大田区議会で始まった発言制限 実質影響を受けるのは奈須りえ
多数決で議会運営すれば、異論排除も可能
羽田都心低空飛行・リニア・せせらぎ公園大量樹木伐採・民泊・国家戦略特区…等々、奈須りえが取り組みはじめて広がった問題は少なくありません。
ところが、会派ごとの発言回数や時間を表(表参照)にし、発言回数や時間が多く長いことを取り上げるなどしていたと持ったら、一人5分(1日程)という制限をかけてしまいました。
議会では、議題を委員会事に分けて審査していますが、そのひとつひとつを日程とよんでいますが、
一つの日程で審査される議題は、必ずしも決まっていなくて、多いときは20近い議案を審査することになります。
ところが、今回の制限は、議案の数が多くても少なくても5分です。
これによって影響をうけるのは実質一人会派の奈須りえです。
たとえば、2015年に議会事務局が、その年の5月の臨時会から12月までの質疑と討論の回数と時間を調査して、一覧表にしていますが、これをみるとわかるように、多くの会派は、ほとんど質疑や討論をしていないからです。
民主主義は多様な意見の中からより良いものを選ぶ仕組みですが、多数派の発言機会を多くすれば、少数意見は発言の機会を失います。
議会運営を多数決で決めれば多数派に有利な議会運営にすることも可能です。
全会派一致でないと議会運営は変えられないという議会もありました。
今回のルール変更にあたり、他議会が自由な発言を認めていない23区の他議会の議会運営と比べていましたが、全国の議会の中には、与党会派含め多くの会派が質疑や討論をしている議会もありました。
上記の資料が出てきた当時の議会運営委員会などで議論された内容などを、以下にご案内します。
こうして決定の背景にこういう気持ちがあるとしたら、怖いことだと思います。
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大田区議会の議会運営委員会では、議会での発言で
・「自己の意見を述べている」
・「当たり前のことを聞いて効率性に欠け残りの49人の議員全員が拘束される」
・「『個人の意見』を述べているような場合は議長から注意していただきたい」
と言った意見がだされていると議会事務局から報告をうけました。
大田区議会の議論にかける時間はどうなっているでしょう。
議会運営委員会で配られた大田区議会の会派ごとの「質疑」「討論」回数・時間数は以下の通りです。(平成27年第一回臨時会以降)
私は「フェアな民主主義」という一人会派でブルーの部分です。
上記の表をみると、質疑も討論も行わない会派・議員が多数を占めていることがわかります。
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本会議場における各議員が持つ質問時間数は、一人年間40分。これには答弁の時間も含まれます。
予算特別委員会と決算特別委員会は、一人25分から30分程度。これも答弁の時間を含めた時間数です。
本会議場の質問+答弁40分、予算決算で約1時間。
一人が質問する時間は、答弁含め、多めに見ても2時間を大きく欠けます。
これ以外に、月各一回程度、常任委員会、特別委員会が開催されます。
だいたい10時から始まり12時ごろになると終わります。
以前は、昼の休憩をとって午後再開することもありましたし、昼過ぎまで続けて議論することもめずらしくありませんでしたが、委員会開会前に今日は早く終わろうと言われたり、12時近くなるとそわそわしはじめたりすることもあります。
委員会の約2時間、ひとことも発言しない議員もめずらしくありません。
そのうえ、発言を効率性や個人の意見だからと制限するなら、議会は何をする場でしょうか。
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議員は、議会において、「質問」や「議案の審議」を行っています。
議案の審議
◆質疑
質疑は、
「議題となっている議案に対する疑義を正すもの」「疑問点を質っすもの」「議案審議の段階で最も重要なものである。」
「自己の意見を述べることができない。この場合の意見とは、討論の段階で述べるような賛成、反対の意見であって、自己の見解を述べないと質疑の意味をなさないようなものについてまで禁止しているものではない。」
などと「全国町村議会議長会」編の「議員必携」にも記されています。
◆討論
委員会で審議されたのち、本会議場において、委員長報告ののち、議案に対して討論を行います。
この討論は、議案に対する賛成、反対とその理由を述べることで他の議員を自己の意見に賛同させることを目的とする発言です。
「簡易な議案で特に反対者もいないような場合でも、討論は省略できないことになっている。それは、議会が言論の府であって、討論を十分尽くすべきであるから、討論そのものを省くということは適当でないからである。」
これも「全国町村議会議長会」編の「議員必携」のことばです。
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・「自己の意見を述べている」
・「議会の効率性にも欠け残りの49人の議員全員が拘束される」
・「『個人の意見』を述べているような場合は議長から注意していただきたい」
言論の府が、議論を効率性を理由に省略し、意見を制限しようとしていることに民主主義の危機を感じます。
大田区議会は、区政の課題が複雑、高度化しているからと、先日の議会で、議員報酬を引き上げています。
区政課題が複雑化、高度化しているなら、議論に十分に時間をかけ、少数意見も排除しない議会運営がより望まれるのではないでしょうか。
そこができないままに、報酬は引き上げ、効率性に欠けるからと発言を制限することには問題があると考えています。