平成23年度大田区一般会計補正予算(第一次)に反対した理由
■今回付託された議案■
31号 平成23年度大田区一般会計補正予算(第1次)
可決
ネット:反対
ネット 反対
自民 賛成
公明 賛成
共産 賛成
民主 賛成
みんなの党 賛成
無所属の会 賛成
緑の党 賛成
たちあがれ日本 反対
■参考資料■補正予算書
補正予算(表紙)
補正予算(目次)
補正予算p1
補正予算p2
補正予算p3
補正予算p4
補正予算p5
補正予算p6
補正予算p7
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震災対応事業以外の予算の多くは、特に、今回の補正予算で計上せず、当初予算に盛り込むべき予算がほとんどであり、区長選を配慮しての政策的予算(予算は 区長選挙前に策定されています。選挙後に誰が区長になるか分からないという理屈から大まかな「骨格予算」と呼ばれるものを策定し、選挙後に選任された区長 がその特色を活かした「政策的予算」を盛り込むのがこの補正予算であるという見方があります)とみるには中途半端なものでないかと考えます。
【安全性を確認していないグループ保育室事業】
その中でも、家庭福祉員制度におけるグループ保育室事業は、特に、問題があります。
家庭福祉員制度における北糀谷グループ保育室の新設費用735万1千円が計上されています。このグループ保育室整備は、区民住宅条例の一部を廃止して行うものですが、
■条例改正において点検すべき問題点■
住宅政策も未だ解決していない状況において、区民住宅を廃止し、子育て支援策に取り組むことが政策選択上許されるのか。
集 合住宅内のメゾネットタイプの住戸における集団保育事業の安全性が確保できているのか。また、仮に消防法の見地から認められたとしても、無認可、認可外な どの保育施設に対して、認証保育所への誘導など指導する立場にある大田区が、認可並みの安全性が確保できていない場所でみずから運営を行うことが適当か。
他の公有財産を、有効活用という視点から十分に検討しているのか。
区民の財産である公共用財産の適正管理という視点から、みたとき、地方自治法上の主旨にそった手続きがとられているのか。
という視点から点検すると、
■条例改正における問題■
区民住宅に空き室があるのは、賃料の見直しをしていないからで、見直しをすれば、入居希望者はいること
大田区は消防署に確認していないため、「プラムハイツ北糀谷のメゾネットタイプ上階部分は複数の保育者と子どもが集まる、実質小規模保育所と同じである」として消防が認めるのか不安が残ること。
職員住宅など他の不用不急の公有財産について有効活用の視点からの点検が十分に行われていないこと。
要綱ではなく、グループ保育室設置条例など条例による施設設置と運営がなされなければならないのではないかということ。
などの点において問題があります。
詳細については、「第33号議案大田区民住宅条例の一部を改正する条例」についての討論の中で申し上げますが、グループ保育室設置そのもののについて反対 ではありませんが、これらの点からの十分な検証が必要であり、施設改修費を計上する段階に無いと判断し、反対します。
【税金の無駄遣いになりゴミ削減につながらないプラスチックごみの資源化費用】
■資源化の目的は環境負荷を与えないこととゴミ削減■
一方で、行政回収の推進事業として資源回収品目の拡大のための予算504万2千円が計上されています。
2007年10月から大田区ではそれまで不燃ごみだったプラスチックを可燃ごみとして焼却するようになっています。
心配されていた温暖化ガス排出の増加について、東京23区清掃一部事務組合は微増であると説明し続けてきました。
しかし、生活者ネットワークは、直後から、一部事務組合の温暖化ガス排出量の試算は、容器包装その他プラスチックを横浜市や名古屋市並みに資源化した場合であること。
23区が容器包装その他プラスチックを資源化せず焼却すれば、温暖化ガス排出量は一組の試算どころではなく、大幅に上回ると指摘させていただいてきました。
