災害廃棄物広域処理について考える
今日は、雑感を記します。
昨日、東京都が受け入れ、る宮城県女川町の災害廃棄物受け入れ説明会に参加しました。
先行受入れ岩手県宮古市に続く、災害廃棄物受け入れです。
以前にも少しふれていますが、同じ、東京都が(一方的に)受け入れると表明し、議論になっている災害廃棄物受け入れですが、おかしなことがたくさんあります。
■焼却施設を持っていないため受け入れを表明する立場に無い東京都■
そもそも、東京都は受け入れを表明できる立場にありません。
なぜなら、焼却施設を持っていないからです。
東京都の権限で直接、災害廃棄物処理に寄与できるとするなら、埋め立て処分場への埋め立てでしょう。
今回の、災害廃棄物処理も、東京都とは別個の、独立した自治体が持つ清掃工場が受け入れることになりそうです。
東京都は、23区や市の清掃工場を「あて」にして、手を挙げているのです。都合のよい話です。石原都知事の「英断」が評価されているようですが、「英断」でも何でもありません。被災地の廃棄物処理は早急に行うべきというのは、誰にでもできるからです。
あえて、「英断」をいうなら。受け入れを全員一致で「確認」した23区の区長たちであり、市長たちでしょう。
■東京都に従わざるを得ない区と市など■
しかし、実態として、様々な財政調整金や施設設置の許認可、補助金の権限を持つ「東京都」に逆らえるはずもなく、押し付けられているというのが適切な表現だと思います。
実際、東京都にいわれたから(災害廃棄物受け入れは)断れないと言っている(大田区ではありません。念のため)職員もいると聞きます。
裏返せば、23区や市は、清掃工場の管理運営において独立していて理論上は断れるがそうはいかないということです。
特に、23区は、ごみの焼却灰を東京都が管理する中央防波堤に埋め立てていますし、そもそも、清掃事業はついこの間、平成12年3月末まで東京都が行ってきた事業でもあります。
現在、23区の清掃工場を管理運営するために東京二十三区清掃一部事務組合という地方公共団体が設立されていますが、東京都の職員だった方たちも多く在籍しています。慣例的に副管理者は東京都の職員という背景もあります。
東京都が23区の清掃工場を「自分のもの」だと勘違いしてしまうのも、こうした過去の経緯によるところが大きく影響しています。
■説明会の責任さえとらない東京都に災害廃棄物受け入れ?■
災害廃棄物受け入れに不安を持つ区民、市民の対応をしている区や市は、東京都との間に挟まれ、厳しい状況にあることは想像に難くなく、昨日の説明会をみいていても、大田区の職員に同情を禁じぜざるをえませんでした。
なぜなら、廃棄物受け入れの協定を締結したのは東京都であり、実際に焼却するのは東京二十三区清掃一部事務組合ですから、説明会主催は東京都で、返答すべきとも東京都と東京二十三区清掃一部事務組合。
大田区職員が説明会の準備をし、本来、東京都や東京二十三区清掃一部事務組合が返答すべきことまで、大田区が回答させられていたのはおかしな話です。
岩手県宮古市の災害廃棄物受け入れにおける廃棄物受け入れ説明会を多くの区民が望み、大田区を通じ、東京都に開催するよう要望してきました。
その際の、大田区の回答は、「説明会は、東京都が開催すべきものであり、引き続き東京都に説明会開催を要望していく」というものでした。
それが、なぜ、”大田区開催説明会に”なってしまったのでしょうか。
こうしたところにも、地方分権がかたちだけのことで、現場に根付いていないことがわかります。
■ことばだけで現場に根付いていない地方分権■
そもそも、災害廃棄物の処理を広域処理とした国の地方自治体清掃行政に対する認識が、分権を軽視しています。
国が、広域処理を自治体に依頼するのであれば、廃棄物処理の全容を示すべきで、自治体と自治体議会に対し被災地の災害廃棄物の実態と処理の計画を示すべきです。
私は、大田区の清掃行政を所管する都市環境委員会に所属していて、情報提供を求めてきましたが、そうした資料をみたこともなければ、説明を受けたこともありません
■国主導の災害廃棄物処理にみえる問題点■
今回、東京都は、環境省が自治体に行った打診にこたえ、受け入れ可能廃棄物の種類と量について答えています。
そこには、市や区の清掃工場の余力も記されていますが、加えて民間廃棄物処理業者の受け入れ余力まで答えています。
自治体の分権の観点からも、また、民間事業者の適正な経済活動への自治体の関与の視点でも疑問が残ります。
環境省の事前調査が、事前調整の機能を持ち、結果として、自治体への押しつけ廃棄物処理と、民間事業者への競争性のない、廃棄物受け入れにつながってはいないでしょうか。