ここが問題!ここが疑問?リニアシールドトンネル工事着工についてのJR東海の説明
JRが調査掘進という名前で、品川からシールドマシンでトンネル工事を始めています。
地上に影響が生じないと始まった大深度地下を使ったトンネル工事ですが、外環道で陥没事故が起きて、その前提が崩れました。
大深度地下使用について、国交大臣が認可をしても、トンネルを掘って安全というわけでは無いということです。
にもかかわらず、リニア中央新幹線は、特に新たな調査も行わずに、品川から掘り始めています。
そこで、外環道の陥没事故を受けてJR東海が行った説明対し、疑問を感じる部分等について質問したところ、下記の回答を得ました。私が感じたコメントを付し、報告します。
黄色のマーカー部分が質問
ピンクのマーカが回答
そこから奈須が気になったことについてのコメントは青字のマーカーです。
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以下、JR東海の回答
【質問1】人工衛星による地表面変位の把握と振動の計測は、当初、行うという説明は無く、6月8日の説明内容にもありませんでした。
一方で、例えば、同じシールドトンネル工事を行っている相鉄・東急直通線の工事では、事故(昨年20
20年6月に新横浜付近で起きた陥没事故)を防ぐことができなかったものの、地表面の高さの常時計
測を行っています。
トンネル標準示方書の3.11 地盤変位とその防止には、施工中の地盤変位計測結果から、これら
の現象の有無とその程度を確認することにより、残りの区間の施工方法や管理の修正が可能となる、と
かかれています。これは、事故の防止と安全管理のために必須なことで、外環道事故発生いかんにかか
わらず、行うべき事項だと示していると考えます。
地表面の高さや振動の常時計測は、シールドトンネル工事に必須、あるいは、一般的におこなわれて
いるものなのではないですか。
新たに加えることになった理由についてお答えください。
【質問1回答】 では回答いたします。人工衛星による地表面変位の把握、振動の計測につきましては、本年6月8日に実施したシールドトンネルにおける安全・安心等の取り組みについての説明会で御説明しております。説明会当日に投影配付した資料というのは、弊社ホームページも掲載してますので、こちら、御確認いただければと思います。
中央新幹線のシールドトンネル工事については、これまで工事の安全性に関する様々な情報を集めた上で計画してまいりました。シールドトンネルにおける安全・安心等の取り組みについての説明会では、東京外かく環状道路工事での事故を踏まえた対策も含め、かねてから検討を重ねてきた内容を御説明したところでありま す。説明内容も全てについて東京外かく環状道路工事での事故発生後に検討したということではございません。
例えば地表面の高さ、振動の計測の取り組みというのは従来から実施を計画しておりました。また、相鉄・東急線の工事において地表面の高さも同時計測を行っている趣旨の内容、御質問ございましたが、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の公表資料等を拝見する限り、そのような内容は確認できませんでした、というところは1つ目でございます。
【奈須の疑問や考える問題点】
地表面の高さや振動の計測は、従来から行う予定で、特に外環道の事故で新たに加えられたのではないそうです。そもそもトンネル示方書に定められています。外環道でも行われていたにも関わらず、事故が起きたのだと思います。
地表面の高さや振動の計測は、もともと計画していたことで、外環道の事故後の更なる安全や安心につながるわけでは無いということです。
【質問6】
6. 調査掘進で添加剤の適合性の確認をするということですが、地質や地盤に合わせて添加剤の適合性
を確認することを、外環道の事故が起きるまで想定していなかったのですか。
調査掘進で添加剤の適合性の確認ができるのは、東雪谷等々力非常口と調査掘進区域に限られま
すが、それで北品川工区約9000m全域にふさわしい添加剤の適合状況を知ることは可能ですか。30
0mの調査掘進以外の地質や地盤にふさわしい(適合する)添加剤の調査は、どのように行いますか。
