大田体育館隣接地の購入の問題について

決算特別委員会より(その②)

大田区は、大田体育館隣接地購入を議決しましたが、どこに問題があるでしょう。

◆取得目的が土地であり、建物を購入する理由が見当たらない
その①計画に無い
この土地は体育館の基本計画では、取得の予定がありませんでした。

その②土地が無くても体育館は建設できる 
又、体育館の建てかえにも必要な土地ではなく、区がこの土地を取得しなくても体育館を建設することができます。

その③建物の使用計画が無く、取得目的が土地であることが明らか
区は、取得する理由を「体育館関連用地」としていますが、その内容は
・歩道の拡幅
・体育館イベント時の駐輪場
であり、建物の使用計画はありません。

◆本来、売主が負担すべき解体費用・土壌汚染調査費用も区が負担している
 土地が取得目的であれば、建物は評価せず、土地の価格から解体費用を差し引くのが通常ですが、解体費用も区が負担します。そのうえ、通常、売主が負担する土壌汚染の調査費用も区が負担します。

◆住民の要望で建物も有償で取得することに変更していると推測できる
 不動産鑑定委託仕様書を確認したところ、昨年の10月1日付で最初の土地の鑑定を行っています。
 ところが、今年の6月1日に、新たに、土地に加え建物も含めた鑑定をしなおしています。
 何故、二度目に建物の評価加えたかの質問に、区は、住民の要望により行ったと答弁しています。 
 
 これも、友人の不動産鑑定士に伺ったことですが、二度目の鑑定方法は、結果が、土地と建物の総額で出てくるそうです。
 区は、下記のように、土地・建物を按分して区議会に提示していますが、その按分の根拠も示されていません。
【議案に示されている価格】
大田区東蒲田1丁目17番
土地:653.92㎡=3億9,967万9,000円
建物:1,288.31㎡=1億1,584万7,550円

 
友人の不動産鑑定士に、参考のため、おおよその評価をお願いしたところ、
(不動産の価格は、個別に異なるためあくまで参考価格です)

土地:約3億円(2008年1月の路線価をもとに)
建物:約5,000万円(再調達原価)
   約9,000万円(法定耐用年数50年の場合)
   約1億1,000万円(法定耐用年数60年の場合)

 建物を評価すべきではありませんが、土地の評価が1億円も違っているのが気になります。
 しかも、路線価は今年の1月ですが、大田区が鑑定に出したのは6月1日付の
ため、2008年に入り土地が大きく下落していることを考慮すると、評価は
更に下がっている可能性があります。
 

◆住民からの要望内容
体育館隣接土地・建物は、設計終了後も住民からの申し出にしたがい価格交渉しています。住民が区に昨年8月に出した買い取り提案の中に次のような条件が記載されています。

①駅から徒歩5分程度の建築年数の浅い建物の評価とすること
②新たな経済的負担なしに周辺地域で新生活を始められる金額とすること
③解体・更地費用は大田区が持つこと
④土壌汚染などは大田区が負担すること

 足立区では、議員や業者など外部からの提言・要望を記録し公開することにしています。こうした要望は、口頭・文書を問わず、決定過程書類として、時系列で記録すべきと考えます。

 区の計画に無い土地に加え建物まで、買って欲しいという要望に応じて恣意的に購入するのであれば、行政の公正性に欠け、区の財源はいくらあっても足りません。

 文化の森、産業プラザなど区施設に隣接していて、区が購入すれば、利便性の向上する土地は、他にもあるでしょう。
 今後、区民からの要望があれば、これらを全てこのような条件で購入するというのでしょうか。


なかのひと