来年選挙に出たいから、多選自粛条例を廃止する松原忠義大田区長のここが問題
松原忠義区長は、1期目の時に、ご自身に限り3期でやめるという条例を作りました。
松原忠義区長の公約だったので、それを条例にしたのです。
議会では、公約は自分が立候補しないことで守ればよい。条例の私物化はどうかと言った批判がありました。
ところが、松原さんは4期目をやりたくなってしまったので、自分で廃止の議案を出して、4期目やると区民とマスコミの前で宣言しました。議案に対する奈須りえの考え方をご報告します。
第108号議案「大田区長の在任期間に関する条例を廃止する条例」について反対の立場から討論します。
区長が来年の選挙に立候補するために、この条例の廃止議案を出しています。
松原忠義区長一期目の時に、ご自身に限って多選と位置付けている4期目は立候補しないと宣言し、この条例を作ったからです。
私は、予算の編成権という強大な権限を持つ首長の多選の弊害については理解をしていますが、この条例には賛成しませんでした。
当時私は、会派の代表で討論はしませんでしたが、
①現、松原区長本人に限り三期までと定めるのであれば、条例ではなく議会における公約で十分ではないか。あえて条例制定する意味があるのか。
②個人の問題は条例にはなじみにくいのではないか。
*こうした個人に限った条例策定が許されてしまえば、例えば、議会の大半が首長の反対派をしめる場合に、多選自粛条例を制定し、首長の任期を制限するといったかたちで悪用される恐れも無いとは言えない。
③特定の個人の職業選択の自由を侵害することにならないか。つまり、憲法違反。
*ニューヨーク州上訴裁判所は、1993年、全候補者に中立的に提要される合理的基準によっていることを理由として多選禁止は正当であり執行されるべきであるとの判決を出しています。(レファレンス 平成19年7月号「諸外国の多選制限の現況」三輪和宏氏:P12緑のアンダーライン部分参照)
全候補者が対象ならば職業選択の自由を侵害しないということは、翻れば特定の個人に限定した禁止条例は憲法の職業選択の自由に抵触することになるのではないか。
こうした考えをネット上で公開しました。
今もその考えに変わりはありません。
そもそも、松原忠義区長ご自身が、先日の質疑でも「今も、多選の弊害はある。」と言っています。
この多選の弊害はどうするのかという質疑に対しては、「弊害が起きないようにする」という曖昧な理由で大丈夫といっているのです。これこそが多選の弊害だと思います。
多くの方たちのもう一期やってほしいという声は、区長に届きますが、批判の声は届いていないのでしょう。
区長は、11月30日に、大勢の傍聴者の前で「次の期も引き続き区長の任につく意思」を明らかにし、「多選自粛条例を廃止する」と発言しました。
奇しくもマスコミが来ていて、翌日の新聞にも掲載されたそうです。マスメディアを使った効果的な立候補宣言です。ご自身は否定されましたが、こうした一連の条例提案・廃止も、議会の私的使用ではないでしょうか。
熟慮に熟慮を重ねて準備した立候補宣言はうまくいったかも知れませんが、多選の弊害をどうなくして区政運営するのか、質疑に対する答弁からは全く見えてきませんでした。
そもそもの条例の設置には反対なので、なくすこと自体に反対というより、この条例廃止議案により、立候補を演出し、多選を弊害だと認めながら、自分だけは大丈夫というまさに多選の弊害があらわれ始めていることに、NOを言うために、議案には反対いたします。