調査掘進をすると公表する前は、どうするつもりでしたか。
一般に、シールドトンネル工事において、添加剤の適合状況は、どのように把握されていますか。今回
の調査掘進のように、一部のサンプルのみで判断されるものですか、あるいは、都度掘進しながら、添加
剤の適合状況を判断するのですか。一般のシールドトンネル工事における添加剤の適合状況の把握と
事故後の把握の違いは何ですか。
【回答6】 内容としましては調査掘進で添加剤の適合性の確認をするということですが、というところでございます。こちら、まず質問の概要でございますが、6つ目の御質問、添加剤の適合性確認の実施についての御質問いただいております。調査掘進以外の地質や地盤にふさわしい添加剤の調査はどのように行うのか。調査掘進をすると公表する前は、どういうつもりだったのかという内容の御質問でございます。
では回答いたします。第一首都圏トンネル、北品川工区において掘削をする上総層群北多摩層は、外洋や深海で堆積した固結シルトからなり、ところどころで細かい粒の砂の層が介在する地層です。北品川非常口から等々力非常口に至るまで同一の地層であることから北品川非常口の掘削土のみで調整を行う予定でしたが、工事をより安全に実施するために施工管理強化として東雪谷非常口、等々力非常口の土砂や、シールドマシンに設置した土砂サンプリング装置から採取した掘削土でも都度適合性の確認を行うことといたしました、というとこでございます。
【奈須の疑問や考える問題点】
①外環道の事故が起きるまで「添加剤の適合性を確認すること」を想定していなかったのか。
②東雪谷等々力非常口と調査掘進区域に限られるが、それで北品川工区約9000m全域にふさわしい添加剤の適合状況を知ることは可能か。
③300mの調査掘進以外の地質や地盤にふさわしい(適合する)添加剤の調査は、どのように行うか。
④調査掘進をすると公表する前は、どうするつもりだったか。
⑤一般のシールドトンネル工事における添加剤の適合状況の把握と
事故後の把握の違いは何か。
など上記の①~⑤の質問に全く答えていません。
【質問10】
外環道の陥没の原因が、特殊な地盤と施工管理にあるとしていますが、外環道の陥没事故が起きる前
の 2020 年 6 月に起きた相鉄・東急直通線新横浜での陥没事故も、大深度地下では無いものの、原
因は、トンネル掘削時に土砂を取り込みすぎていたことで、事故原因の解明が外環道の事故発生防止
に活かされませんでした。新横浜の事故調査報告書から事故を防止できなかった東日本道路の事故
報告をもとに、事故防止できるのでしょうか。
東日本道路が、新横浜の事故を、未然防止に活かせなかったか、東日本道路に確認・調査すべきで
はないですか
【回答10】
相鉄・東急直通線の新横浜での陥没事故の報告書だったり、該当の陥没事故の報告書をどう生かすのか、事故を防止できるかといった内容の御質問でございます。
で、こちらで回答いたします。東日本道路株式会社が工事実施するに当たっての取り組みのあり方について、弊社はコメントする立場ではございません。
昨年6月に地表面、道路陥没事象が発生した相鉄・東急直通線新横浜トンネル工事は泥水式トンネルシールド工法を採用しており、中央新幹線第一首都圏トンネル北品川工区や外環道工事で採用されている泥土圧シールド工法とは異なりますが、土砂の取り込みが過剰に生じたことが原因で陥没が発生したと承知しております。
中央新幹線工事の掘削土の取り込み過剰の対策については、令和3年6月8日に実施したシールドトンネルにおける安全・安心等の取り組みについての説明会資料39ページ、取込み量の管理の強化において御説明した内容で施工管理を実施してまいります。
【奈須の疑問や考える問題点】
過去に新横浜で土砂の取り込み過ぎという同様の事故が起きたにも関わらず、外環道でも、同じ土砂の取り込み過ぎの事故が起きている。
外環道の事故は、新横浜など過去の事故の調査報告書を活かせていないのではないか。
という疑問に対し、東海は、コメントする立場に無いとして、本質的な過去の事故を活かせるかどうかへの言及を避けました。
過去の事故原因を究明し、リスクを可能な限り軽減し、安全を確保することが、「少なくとも」着工には欠かせませんが、企業間の情報交換が行われておらず、過去の事故に学び、過去の事故を教訓とする土壌が無いことがわかり、不安が大きくなりました。
