地方分権で何が変わったか 

ちょっと古い話ですが、政治のしくみが中央集権から地方分権にかわりました。

結果、何が変わったかと言えば、子育て・介護・障がいといった社会保障の責任主体が国から大田区(地方=基礎的自治体)に整理されたということです。

それまでは、国の責任で行うことを、国の代わりに大田区が行っているという位置づけでしたが、子育ても介護も障がいも一義的には大田区の責任になります。

是非はともかく、政治の仕組みとして、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の責任を大田区が負うことになったということです。

責任ばかりが大きくなり、財源が伴わないじゃないか!という議論もありました。
そのとき、私は、一年生議員2年目でしたが、下記のような質問をしています。

(2004年9月大田区議会第三回定例会 代表質問)
三位一体の改革に伴う補助金の削減と一般財源化】

三位一体の改革
覚えてらっしゃいますか?
すっかり、昔のことのようになっていますね。

「国庫補助負担金の廃止・縮減」
「税 財源の移譲」
「地方交付税の一体的な見直し」
の三つを推進してきたわけですね。

で、保育園が大田区の事務になり、国の補助金が減らされてきた時に、財政的に大丈夫なのかという質問です。

それでも、大田区の責任が大きくなる分権が進む過程で、住民税は一律10%と実質増税になり、区民の負担も増えています。

これは、保育園に使いなさいと国から出ていた補助金が、紐つきでなくなり、言ってみれば、フリーハンドで使える財源が増えたということです。

当然、保育園に使われている「はず」ですが、そこが明確になっていないわけです。
で、優先順位が問題になるわけですね。

たくさんの待機児を解消しなければならないことを理屈に、コストの安い民間保育のしくみを次々と作りだしてきたわけですが、これまで、〇人の子どもに〇円の財源を投入して行ってきた保育事業が、今、△人の子どもを△円になったという形での分析ができていません。

地方分権を進めるにあたり、国会では

「住民に一番身近な自治体が生活課題を解決するために、国から地方へ権限をおろしましょう。」

と決議されました。

権限は国から大田区までおりてきていますが、住民=私たち区民の手にあるという実感はありません。

大田区までおりてきたのに、区民が権限を大きくしたと実感できていないのは、行政や議会がその権限を区民のために使っていないということではないでしょうか。

では、その権限を誰のために使っているのか。
私たちの手に取り戻すにはどうしたらいいのか。

予算の編成権は区長にあり、予算の議決権は議会にあります。

区民生活のための予算を編成できる区長を選ぶ。

区民生活のための予算に賛成し、そうでない予算は、問題点を指摘し修正を求めるとともに、改善されなければ、否決できる議員を選び、議会を作る。

そのためのチャンスが、統一地方選挙。大田区の投票日は4月26日です。

*国家戦略特区など、この間の一連の規制緩和に関り奈須りえは、権限の行先は「企業」。地方分権は「企業分権」だったのではないかと分析しています。