大田区が、「区民とのあつれき(軋轢)」を生まないために作った【多文化共生推進プラン】から考える

大田区は、【多文化共生推進プラン】を作っています。
文化・共生といった極めて当たり前の【倫理観のようなもの】を行政が明文化しているのです。

 

ちょうど、今年が改定の年に当たり、新しいプランが委員会に報告されました。

 

大田区は、松原区長が就任して、再国際化した羽田空港のある大田区を国際都市として発展させるために、このプランをつくり始めたと説明しています。

しかし、調べてみると、総務省も同時期に、この多文化共生をうたい、推進プランを位置付けています。

総務省|地域の国際化の推進|地域における多文化共生推進プラン (soumu.go.jp)

 

国が統一地方選挙で、首長が変わる可能性の大きい時期を一つの区切りとして、
このプランを提示しています。

総務省|地域の国際化の推進|多文化共生の推進 (soumu.go.jp)

 

昨年2023年の統一地方選挙で、大田区長が変わり、改訂版を作りましたが、
総務省も、2020年(令和2年)に改定のポイントを示しています。

0c1a423dee365da0928df9cd7cd06db1.pdf (nasurie.com)

 

日本全体が、この多文化共生に取り組んでいるのです。

なぜ、
当たり前のことを明文化しているのか、というのは、区の説明の

外国人労働者が増えている
あつれき(軋轢)をうまないために

などという言葉と、日本の外国人労働者の受け入れ規制の変化から、考えるとよくわかります。

これまで、
技能実習という制度の下、研修のために来ていた外国人の方たちは

あくまで「実習」だったので、最長でも5年で帰国しなければなりませんでしたし

対価も賃金ではないので低く抑えられ

家族と分かれ分かれで暮らしていました。

 

それが、2019年、
特定技能のしくみができたことで、一定の要件はあるものの、

日本に来て、働き続けられ、家族も呼び寄せられ、転職も可能な道が開けています。

 

最近、
外国人の方たちを「良く見かける」ようになったのは
この制度による部分が大きいと思います。

気になるのは、
この制度により外国人の方たちが働くに際し

日本人と同等の処遇を求めていることです。

 

私は、労働者として外国の方がいらっしゃるのであれば、
日本の労働規制を守るべきだと思っていますから、

日本の労働規制を守るという表現だと

その方のスキルに合わせた賃金になるという印象なのですが、
あえて、

日本人と同等の処遇を求める、と定めたことで

例えば

・日本語でのコミュニケーション能力
・日本のビジネス慣行の理解

といったあいまいだけれど、仕事をするうえで大切な部分への評価が、客観的に得られにくくなり

最終的に
・拘束される労働時間

だけで報酬が支払われる方向に向かわないか、心配しています。

何かで、日本人との賃金格差が「差別」だと指摘された時
客観的な証明が難しいから、と経営者がリスクを避け、日本人と外国人を同じ処遇で雇用する可能性が心配だからです。

ますます、非正規化、最低賃金化が進む心配です。

特定技能 法務省出入国管理庁R6年4月

 

4c24746b8a6c3940adbe38e8f4c8a794.pdf (nasurie.com)


本来であれば、

人手不足は、賃上げの良い機会です。

 

それが、物価高に賃金の上昇が追いつかないのは
2019年の法改正により、技能実習生も労働者として雇用できる5年後を経営者側の一部が待っていたから、という見方もできます。

 

いま、国が、ほぼ無制限に外国人労働者を受け入れるのは、
人手不足を名目にしていますが、本当でしょうか。

私は一方で
身の丈に合った社会を作るべきではないかともかんがえています。

 

そこで暮らす人たちが、
基本、その中で、社会を作っていく、というイメージです。

 

いま、日本は、大幅な需要増大により

インフレに誘導しています。

ここに、この制度があることで、
人手不足を補えますので、賃金を抑制することにもなります。

この制度ができたことで
政治が一定程度関与出来てきた、雇用や賃金でしたが、
外国人の方たちをほぼ無制限に=雇う側と雇われる側のニーズで、成立する雇用関係に
変えてしまった、という風に見えます。

私たちは、
たとえば、母国の月収が2年前で約4万円のベトナムの方たちと、
労働力市場での競争をしなければならなくなる、かもしれません。

 

ジェトロのHPから以下抜粋

2022年第2四半期の全国の平均月収は660万ドン(約3万8,280円、1ドン=約0.0058円)で、前年同期と比べて8.2%増に当たる50万ドン増加した

雇用はサービス業中心に微増、平均月収の増加続く(ベトナム) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ (jetro.go.jp)

 

本来、外国人材の受け入れについては、日本人での受け入れ困難な場合、に限って
と基本方針で定められています。

 

日本の法令は、
一旦書き込めば、それが「合法化」され、進んでしまいますから、なおさらに心配です。

 

 

新たな外国人材受け入れ制度について

〇 基本方針において、本制度による外国人の受入れは、生産性向上や国内人材確
保のための取組(女性・高齢者のほか、各種の事情により就職に困難を来してい
る者等の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等を含む。)を行った上で、
お、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確
保を図るべき産業上の分野に限って行うこととされています。