事故原因を詳細に解明することは、最終的には企業がリスク軽減にどれだけ人と時間と資源を投入できるか、という問題にもつながります。
事故が起きても、公表された報告書の字面での対策にとどまっていることも、事故が繰り返される要因だと思います。
【質問11】
家屋調査を実施するということですが、何らかの事象が起きたかどうか把握するには、地盤面の高さ、
シールドマシンの位置などの常時公表が欠かせません。工事情報は適時行うと書かれていますが、安全
のための測定結果を含め、即時公表するしくみをつくるべきではないですか。
【回答11】
続きまして11番目でございます。
家屋調査を実施するということですが、何らかの事象が起きたときどうなっているのか、この家屋調査に対する御質問でございます。
地表面の高さやマシンの位置等の公表法に関する御質問をいただいております。
こちら、説明会でも御案内しましたとおり、準備が出来次第、弊社のホームページへの掲載やお知らせの配布により工事情報を適宜お知らせしてまいりますということでございます。
【奈須の疑問や考える問題点】
奈須は、「工事情報は適時行うと書かれていますが、安全のための測定結果を含め、即時公表するしくみをつくるべきではないか」と質問しましたが、どう公表するか答えていませんし、検討すらしていません。
質問後、一緒に参加した方が、調査掘進の詳細な工程表を公表すべきと指摘しましたが、現時点での回答はいただけていません。
【質問12】
沈下やひび割れほか、家屋等にリニアシールドトンネル工事に起因すると思われる影響が生じた場合、
御社は因果関係の立証をどのように行いますか。
住民からの希望に応じ行いますか。それとも、ひび割れや沈下の程度の基準を設け、その基準に合え
ば行いますか。行政からの指導を受けた場合に行いますか。それとも、因果関係の立証は、御社ではなく、
個々人になりますか。
御社が行おうとしている家屋調査の調査結果は、各人に配布されますか。
【回答12】
12番目でございます。沈下やひび割れほか家屋等にリニアシールドトンネル工事に起因すると思われる影響が生じた場合というとこでございます。こちら、12番目の御質問は、ま、工事の影響が、因果関係や家屋調査結果の配布についてどうするのかといった御質問でございます。
回答いたします。工事の実施に当たっては、地上の利用に支障が生じないよう適切に施工管理を行い、工事を進めてまいりたいと考えております。万が一工事の施工による建物等の損害が発生した場合は補償を行う考えです。計画路線周辺の皆様から御相談があれば、個別に対応してまいりたいと考えております。
家屋調査の調査結果は、家屋調査に立ち会っていただいた方に郵送いたします。
【奈須の疑問や考える問題点】
質問「工事の影響についての因果関係の立証は誰が行うか」に、JR東海は、こたえませんでした。
外環道の事故は、NEXCO東日本が調査を行い、陥没の原因を認めましたが、リニアシールドトンネル工事による事故と思われる事象が生じても、因果関係が認められなければ補償されません。
JR東海が、周辺で起きたことについて、すべて調査に入り、因果関係を立証するならともかく、個々人が因果関係を立証するのは現実的ではなく、家屋調査を行っても、事故が起きたとき補償につなげるのは簡単ではないと思いました。
【質問13】
13. リニアシールドトンネル工事における外環道の事故を受けて行う新たな安全対策は、北品川工区計画
経路約9000メートルのうち、300メートル程度の調査掘進と東雪谷、等々力非常口のサンプル調査、そ
して、振動計測と地表面の高さの計測です。
しかし、相鉄・東急直通線新横浜の陥没では、地表面の変位は計測していたにもかかわらず事故がおきているため、地表面の高さの計測だけでは事故防止にならないと思います。
しかも、新横浜の陥没は、トンネル掘削の2か月後に起きていますが、リニアの地表面の変位の計測箇所はシールドマシンの移動に伴い移動するので、必ずしも陥没など地表面の高さの変化をいち早く把握できることにはなりません。
掘削経路すべての地盤調査とシールドマシンの回転数に伴う振動がそれら地盤に及ぼす影響を調査しなければ、陥没事故は防げないのではないでしょうか。
