1億円かけて作った園舎を1年で壊す保育園改修方法の是非(その1)

大田区議会第二回定例会提出の陳情から

 大田区は入新井保育園を改築する予定ですが、改築期間の1年3カ月、保育を継続させるために文化の森の前の空き地(区有地)に仮園舎を1億円かけて建設します。
 しかし、仮園舎という言葉が示す通り、本園舎が完成すると壊してしまう予定です。

 今回の陳情は、それではもったいないので、作るなら仮園舎ではなく、そのまま保育園として使用できる建物を建築し、有効活用してほしいというものです。

 この陳情に賛成したのは、48名中たったの3名。

 大田区には、56園の保育園がありますが、改築のたび1億円もかけて仮園舎を建築し壊していたのでは、区財政はもちません。

 なぜこのようなことがおきてしまうのでしょうか。

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 以下に、私が、この陳情に賛成した理由を記します。

 陳情22第23号「入新井保育園の仮園舎建築計画を変更し新規保育園とするよう依頼する陳情」に賛成の立場から討論します。この陳情は、区の保育園の建て替えに関わる無駄を指摘している陳情です。

■あいまいで場当たり的な施設整備計画■

 この間の大田区の施設整備計画は、大枠のあいまいな方針は出されたものの、具体的な手法が明確でないため、結果として場あたり的な建て替え改修が続いています。

 この陳情も、1億円もの予算をかけ建設するのであれば、壊してしまうのはもったいないので活用すべきであるという非常に当たり前のことを主張しています。

 区は、こうした陳情に対して真摯に受けとめ施設整備計画に反映させるべきです。
 
 特に、大田区の保育園については整合性の無い方針に基づく矛盾の多い施設整備計画であると言わざるを得ません。

■都合良く使い分ける事業者募集■
 
 今回、こども文教委員会に報告のあった二つの保育園の事業者募集ですが、事業者の募集条件も「公募」と「区内私立保育園連合からの推薦」と基準も曖昧で、区内保育園がいくつものスタンダードを持って運営されていることの理解に苦しみますが、施設も異なった考え方で整備されようとしていることに問題を感じます。

■認可保育園のバラバラな施設整備手法■

 区立保育園を民営化する以前から認可保育園だった大田区の私立保育園では、事業者が施設を建設し区が補助金を支給するなどしてきました。しかし、区立保育園を私立認可園にしたところでは、建物が古いということもありますが、土地建物含め無償貸与しているところがある一方で、たとえば久が原ハーモニー保育園・鵜木保育園のように、区有地に区が保育園を建設し土地は無償貸与、建物を有償で貸し付けている保育園もあります。

 最近のこども文教委員会での報告では、中央5丁目保育園は土地を30年間の事業用借地として土地を貸与し民間事業者に施設を建設していただくと説明を受けています。

 このように、施設を区が建設する場合もあれば民が建設することもある一方で、減免はあるものの、土地について定期借地権契約を締結したり建物が古いとは言え土地も建物も無償貸与するなど、事業手法に一貫性がみられず、それにより事業者負担が異なってくるため結果として経営の前提が大きく変わり平等性に欠ける状況が起きています。
 

なかのひと