消費者講座「輸入食品の安全を考える」に出席して

国際食品規格(コーデックス)委員会の現場から

 大田区生活センターにおいて、コーデックスのオブザーバーをしている数少ない消費者団体の中の一団体である「日本子孫基金」の熊澤夏子さんから、お話をうかがいました。

 現在の日本の食料自給率はカロリーベースで40%と大変低い状況です。こうした、食品の半分以上を輸入食品に頼っている現状において、輸入食品の安全性は、私たちに大きく影響しています。
 日本は、5兆円(2000年現在)の食品を輸入していますが、それに比べ、輸出はたった2000億円です。輸出している主な食品は、みかんや梨などの果物とソースやしょうゆなどの調味料類。ところが、これらの調味料は、原材料を輸入し加工してからの輸出なので、厳密には、純粋な日本の食品の輸出の額は、もう少し少なくなります。

 こうした食品の現状の中で、私たちの食品の規制や基準に大きく影響しているのが、「コーデックス」という機関です。
 「コーデックス」は、1962年にWHO(世界保健機構)とFAO(国連食糧農業機構)とによって設立された「公正な食品貿易の保証」と「消費者の健康保護」を守っている機関です。
 コーデックスで定められた内容は、食品の輸出入の基準になります。また、その基準は、単に輸出入の基準にとどまらず、結果、国内の規制・基準に整合性を与えることになります。
 例えば、賞味期限などがその良い例です。それまで、私たちは製造年月日を使用していましたが、輸出入に関わる食品は製造してから消費者にわたるまでに時間がかかるため、賞味期限を記載することになりました。
 このように、コーデックスの規格を守る義務はありませんが、一旦定められると影響が出てくるのが、コーデックスの規格です。

 コーデックスの加盟国は169カ国。食品を輸出入している国のほとんどが加盟しています。他にオブザーバーとして192団体が出席しています。興味深いのは、オブザーバー出席している団体も発言を許されていること。勿論、オブザーバーに議決権はありませんが、議事は、合意によって進められるため、議決の機会そのものが数少ないようです。
 会議は、部会の議長国で開催されます。169カ国が参加していますが、約30の部会があると、年に30回その国に行って出席しなくてはならず、費用がかかるため、途上国の出席は少ないそうです。
 また、出席する国際NGOの80〜90%は企業がベースになっている集団だそうです。企業は、政府代表団としても参加しており、消費者代表の国際NGOは、熊澤さんの国際子孫基金(日本)と公益科学センター(アメリカ)、食品に委員会(イギリス)、消費者協会(イギリス)がベースになって1997年に設立した食品国際消費者機構(IACFO)と国際消費者機構(CI)のふたつだけだそうです。

 コーデックスでのIACFOの活動は、情報収集・分析、意見書の提出、会議への参加や発言・交渉、広報、政府へのロビー活動など様々です。
 
 企業パワーが強い中で、心強かったのは、各国政府代表は、政治的、経済的なしがらみが大きくいえないことがたくさんあるため、消費者の立場で発言することでコーデックスに影響を与えることができるということ。
 今回の大田区の議会において、今年度策定される東京都の食品安全基本条例制定にあたっての意見書を東京都に提出する陳情が採択されましたが、こうした、市民が声を上げていくことの大切さを改めて感じます。

  
 
 
 
 

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