300メートル程度の調査掘進と東雪谷、等々力非常口のサンプル調査で経路すべての地盤と地質の振動影響を把握することは可能ですか。
【回答13】
13番目でございます。説明会で御説明した内容についての一番最後の項目でございます。リニアシールドトンネル工事における外環道の事故を受けて行う新たな安全対策はというところでございます。
13番目の御質問ですが、地盤と水質の震動の影響について、300メートル程度の調査掘進と東雪谷、等々力非常口のサンプル調査で経路全ての地盤と地質の震動影響を把握することは可能かといった内容の御質問でございます。
では回答いたします。中央新幹線の計画路線周辺の地質は当社が実施したボーリングのほか、公的機関等から収集したボーリングや既存文献等を用いて把握できております。今回、大深度地下使用のために作成した地質縦断図については有識者等に確認いただき、妥当であると回答をいただいて、御見解いただいております。
東京都区内の計画路線の地質の把握状況、工事をより安全に実施するための取り組み、工事の安全を確認する取組みについては令和3年6月8日に実施したシールドトンネルにおける安全・安心等の取り組みについての説明会や、9月1日に、御参加いただいた掘進に関する工事説明会で御説明され、させていただいたとおりとなります。
弊社としましては御説明した内容を確実に実施し、周囲の環境へ影響がないことを確認しながら工事を安全に進めてまいりたいと思います。
なお、地表面の変位の把握は、トンネル掘削後も一定の期間実施する計画でございます。
以上でございます。
【奈須の疑問や考える問題点】
質問で、私は、外環道の陥没事故を受けてJR東海が安全安心の為に、
・北品川工区計画経路約9000メートルのうち、300メートル程度の調査掘進と
・東雪谷、等々力非常口のサンプル調査、そして、
・振動計測と地表面の高さの計測で、
の3つで、安全安心は確保できるか質問しました。
しかし、
JR東海は、大深度地下法の認可の際に提出した書面をもって安全安心であると回答しています。
国交省が、大深度地下使用における認可は、安全を保証しているわけではない趣旨の発言をしているとおり、大深度法の認可は、大深度地下トンネル部分が支持地盤であることを示しているにすぎません。
法的に言えば、認可が下りれば、事業者は地下を掘ってよい。大深度地下使用に、安全確保の基準は無く、施工管理さえしっかり行えば、良いと事業者は考えている、ということだと思います。
大深度法は、新たなボーリング調査も、表層地盤調査も求めていないから、必要最低限のことしかやらない、というのがJR東海の姿勢だとすれば、これで事故が起きたとき、問題点を指摘されながら取り組まなかった責任は重いのではないでしょうか。
過去の大田区の調査結果、「震害は表層地盤に現れるので、表層地盤の詳細な調査が必要」という知見に真摯に取り組むべきだと思います。
JR東海が新たに取り組む3つの安心安全のための対策は、安全確保にならないと思いました。
【質問3,4、5】
【質問3】 今回、新たに「調査掘進」という言葉を使った300m程度の掘削を行い、その後説明会を開催してから本掘進へ進む工程が公表されました。
トンネル標準示方書には、「一般に初期掘進とは、シールドが立坑を発進してから、シールドの運転に必要な後続設備がトンネル構内に入るまでをいう。初期掘進中は、所定の計画線上を正確に進み、また周辺の路面や近接構造物への影響を最小限に抑えるため、シールド掘進時のデータや地盤沈下等の計測結果等を収集し、シールドの運動特性の把握およびカッターチャンバー内の土圧、泥酔土圧等の管理値や、裏込め注入圧、注入量の設定値等が適切であるかを確認する必要がある。また、作業員の機会の取り扱いに関して十分に習熟させることも必要である。」と書かれています。
今回の説明会における「調査掘進」と「初期掘進」に違いはありますか。あるとするなら、どのような違いでしょうか。
外環道の事故の発生にかかわららず、シールドトンネル工事において、行うべき必要な作業であれば、あえて、今回、新たに、住民説明会で取り上げたのはなぜですか。
【質問4】
調査掘進の結果、工事の一時停止や中止はありますか。あるとするなら、調査掘進における安全確認項目・指標はどのように設定していますか。それと初期掘進との違いはどこにありますか。
