議会改革と大田区議会

国政に問題が無いわけではありませんが、それでも、マスコミが報道するため、ふれる機会もあり、不満や批判の対象になっている点で、まだ「まし」と言えるかもしれません。

自治体、それも区市町村政治になると、何がおきているかさえ見えず、問題にすらならない存在ですが、そのことこそが一番の問題かもしれません。

そんな存在である大田区でも、介護保険や国民健康保険など特別会計を除く一般会計だけで年間2300億円と言う莫大な予算が使われています。

国政とは違った顔の見える関係の中での政治には、そうした点での課題もあり、議会の果たす役割は大きいはずですが、執行する行政と、チェックし、立法により規制する議会、そして区民に求められている役割が十分に機能していないのが現状です。

変わらなければならないのは、議会だけではありませんが、議会が率先して変わらなければ、政治は変わりません。

大田区議会において、感じている課題、遅々として進まない改革を、具体的に進めていくため、先日の議会運営委員会において委員外委員としての発言を求めました。

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議会運営の基本は、地方自治法にありますが、実際にどのように運営していくのかは、その自治体によって大きく異なります。

「議会改革」の進んでいる先進的自治体とそうではない自治体との違いもありますが、例えば、東京都内においても、23区とそれ以外の市部とでは、議 会の状況も大きく異なります。23区は、東京都の内部団体(東京市だった時の名残り)的体質が、未だ抜け切れていないのが現状です。都区財政調整という、 23区特有の財政システムが、23区の自治体としての自治意識を十分なものにしていないという背景もあります。

自治体政治の問題は、議員個人の資質(政策立案能力や人格等々)も影響しますが、議会運営そのものがネックになっている問題も少なくありません。

議会が区民に見えにくいといったそもそもの話の中には、議員個人の問題だけでは無い、議会運営のルールが原因になっているものも少なくないのです。

そして、そのルールを決めているのが、「議会運営委員会」です。

ところが、大田区では、議会運営委員会には、3人以上の「会派」を構成していないと所属できないことになっています。

そこで、先日、議会運営委員会に委員外委員の発言を求めましたが、否決されました。
事前に、委員長に対して、発言の要旨を書面で提出し、発言の機会を求めています。

発言することすら認めないのが、現在の大田区議会の大半の議員の考え方であると言うことです。

以下に、発言の内容を記載します。

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議会運営委員会委員長 伊藤 和弘 様
大田区議会運営にあたり、慣例として行われております、下記の問題について、ご検討いただきたくお願い申し上げます。

大田区では、3人以上で構成する会派を「交渉会派」として、「交渉会派」に所属する議員とそれ以外の議員との間で、議会活動において様々な違いがあります。
地方自治法上、「会派」は政務調査費支給における支給先と定められてはいますが、それ以外「会派」について言及している条項はありません。
ところが、大田区では、例えば
1.議会運営委員会・総務財政委員会には、「交渉会派」の議員しか所属することができない。
2.委員会委員長、副委員長、理事は「交渉会派」の議員からしか選ばれない。
3.各審議会、付属機関などに「交渉会派」の議員、或いは、委員長・副委員長からしか選ばれない。
4.代表質問、総括質疑、締めくくり総括質疑が出来ないなど、議会活動における違いがある。
5.区議会だより編集委員会メンバーになることができない。また、区議会だよりにおいて、予算に対する意見を表明することができない。
6.1回の議会で質問する時間を制限されているため、各本会議において発言することができない。そもそも、1回の質問時間10分は、選挙で選ばれ、年間報酬で約1000万円。政務調査費も含めると1300万円近くの報酬を受ける議員として短すぎる。

などということが行われています。他にも列挙すべき点は限りありませんが、当面の議会活動において見えてくる違いをあげさせていただきました。

結果として、発言権に差が生じるとともに、報酬にも差が出てきています。選択する時に「会派」が一つの選択肢に入ることはありますが、投票用紙に記載するのは、「会派」ではなく、個人名であるという基本にかえる必要があるのではないでしょうか。

また、今回、生活者ネットワークは2人で会派を構成しましたが、交渉会派ではないにもかかわらず、一人会派では、会期を超えて融通のできる年間質問時間が、融通できなくなります。このルールには、何ら合理的説明がなされていません。

こうした、会派ごとに制限を加えるルールは、1人会派を2つ構成して活動した方が柔軟な議会活動が行える可能性があり、公平な議会運営に疑問を持たせることにもつながりかねません。

各ポストや役割において、報酬を付与すべきかは別の場面に譲るとしても、議員間に、「交渉会派」というくくりだけで、発言権や報酬に差を生じさせる とともに、「交渉会派」外においても、合理的な根拠無く議会活動に制限を加えることが適当な議会運営であるか、考えなければならない時期にきているのでは ないかと考えます。よろしくご検討をお願い申し上げます。