外環陥没直後ではなく、リニア着工で動き出した国のシールドトンネル工事ガイドライン策定

ガイドラインを国が作ればシールドトンネル工事の安全は守れるか 土木学会編トンネル標準示方書があっても起きていた事故

https://blog.goo.ne.jp/nasrie/e/854bdb0e88065276ae4dcf079f457bf4

国交省に電話して、シールドトンネル工事のガイドライン策定の意図についてうかがいました。

土木学会のトンネル標準示方書(シールドトンネル)があるにも関わらず、国交省は、「横断的に知見を共有できていない」「教訓を次に生かせていない」という問題意識をもってシールドトンネル工事の事故を見ています。

そうなると、安全の前提だったトンネル標準示方書(シールドトンネル)という日本の土木学会の知見の集積=権威に対し、国交省が疑義を唱えたことになります。

私は、トンネル標準示方書の改定を求めるべきだったと思いますが、新たな基準を作ることになれば、これまでのトンネル示方書の位置づけはどうなるのでしょうか。

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国交省に電話して、シールドトンネル工事のガイドライン策定の意図についてうかがいました。

ガイドライン検討会は、相鉄東急直通線陥没事故後(2020年6月)でも、外環道陥没事故後(2020年10月)でもなく、リニアシールドトンネル工事説明会(2021年6月9月)直後の9月28日に開催されています。

相次いだ事故の防止策が不十分で、このままでは、住民を納得させることができないから、ガイドラインを作ることにしたのだとするなら、なぜ、昨年の外環道陥没事故後、すぐに立ち上げなかったのか。

少なくとも、専門家委員会の調査報告書が出た今年2021年3月以降に、ガイドライン策定に必要な判断材料はそろっていたはずです。

事故が相次いだことを問題視しているなら、今、守っている土木学会のトンネル標準示方書(シールドトンネル)の改定を求めるべきなのではないかと思います。

実際、トンネル標準示方書は、事故などを受けて改定を繰り返していますから、あえて、新たなガイドラインを作る意図が見えません。

国交省にお電話してうかがいましたが、設立趣意書や規約の説明以上のものはなく、納得できる説明はいただけませんでした。

しかも、仮に、国交省が土木学会のトンネル標準示方書(シールドトンネル)があるにも関わらず、「横断的に知見を共有できていない」「教訓を次に生かせていない」という問題意識をもってシールドトンネル工事の事故を見ているとするなら、安全の前提だったトンネル標準示方書(シールドトンネル)という日本の土木学会の知見の集積=権威に対し、国交省が疑義を唱えたことになります。

少なくとも、過去2回起きた事故の調査や報告は、国交省の問題意識に従えば、必ずしも十分なものとは言えないことになります。

この趣旨に従って、調査報告をやり直す必要があるのではないでしょうか。

そうなると、リニアは、過去の調査報告をもとに着工しようとしていますから、着工の根拠が成立しませんので、相鉄東急直通線、外環道についてあらためて事故調査を行い、その結果とガイドライン策定を待って、安全策を練り直す必要がでてきます。

それどころか、今、行われているすべてのシールドトンネル工事を停止しなければならないほどに、大きな問題だと思います。

「屋上屋を重ねる」という言葉がありますが、国は、無駄なことなどできませんし、しているはずもありませんから、行ったことについて生じる問題に、責任を持たなければなりません。

まさか、リニア着工のお墨付きを与えるため、だったわけではないと思いますが。

シールドトンネル施工技術検討会設立趣意書・規約

シールドトンネル施工技術検討会設立趣意書

シールド工法は、道路、鉄道、河川、下水道等のトンネル工事において、幅広く活用されている施工技術であるが、近年、陥没・空洞事故が相次いで発生した。

今後のシールドトンネル工事において、更なる安全性向上や周辺地域の安全・安心の向上を図るためには、様々な事業分野で横断的に技術的知見を共有することが重要である。

このため、シールドトンネル工事において近年発生した事故事例等から得られた教訓を次に活かし、シールドトンネルの設計・施工技術等に関するガイドラインを策定することを目的として、「シールドトンネル施工技術検討会」を設置するものである。

 

規約抜粋

目 的)
第2条 本検討会は、様々な事業分野のシールドトンネル工事において実際に発生した事故から得られた技術的な教訓を次に活かし、今後も幅広く活用される見込みのシールド工法の更なる安全性向上や周辺地域の安全・安心の向上を図るため、シールドトンネルの設計・施工技術等に関するガイドラインを策定することを目的とする。
(内容)
第3条 本検討会においては、以下を実施する。
(1)近年のシールドトンネル工事での事故事例における取組状況の把握
(2)実際の設計・施工等におけるトラブルや事故の実例の把握
(3)今後のシールドトンネル工事の設計・施工技術等において留意すべき有用な技術的知見の抽出・整理
(4)上記を踏まえたシールドトンネルの設計・施工技術等に関するガイドラインの策定
(5)その他必要な事項