【質問5】 シールドトンネル工事であれば必要な初期掘進をあたかも、安全確認のためのように「調査掘進」と名付けているだけではありませんか。「調査掘進」という既成事実化ではないですか。
【回答3,4,5】
それでは調査掘進関連、それから下水管の関連、そのほかということで、まず調査掘進関連について、3、4、5になります。
3ですけれども、今回新たに調査掘進という言葉を使ったというところから始まる御質問でございます。3から5につきましては調査掘進に関しての御質問でございます。調査掘進と初期掘進の違いは何かということ。調査掘進時の安全の確認項目、指標は何かといった内容の御質問でございます。一括して回答いたします。
調査掘進は一般的なシールド工事で実施する初期掘進の期間に、施工管理の一層の強化と周辺への影響と対策の有効性の確認のための調査等を行うものです。施工管理の一層の強化につきましては8月27、29日、9月1日に開催いたしました掘進工事の説明会、いらっしゃいますね、そちらの、はい、資料の28ページ目、それから周辺の影響と対策の有効性の確認についてはこちら、同じ資料の29ページ目に詳しく記載がございます。
外環道での陥没の事故を踏まえまして工事を安全に施工し、計画路線周辺の皆様に工事期間中に御安心していただけるよう調査掘進の中で調査等を進めてまいります。以上でございます。
28ページのほうに掘進初期の取り組みとして、調査掘進それから周辺の影響と対策の有効の確認ということで29ページに
【奈須の疑問や考える問題点】
JR東海は、調査掘進することで、安全は確保できると説明しているように聞こえましたが、そもそも、シールドトンネル工事をする際に、守らなければならない「トンネル標準示方書」に書かれている最初の300m程度は、シールドマシンを設置し掘った土砂を送るための施設を作る区間です。
その区間で、地盤の状況やシールドマシンや薬剤が適正に動くかどうか確認し、作業員が機械の取り扱いに習熟することになっています。
外環道でも行っているはずで、トンネル標準示方書に書かれていることを行っても、外環道の事故は起きたのです。
奈須は、トンネル標準示方書に書かれている以上のことをしなければ、安全は確保できないかと思って、以下の質問をしています。
・初期掘進以上のことを調査掘進で行うのか、
・(同じなら)あえて取り上げたのはなぜか、
・既成事実化ではないか、
しかし、JR東海は、「施工管理の一層の強化と周辺への影響と対策の有効性の確認のための調査等を行う」という抽象的な答えしかしていません。
トンネル標準示方書は、初期掘進の区間に施工に必要な事項について定めており、工事の専門性を持つJR東海が、調査掘進と初期掘進との違いに言及を避けたことに、不誠実さを感じました。
【質問2,7,8,9】
【質問2】. 東海旅客鉄道(以下御社)は、外環道の陥没、空洞、下水管の沈下と管渠の剥離の事故原因を、特殊な地盤と施工管理としています。しかし、下水管の沈下と管渠の剥離は、東京都建設局が東日本高速道
路株式会社とともに調査して、シールド施工の影響であることを確認したものの、その原因については公
表されていません。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/04/27/12.html
にもかかわらず、9月1日の質問に対し、下水管の沈下と管渠内の剥離の原因を、特殊な地盤と施工管理と位置付けているのは、なぜですか。東日本道路株式会社の有識者会議の公式な見解ですか。だとするならば、東日本道路株式会社の委託した有識者の調査報告としての書面をもってご説明ください
【質問7】 リニア経路は、上池台の地下20メートルで東京都の下水道管、洗足池幹線と交差します。
入間川の下水管の沈下により、大深度シールドトンネル工事の施設への影響が、1D あっても十分でない場合があることが判明しました。事故を受け、地盤や地質などを考慮したうえでの、洗足池幹線含め、経路上部・あるいは周辺にある、上下水道、ガス、鉄道などのインフラとの交差部分の安全は、どのように担保されますか。東京都、東京都下水道局・東京都水道局は、外環道の事故後にリニア工事が洗足池幹線および上下水道に及ぼす影響について、御社からの説明を受け、それに対し、了解し合意をしていますか
