「忙しくて」情報公開処理を忘れてしまう大田区の情報公開への意識

6月26日の産経新聞に大田区が「忙しくて・・」情報公開処理を忘れてしまった記事が掲載されていました。

■忘れてしまう情報公開処理■

 都内の男性が、4月20日に区長交際費などの文書の情報開示を請求したが、条例で定めた開示期限の直前になっても連絡がこないことから問い合わせたところ、開示決定を出し忘れていたもの。(6月26日産経新聞朝刊の概要)

 記事にはやむ追えない理由があれば、60日を限度に決定を延期することができると記載されているため、60日以内に決定通知を出せば良いかのようにも読めますが、大田区情報公開条例第7条3項に記載されているように、情報公開の期限は翌日から起算して14日日間です。
 60日を限度として延長できるのは「やむをえない理由」の場合であり、その場合でも「書面ですみやかに期間延長の理由を通知しなければならない」ことになっています。

 つまり、4月20日に情報公開請求があった場合で、やむを得ない理由で決定通知を延長する場合でも、条例に定めた5月4日までに、書面で請求者ご本人に期間延長の理由を通知していなければ、60日間の期間延長はできないのです。
 このケースで、大田区は、期間延長の理由を通知していませんから、5月4日に決定通知を出さなかった時点で条例違反になります。

 新聞に掲載されている、大田区が決定通知を出さなかった理由は、
「業務が忙しくて処理を忘れていた。条例違反なので担当職員の処分を検討する」としていますが、処分の前に、なぜ、情報公開処理を忘れてしまうようなことが起きたのか原因を明らかにする必要があります。

 組織やしくみの問題=請求した秘書課の問題なのか、情報公開を担当する総務課の問題なのか、それとも、個人の問題なのでしょうか。
 仮に、大田区が、個人の問題だと言っても、ご本人から請求を受けて初めて問題が表面化したということは、チェックするしくみが無かったということですから、業務の流れに問題が無かったとは言いがたいでしょう。

■申請に対して回答の無い行政手続き■ 

 現在、私は、以前に情報公開請求をした結果を不服として、不服申し立てを行っています。

 情報公開条例第13条第二項には、

 不服申立てがあつた場合、却下するときや処分を取り消すときを除き、審査会にかけて、その不服申立てについて決定又は裁決を行わなければならない、とされています。

 審査請求書類を提出したのは、2009年の2月5日ですが、その後、一切、この件に関する区からの回答はありません。

 仮に「却下」や「処分の取り消し」に該当するとしても、そうした決定通知は出さなくてよいのでしょうか。

■大田区政は「行政手続法」の趣旨に沿って運営されているか■

 以前に、行政手続法に基づき、大田区政が適正に行われているのかをテーマに議会質問したことがあります。

 行政手続き法により設置されている「大田区行政手続き条例」の目的

 処分、行政指導及び届出に関する手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が区民にとって明らかであることをいう。)の向上を図り、もって区民の権利利益の保護に資することを目的とする。

 その行政手続き法には、 
①標準処理期間
標準的な期間は定めるよう努めること。定めたら公にしなさい。

②申請に対する審査及び応答
遅滞なく申請の審査を開始し、かつ、要件に適合しない申請については、速やかに、申請者に補正を求め、または、許認可等を拒否しなければならない。

③理由の提示
申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、理由を示さなければならない。

 と記されています。
 
 忙しくて忘れたといった次元の問題ではなく、区政における基準の明確化とその基準に基づいた適切な執行のしくみがないことに問題があるのでは無いでしょうか。
 
 回答がないと私が総務課に申し入れてからすでに半月が過ぎています。
  
 「忙しくて」これもまた忘れてしまったのでしょうか。


なかのひと