指摘を無視し続けた一部事務組合も、最近になってようやく、温暖化ガス排出量が試算を大きく上回り増えていることを認めています。
一方で、資源化の問題は、単なる資源の有効活用ではなく、ごみ削減への誘導策として活用されなければなりません。
当初3R(リデュース、リユース、リサイクル)と言われていたゴミ処理の原則は、リサイクルが目的にならないよう2Rリデュース(ゴミ削減)、リユース(繰り返し使う)を前面に掲げるようになってきています。
現在の、排出されたゴミを自治体が税金でリサイクルし後始末する仕組みを続けているうちは、製造者・消費者・自治体、どこにもコスト意識が働かないため、リサイクルすればするほど、自治体の負担が増え、ゴミ削減につながらないからです。
こうした理由から、プラスチックは、安易に焼却するのではなく、資源化することにより、環境への影響とゴミ削減につなげるべきであると提案してきました。
大田区もリサイクルによる回収、運搬、保管費用による自治体負担が大きいことから23区区長会を通じ「拡大生産者責任の原則に基づき事業者が応分の負担を するとともに事業者が主体となるリサイクルシステムが確立されるよう、事業者と自治体の役割分担を明確にすること」を国に対し要望しています。
■容器包装リサイクル協会に無料で持ち込める資源。なぜお金を払って引き取ってもらうのか■
ところで、今回の504万2千円には、収集運搬費用と中間処理経費と再商品化費用が含まれます。
資源を集める収集運搬費用と集めた資源を、きれいなものと汚れたもの、資源では無いものに分別し、梱包する中間処理費用は理解できますが、区は、再商品化費用としてtあたり37000円を計上しています。
通常、中間処理してベールに梱包された資源は、日本容器包装リサイクル協会に無償で引き取られることになります。
ところが、大田区は、今回、あえて、中間処理費用をかけて、きれいに分別した資源を、容リ協会ではなく、民間の事業者に逆有償=つまり大田区がお金を支払って引き取ってもらおうとしているのです。
このことには、大きく2つの問題があります。
まず、第一に、税金の無駄遣い以外のなにものでもないことです。税金を使ってきれいにして、売るなら分かりますが、なぜ大田区がお金を支払って引き取ってもらわなければならないのでしょうか。
例えば、大田区全体で、資源化が始まった場合、容リ協会のルートで資源化すれば、490万円で済みますが、今回の独自ルートに乗せれば、1億6千400万円もの費用がかかると大田区自身が試算しているのです。
区は材料として使用する「マテリアルリサイクル」を目指したためと説明していますが、区民への指導、分別と中間処理を十分に行えば容リ協会を通じ資源化し てもマテリアルリサイクルを行うことは可能です。容リ協会に持ち込めば安価に取り組めるにも関わらず、民間事業者に有価、お金を付けて引き取ってもらうな どは監査対象にはならないのでしょうか。もう既に特定の事業者が想定されているのでしょうか。
もうひとつの大きな問題は、容器包装リサイクル協会に持ち込まないのであれば、拡大生産者責任を製造者に求めることができず、23区区長会を通じた要望を大田区自らが放棄したかたちになるということです。
容リ協会に持ち込んで初めて、資源化費用が、製造者に請求されることになりますが、独自ルートを選べば、製造者は、資源化に対し責任を持つ必要がなくなるからです。
504万2千円。総額で計上すれば、区民にはわからないとでも思ったのでしょうか。区内全面展開された時に到底取り組むはずもない、事業者への逆有償独自ルートをあえて補正予算に滑り込ませたことは大きな問題です。
今回、資源化費用は、補正予算で計上されていますが、区長は未来プランの中で、平成23年度から資源化のモデル事業に取り組むと明記しており、当然、当初予算に計上されるべき政策的事業費です。
この重要な政策的事業が、政策目的とかけ離れた、しかも、区民の税金を無駄遣いする形で行われることは大きな問題であると同時に、区政に大きな失望を覚えざるを得ません。
以上の理由から到底賛成することはできず、反対いたしました。