【質問8】 7同様、リニア経路は、鉄道、電気、ガス事業者の地中埋設物、地中施設と交差する可能性があります。
外環道の事故後に、それらの事業主体から、了解し、合意を取り付けているのですか。
【質問9】 しかも、東京都は、75ミリの豪雨対策のため、洗足池幹線の増強を計画しており、20mよりさらに深い40~50m部分に新たな下水管の新設を計画中です。東京都下水道局に確認したところ、御社と協議をしているということです。
リニアのシールドトンネル工事着工に際し、既設の洗足池幹線に支障がないかどうかだけでなく、新設の75ミリ洗足池下水道幹線が新設されても影響が無いよう調整していますか。それとも、安全確保は、後から設置する事業主体である東京都下水道局の責任であり、御社は、新設75ミリ洗足池下水道幹線の安全については、なんら責任や関係は生じないと考えていますか。
では続いて下水管関連、2、7、8、9になります。
まず2になります。東海旅客鉄道株式会社はというところで記載はされている六問の内容でございます。
東海旅客鉄道は外環道の陥没空洞、下水管の沈下と管渠内の剥離の原因を特殊な地盤と施工管理と位置づけているのはなぜか。東日本道路株式会社の有識者会議の公式な見解かとのことですが、こちらについて御回答いたします。
東京外郭環状道路工事の陥没事故は、特殊な地盤条件となる区間において施工に課題があったとされておりますが、NEXCO東日本が発表した資料から、これから申し上げる点を確認しております。入間川分水路内における損傷についても同様の影響を受けたものと推定しております。入間川分水路内において損傷が発生したとされている箇所と外環道工事により地盤の緩みが生じた箇所が一致しているところ。
シールドトンネルの施工の影響について、閉塞及び閉塞解除作業の影響、掘進時の影響以外のメカニズムは陥没空洞の要因である可能性は低い、あるいは陥没空洞形成の要因ではないと考察されている。
正式な見解については当事者である東日本道路株式会社、NEXCO東日本にお問い合わせいただければと存じますが、いずれにいたしましても当社としては下水道事業者を含めた関係するインフラ事業者と協議を行い、インフラ設備の安全が担保できるよう工事等を実施してまいりたいと考えております。
それでは続いて7、8になります。7、8について、7はリニア経路はというところで始まる御質問です。
上下水道、ガス、鉄道などのインフラとの交差部分の安全担保の方法、及び鉄道、電気、ガス事業者の地中埋設物、地中施設等の事業主体との調整等に関する御質問になります。
シールドトンネル工事は、施工管理を適切に行えば地上での土地利用に支障が生じない数多くの実績がある工法です。大深度地下使用技術指針では、離隔距離がトンネル直径よりも大きい場合、工事の影響が小さいとされておりますが、第一首都圏トンネル北品川工区と地表面近くに埋設されたインフラ管路とはトンネル直径以上の離隔があるため、同様に影響は小さいと考えております。
2の御質問で回答したとおり、東京外かく環状道路工事の陥没事故は特殊な地盤条件となる区間において施工に課題があったとされておりますが、入間川分水路内における損傷についても同様の影響を受けたものと推定しております。
したがいまして弊社といたしましては施工に当たっては地上はもちろんのこと、地下のインフラ管路等への支障が生じないよう施工管理を適切に行い、工事を進めてまいりたいと考えています。
また、各インフラ事業者とは、これまでも交差に係る協議を行っておりますが、引き続き各事業者と適切に対応してまいります。
続いて9の御質問になります。文書としては、しかも東京都は75ミリのというところで始まる御質問になります。
洗足池幹線事業との、東京都との協議状況についての御質問になります。
東京都下水道局による洗足、洗足池増強、幹線計画につきましては、現在、計画段階の状況と承知しており、現時点で具体的な協議を行っておりませんが、当該計画が具体化した場合には適切に対応してまいります。
また、当該事業が大深度地下の公的使用に関する特別措置法の手続に基づく場合については、同法の定める事業の、事前の事業間調整に係る事業概要書が縦覧されるものと承知をしております。
