いま、やる余裕ありますか?無電柱化 目的、効果、課題

電柱を道路から無くす無電柱化が進められています。
国交省は、無電柱化の目的を、
①「景観・観光」
②「安全・快適」
③「防災」として推進しています。

一方で無電柱化は、道路の下に共同溝を設置し、電線を地中に埋める工事をするため、共同溝のスペースをつくるのに莫大な税金がかかります。しかも、電線の共同溝を設置するだけでなく、その不ペースをつくるために上下水道やガス管の移設をしてから、電線の共同溝の設置をするそうです。

景観、安全、防災、どれも大切ですが、いま、コロナで大田区は今後三年間に580億円の財源不足を見込んでいます。コロナで、生活の維持が困難になっている区民も少なくありません。それでも、優先して行うべきでしょうか。

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大田区では、2020年3月に「無電柱化基本方針」を作って、電柱を道路から無くす無電柱化が進めています。

mudenntyyuuukakihonnhousinn.pdf (city.ota.tokyo.jp)

コロナの前に作り始め出来上がるころにできたので、コロナによる影響が反映されていない計画だと思います。

この無電柱化は、国が、無電柱化を計画的かつ迅速に推進すること等を目的として、平成28年施行の『無電柱化の推進に関する法律(無電柱化法)』をつくり、第8条で、東京都に計画策定を義務付け、その計画がある市町村は無電柱推進計画をつくる努力をしなければならないことになっています。
大田区は、無電柱化の方針を2020年3月に作り、2021年3月末までに計画を策定する予定のようです。 

大田区は、国と東京都に従い無電柱化を進めているという事です。

東京都無電柱化
東京の無電柱化 (tokyo.lg.jp)

国土交通省無電柱化

道路:無電柱化の推進 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

無電柱化の目的

確かに、国や大田区が無電柱化を推進することで、

防災機能の強化
安全な歩行空間の確保
良好な景観の創出

といった目的がかなうかもしれませんが、

一方で、
大田区も示している通り、無電柱化を進めるための課題には、

無電柱化の課題

整備空間がない
多大な費用が必要
長い期間が必要

などの課題があります。

目的をかなえるのであれば、

防災機能の強化
安全な歩行空間の確保
良好な景観の創出

【1】東京は密集していることにより災害リスクが大きくなっていますから、そもそもの都市計画を改善すべきですが、集中が止まらない都市計画を作っています。

【2】電柱が倒れることのリスクや危険性が指摘されていますが、切れた電線からの漏電リスクについて大田区にきいたところ、地中でも変わらないそうですし、断線の箇所は地上の方が探しやすいメリットもあります。

【3】安全な歩行空間の確保なら、車道と歩道と交通量から、優先すべき路線がありますが、そうした道路は、共同溝のスペースが確保できないのか、無電柱化は進めず放置されたままで、課題解決より、やりやすいところから始める、という印象を受けます。

【4】景観を大切にするなら、地方都市では、裏通りや私有地内の裏手に電柱を設置(裏配線工事)し、メイン通りの景観を守っている都市もあります。
 景観を整備し観光客を誘致しようとしている地方都市の方が財政的な負担感もあり、地中化と裏配線工事とを組み合わせながら取り組んでいるように見えます。
 
  東北
 【結果報告】無電柱化まちづくりシンポジウムin東北 |NPO法人 電線のない街づくり支援ネットワーク (nponpc.net)

 岡山 

 05矢掛町.indd (hido.or.jp)

 

特にいま、コロナで財源不足が深刻な大田区が、行うべき課題は、区民生活の維持ではないでしょうか。

無電柱化は、多大な費用負担が課題と大田区が指摘している通り、

①電線の共同溝を設置するスペースをつくるために、ガスや上下水道の管を移設
②共同溝と電線のスペースをつくり、電線を地中化

するという二重の公共事業になります。

それだけでなく、

③共同溝から各家や建物までの私有地内の配線は、原則は個人が負担すべきですが、地中化という利用者の事由ではないため、事業者が負担することになっているそうです。
④そのため、実は、電線や電柱は、公共用地に設置されているため、「道路占用料」が発生しますが、この「道路占用料」は、地上より地中の方が安い単価になっています。

これまでも、水道工事やガス管工事が頻繁におこなわれている感じがありましたが、電線が地中に入りますと、さらに道路工事が増えることになります。

これは、基本は、税金の負担ではなく、上下水道料金、ガス料金として私たちが負担することになりますが、マクロ的にみると、電線が地中に入ることで、道路工事分、私たちの電気やケーブルテレビや電話料金の負担が大きくなるのではないでしょうか。

ちなみに、こんな記事を見つけました。
5Gの基地局の一部もこの共同溝の中に入るかも知れません。

5Gアンテナ基地局とデジタルサイネージを設置した配電地上機器「5Gスマートポール」の有用性検証の開始について|プレスリリース・お知らせ一覧|東京電力パワーグリッド株式会社 (tepco.co.jp)

当社はすでに路上に配置した配電地上機器や、無電柱化に伴い新たに設置される配電地上機器を基地局設置場所として活用し、かつ、複数の通信事業者が限られたスペースを有効に利用するインフラシェアリング※4の実現可能性を検証し、基地局設置や運営に係る知見を蓄積することで、5Gの早期普及に貢献いたします。