私道等を公の管理にするには、寄付が原則です。
区民に私道を寄付させる一方で、別の区民からは土地を買い上げているとしたら納得がいきません。
2011年の第二回定例会。大田区は、購入した土地を区有通路として認定しようと区議会に議案を送付しました。明らかな条例違反だったので、私がその部分についての議案質疑をすると通告したところ、議案を撤回したことがあります。
大田区は、第四回定例会で区有通路の寄付にかかわる条文を改正しました。大田区は、この条例改正によってどのような運用をするつもりなのでしょうか。
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【赤字:条例改正部分】
大田区区有通路条例
(目的)
第1条 この条例は、一般の通行に利用される私道当該私道を構成する土地に水路式その他の区有地が存するものを含むを、区が管理する区有通路とすることにより、一般交通の利便の向上と区民の生活環境の改善に寄与することを目的とする。
私道を区有通路として認定する際には「寄付」と条例に定められています。
【購入した土地の区有通路議案は過去に撤回】
たとえば、2011年第二回定例会において、大田区は、2004年に大田区がその土地の所有者から3110万円で購入した土地を区有通路として認定しようと議案を送付してきました。
寄付が原則の区有通路認定において、購入を許せば、過去、寄付をした区民との間に著しい不公平を生じさせます。
そこで、議案について本会議に上程される際に、寄付が原則の区有通路における条例に照らし合わせ区の見解を質疑すると通告したところ、大田区は議案を撤回しました。
【条文を改正し、寄付が原則に購入の余地】
ところが、今回、上記のように区有通路条例の1条と6条を改正しました。
大田区は、2011年に出してきた区有通路の認定に運用する可能性があると言っています。
【購入と寄付の併用で運用上の公平性をどう確保するか】
買った土地でも過去のことなら区有通路にできるようにするための改正と読み取れますが、寄付でも購入でも区有通路とすることが認められる条文で寄付の原則は大きくゆらぎます。
今後、区有通路の認定にあたり、寄付の条文を残しながら、購入という例外を認める余地を加えれば、区が、利益供与したい区民からは購入し、そうでない区民には寄付を求めるといった恣意的な運用が可能になる可能性があります。
公道は寄付が原則です。
だからこそ、「民有道路敷取扱い要綱」 で区道の一部に民有地が含まれる場合には、やむを得ない場合としたうえで、土地使用貸借契約することと定めているのではないでしょうか。
寄付を原則とすれば運用も明確ですが、購入の可能性をあえて条文改正して入れてしまったら区民間の公平性はどう担保するのでしょうか。
条例改正により購入による区有通路が「合法化」されたとすれば、区民間の公平性という新たな問題が生じます。
この条例改正により、大田区は何をしようとしているのか、注目していきたいと思います。