進まない580億円の財源不足対策や予算執行の変化からわかる区民生活の動きに対応できない大田区政の課題について
第94号議案、今回の補正予算については、賛成いたしますが、区政へ2つの視点から意見を申し述べます。
ひとつが、聖域なき全事務事業の見直しが進まないことです。前回の補正予算で△19億円の見直し後の減額補正を計上していますが、それ以上に増額要因があり、結果として減額できたのは△3億6千万円程度でした。
今後3年間で580億円の財源不足と言っていますが、今回、1億5314億円の増額ですから、増額を加えれば2年で580億円かそれ以上の財源不足になり兼ねません。
財源不足による見直しが進まない中、このまま優先順位の低い事業を進めれば、福祉、教育、医療など区政の根幹に関わる、まさに区長の言う聖域の事業をやめることになるのではないかと大きな危機感を持っています。
区長は、580億円の財源不足を公表した責任、予算編成権を持つ責任者として、区民に対し財源不足にどう対応するのか、基金を取り崩す、区債を発行する、職員を採用しない、事業をやめる、増税するほか具体的に示すべきです。
もう一つが、狭あい道路拡幅整備に伴う工事請負費等が増額している問題です。
単価や件数、状況などについてより詳しい報告をいただきましたが、そこからは、単価の上昇と相続などによる不動産の動きに伴う開発増加という二つの動きが見えてきます。
人件費含めた工事単価の上昇は、契約当時と違ってもスライド制など、入札に反映させなければならない仕組みもある一方で、現場の作業従事者に上昇に応じた相応分が支払われない問題があります。私たちの税金が人件費上昇分より投資家利益に使われる構図だと思います。
結果、工事単価が上がり、最終的に物価が症状しますが、単価上昇に見合った賃金上昇なく可処分所得が亜減ります。
23区の人事委員会の調査では、期末手当だけでも引き下げの勧告が出ていて、給与だけが上昇しているとは考えにくい状況です。
大田区は、事業執行から見える、一つ一つ起きていることが、区民生活にどう影響を及ぼすかふまえるべきで、更なる民営化による税金の富裕層への移転をとどめ、十分な所得の安定した雇用創出につとめることを求めます。
そもそも、狭あい道路の拡幅整備の増額補正は、大田区の説明からは、42条2項道路のセットバックに伴う比較的大きな敷地の工事が増えていて、相続など所有権移転に伴う開発が行われていると推測されます。
いまも、空き家対策は大きな課題ですが、このまま相続に伴う開発を放置すれば、宅地が細分化され、敷地面積の小さな空き家さらに増えたり、競争力の弱い物件を持つ大家さんの賃貸収入が減ることになります。
12月5日の産経新聞の報道で、東京の商業用不動産投資額が2020年1~9月期で193億ドル(約2兆円)と、世界首位になったことが不動産サービス大手、ジョーンズラングラサール(JLL)の調査で分かったと報道しています。
都市計画の変更による、【最低敷地面積の制限】や【高さ規制】による【容積率の制限】により、無用で過剰な開発を抑制し、区民の住環境を改善させるとともに、区民の資産を守るべきだと思います。
開発業者ではない、区民の視点からの対策を求め賛成といたします。