弊社といたしましては事業概要書の縦覧の手続が行われたら内容を確認し、必要があれば調整の申し出を行います。その上で必要な調整を行ってまいりたいと考えております。
はい。ここまでは下水管関連、御質問回答になります。
【奈須の疑問や考える問題点】
そもそものところですが、外環道の事故で陥没が起きたことが大きく取り上げられていますが、もう一つの下水管が下がり管が剥がれたという重大な事故についての取り上げ方が小さく、問題があると思っています。
この部分は、HPには、東京都建設局と東日本高速道路株式会社で確認したと書かれているだけ、調査報告には管の状況がかかれているだけです。
しかし、シールドマシンで掘ったら、下水管がさがったというのは
離隔距離がトンネル直径よりも大きい場合、工事の影響が小さい と言われながら、管が下がったわけで、直径以上離れても問題がおきることが明らかになったのは、非常に深刻で重大だと思います。
下がる距離が大きければ、管が破裂することにもつながります。現に近くでは、因果関係の立証はしていませんが、「老朽化」でガス漏れ事故が起きたのです。
にもかかわらず、影響は小さい、という認識は甘いと思います。
外環道に比べ、大田区(品川も)でのリニア経路は、密集した市街地にあるため巨大な下水管などとの交差点が、いくつもあるうえ、新たな管の工事も計画されています。
リニアで地盤に大きな振動を与えた直後に、下水管の工事が経路上で何か所も(品川、洗足池、呑み川)行われれた場合の安全確保の問題について、こそ、事前に調査すべきではないでしょうか。
協議は事業者間の水面下で行われ、地中での振動が既設新設の埋設物等に及ぼす影響についての調査も不十分。これでは、到底安心できません。
【質問14】(質問というより意見かも)
地盤や地中埋設物の把握やシールドトンネルの施工管理に係る事故が起きている状況をみると、安全
な工事を遂行するためには、詳細な事前調査と分析、加えて高い技術をもった技術者による施工が欠
かせないと思います。特に、大深度地下の経路は、地上も地中も密集した都心部であり、10ミリ以下の
沈下は問題ないかのような言われ方もしていますが、その影響ははかり知れません。
外環道では、ガス漏れ事故についての因果関係を解明していませんから、場合によっては、シールドト
ンネルの振動に起因していたかもしれませんし、リニア経路に老朽化したガス管が無いとは言い切れ
ず、振動如何では、同様の事故の可能性も否定できません。
リニアのシールドトンネル工事は、あまりにもリスクが大きく、しかもひとたび事故が起きたときの影響も
甚大、かつ深刻です。
同じ事故を二度と繰り返さないためにも、これまでの説明では、安全確保には程遠く、リニア事業は中
止すべきではないですか。
最後に14です。
御質問でございます。地盤や地中埋設は、というところで始まる御質問です。
こちらにつきましては工事の安全性に関する御質問、リニア事業についての御質問というところかと思います。シールド工事につきましては、適切に管理を行えば地上での土地利用に支障が生じない数多くの実績がある工法です。中央新幹線のシールド工事については外環道での事故に関するものも含め、工事の安全性に関する様々な情報を集めた上で施工管理を強化するとともに、計画路線周辺にお住まいの皆様に御安心いただけるような取り組みを実施した上で、計画路線周辺の状況を確認しながら工事を進めてまいります。
以上が、ま、いただいた質問に対する回答となります。
【奈須の疑問や考える問題点】
JR東海は、シールド工事は、適切に管理を行えば地上での土地利用に支障が生じない数多くの実績がある工法だと位置づけているようですが、現行法令を守っても、適切な管理ができなかったことが、今回の外環道や、その前の新横浜の事故を招いています。
それを乗り越えてでも、工事を行い、事業を遂行したいと事業者が考えるのであれば、生じた不安を払しょくするだけの事故のリスク軽減策が講じられるべきですが、行っていることは、
・通常の工事の取り組みの範囲を出ない
・行うことで、どう安全管理されるか、示されていない
ことばかりで、説明を受けて、安全確保の限界を感じました。
工事ありき、事業ありき、どうしても進めなければならないから、「大丈夫に見える」ことをやっているだけのように思いました。