大田区の区長・議員など特別職の報酬・職員の報酬改定に考えること
大田区の区長・議員など特別職の報酬・職員の給与や報酬など改定が行われ、すべての職ではありませんが、ほぼ、年収で引き上げの提案が行われました。
私は、区長や議員などの特別職の改定には反対、職員の改定には賛成しました。
以下に、その理由を記します。
特に今回は、
公民格差の是正と言われている区長議員や職員の給与や報酬の改定ですが、経年変化をみたら、民間も公務員も平均給与が下がり続けていて、
公民格差の是正は、給与の引き下げ合戦になっていないか、今の公務員給与の決め方が、その後の民間の給与の引き下げに影響しているのではないか、と感じました。
一部わかりやすくするために加筆していますが、いかが討論です。
2016年の報酬改定議案の討論もご参考まで
https://blog.goo.ne.jp/nasrie/e/33476b8cd398b9160043460eaa187e68
昨年は据え置きで、過去4年連続で給与、報酬の引き上げ
昨年は据え置かれたものの、その前の4年間連続で、職員、区長、副区長、教育長、行政委員会委員、監査委員、議員などの特別職の給与や報酬は引き上げられています。
今年の人事委員会勧告は、民間に比べ、給与で2,235円公務員の方が高く、特別給ボーナスで0.15か月公務員の方が低かったため、その差の是正が行われました。
年収で増える特別職の改定
給与比較で、官の方が引き下げられたため、一見すれば減ったように見える給与報酬の改定ですが、年額で、職員も特別職も行政院会員を除き、増えています。
年額で、
区長は91220円、
副区長72771円、
教育長65711円、
議長79507円、
副議長68046円、
委員長56779円、
副委員長55267円、
議員53470円
増えます。
区長、区議会議員など特別職の報酬引き上げに反対の理由
①民間が下がっているときに、意思決定権者が下げられない
非正規や不安定雇用、低賃金労働に悩んでいらっしゃる区民の方も多く、皆様の税金で支払われる、公務員の給与や退職手当、区長や区議会議員など特別職の給与、報酬、手当などが、給与で減ったとしても、総額で引き上げられますから賛成することはできません。
私は、議員の給料は安ければよい、数は少ないほうが良いという立場には立ちません。
②比較の対象が区民感覚と離れている
しかし、非正規雇用の平均賃金は、正規雇用の労働者にくらべ、3割から4割程度低くなっていますが、人事委員会は、労働者の61.5%を占める正規雇用の労働者の中でも規模の大きな事業所の給与と均衡させていますから、そもそもの根拠が民間感覚とはかけ離れています。
③自ら不安定雇用、低賃金労働を作っている大田区長や議員が下げるべきではない
しかも、区長・区議会議員はじめ、特別職は様々な形で、意思決定や政策立案に関与する権限を持っています。民間の雇用状況が厳しく、格差が歴然と存在し、厚生労働省も当初所得の格差はあるものの、それが社会保障で改善されていると言っていますが、保育園や特別養護老人ホームなどを十分に提供できているか、公営住宅の数や質は十分か、大田区自らが、非常勤職員、あるいは、民営化民間委託先の雇用で不安定雇用、低賃金労働を作り出していないか、などを考えれば、まだまだ、取り組むべき課題は多く、議員はじめ特別職が、民間に連動し、年額で引き上げるような立場に無いと考えます。
行政委員会委員や監査委員については、特別給が無いため、総額でも引き下げですが、民間に連動して上げたり下げたりすることには変わらず、そうした評価で報酬を決めるべきでは無いと考え反対といたします。
④大田区職員の雇用はこどもや孫の世代の雇用でもある
一方の、職員ですが、職員は労働者です。
公務員だから、給与が高いからと、批判の対象として安ければよいと言った判断を続ければ、私たちのこどもや将来の世代の雇用の不安定を招くことになります。
特にこの間、民間も非正規雇用が増え、正規雇用と言っても、派遣会社の正規社員であったり、無期の雇用や社会保険がついていれば正規雇用と呼ぶような、正規と非正規の区別がつきにくい状況になってきています。
しっかりと雇用をまもっていかなければならいと思います。
今年は、
給与総額で、引き上げになっていて雇用を守るためにも、賛成いたします。
⑤「官民格差の是正」で、官も民も下がて来た所得
この間、官民格差の是正という考え方で、人事委員会の勧告により、公務員の給与の改定が行われてきています。
ところが、
今回、2014年からの民間給与・特別給と職員給与・特別給を比較したところ、一貫して官も民も下がり続けていて驚きました。
職員平均給与は
2014年 403,409円で(42.4才)
2019年 385,424円で(39.4才)
と給与は減って平均年齢も3才若くなっていました。
特別給(ボーナス)は、3.95か月から4.5か月に増えていました。
一方民間の給与は
2014年 404,218円
2019年 383,189円と減り、
特別給(ボーナス)は4.22か月から4.65か月へと増えていました。
官民格差の是正と言って、民間に合わせていたら、官民双方の給与平均が減り続けているのです。
平均年齢が3才若くなっているので、という見方もできますが、減り続ける給与平均についての分析が課題だと考えます。
しかも、官民の特別給の月数は増えています。
給与と特別給の支給割合で、給与を減らし、特別給を増やしている可能性がありますが、退職金算定の基礎数字となる月額給与が減れば、退職金が減ることになります。
⑥民間企業にとって給与はコスト、そこと連動させることの問題
民間企業にとって、従業員の給与はコストです。
利益の最大化のためにコスト削減で給与を減らすことがあるのが民間です。
この間、雇用は不安定になり、賃金は下がり続けています。
官民の格差の是正のために公務員の給与改定が行われれば、民間における給与はコストであり、利益の最大化のためにコスト削減で給与を減らす民間に、公務員給与が近づくことになります。
⑦あるべき所得、賃金のための報酬改定で、官も民も雇用を守るために
官と民の給与の引き下げ合戦にしないためにも、現在の人事委員会勧告の在り方には改善が必要だと思います。
結果として、働く者の給与が減ってしまい、安定した雇用が失われるからです。
以上の理由から職員給与と退職金の引き上げに賛成、区長副区長議員はじめ特別職の給与報酬等改定議案に反対といたします。
政党・会派ごとの賛否
https://www.city.ota.tokyo.jp/gikai/honkaigi_iinkai/honkaigi/h_31/4teirei/taido.html