『わたしが大田区議会議員になったら』 に考える
4月26日の統一地方選挙を前に、「わたしが大田区議会議員になったら」というテーマで対談を行いました。アーサー・ビナードさん、鎌仲ひとみさん、太田啓子さん、武井由起子さん。民主主義の話から、原発事故とその後の被ばくの状況、集団的自衛権など話しは多岐にわたりました。
大田区政について最近考えていることをお話しします。
国政が上で、その下に都道府県の政治があり、さらにその下に市区町村の政治がある。
こんな風に区市町村の政治は軽んじられる傾向にありますが、そもそも、国、東京都、大田区の政治は上下というより役割が違います。
しかも、地方分権で区市町村の政治の責任はこれまで以上に大きくなっていますから、今までのような気持ちでみていてはいられません。
特に格差が拡大してきていると言われる日本ですが、流行りのピケティ風の「富の再分配」を区市町村が担うようになったともいえます。
集めた税金を誰のために、何のために使うかということですね。
私は、実は、まじめに取り組むなら、今の、大田区には、それほどの「裁量」は無いと見ています。何に使おうかなあ?なんて余裕は無いということです。
なぜなら、足りない需要が明らかだからです。
子どもをもっても働き続けられる環境(保育園など)、高齢者が在宅生活を続けられるための環境整備(特別養護老人ホームなどの施設も)、障がい者の権利条約の合理的配慮を満たすのに必要な環境整備、自立した社会人として生きていくのに必要な教育、、、。どれも、不十分で、憲法が保障する健康で文化的な最低限度の生活を確保できるだけのサービスとは言えない状況にあります。
これは、いったい、誰の責任でしょうか。
憲法第九十九条は、公務員には憲法を尊重し擁護する義務があるとうたっています。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
憲法は、私たち国民に、健康で文化的な最低限度の生活を「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」が保証しますよ、と約束しています。
大田区の職員も、大田区議会議員もこの公務員にあたりますから、憲法を守らなければなりません。
義務ですから。
まず、この社会保障の課題を充足させることが大田区の責務でしょう。
財政が厳しいからとか、いっていますが、財政を厳しくしたのも大田区の責任。
議会と行政の責任ということになります。
社会保障をきちんとやれば、格差は小さくなります。
なのに、経済が良くなることがいつのまにか政治の一番の役割になり、経済をやれば、税収があがって社会保障ができると私たちは思い込まされています。
もしかしたら、国の政策は、そんな部分もあるのかもしれません。
でも、地方自治体の政治はどうでしょうか。
大田区が空港跡地に500億円使って、
大田区民の雇用が増えるでしょうか。
大田区の受発注が活性化するでしょうか。
大田区の税収が500億円以上に増えるでしょうか。
これまで、私は区議会において、経済政策で、税収がどれくらい増えるか試算の結果を示してくださいと言ってきましたが、示されたことはありません。売上は出ますが「税収」は出さないのです。
たぶん、出せないのでしょう。
東京都の特区政策、アジアヘッドクオーター特区では、固定資産税(大田区の税収に関る)、法人事業税(東京都税収)が減免になり、利子補給(国から)されます。
大田区の税収も減りますが、その分、大田区の税収が増えるメカニズムについて大田区は説明できませんでした。
経済が良くなることで、私たちは、雇用が増え、給料があがり、税収が上がって社会保障などに還元されると期待しているわけですが、思いこまされている可能性が高いです。
税収があがる理屈について、質問した時にこたえることのできなかった大田区の職員の勉強不足だったのかもしれませんが。
しかも、大田区は、新しく建物を建てては維持管理をしっかりせず、どんどん老朽化させてきました。
大田区民センターもぼろぼろです。
少し前に、小学校の改修や改築が、大田区が作っ計画の通り実行されていない問題を取り上げました。建物、道路、公園、橋などの公共インフラは、作り続けて「維持管理できないほどに」過剰になってもまだ新たに作ろうとしています。
いまも、老朽化した施設が大田区の財政の圧迫要因になっていることに変わりはありません。
それでも、大田区は、蒲田や大森の駅前の再開発にも熱心です。
国が道路や治水や港湾や空港なら、東京都もオリンピックや外環道、大田区も駅前再開発に空港跡地。
いったい誰が、子育て介護といった社会保障に取り組むのでしょう。