を迫られています。
特養を必要とする区民、中でも困難を抱える区民が何人いるのか、その区民を今の定員で支えることができるのか、という単なる割合だけでない評価をして、
「区立が提供してきたサービスの水準を担保したい」と区が指摘するサービス水準を区立のこれらの施設が維持できるよう、区が補助することを求め、賛成とします。