大田区議会は行政にどこまで権限を付託するのか:子ども家庭支援センター条例改正から

臨時会が始まりました。

4月に選挙がおこなわれ、新しい区長及び議会構成メンバーで
スタートする最初の議会は、改選後の区長がわからないことから
通常は、詳細な予算は、改選後の区長の政治判断にゆだねるべき
との配慮から「骨格予算」として編成されます。

この予算に、改選後の区長が、区長色を帯びた政策予算に
編成し直すための補正予算の審議が、臨時会の役割です。

議会側としては、議会内役職=議長・副議長、委員会委員長・
副委員長などの選出が行われます。

補正予算のほか、今回の議会でいくつかの議案、専決処分の報告が
行われています。

議案が議会に上程された際に、議案の内容ではなく、条例の策定の
しかたについて質疑をしました。

ちょっと複雑ですが、国政で、官主導とか、政治主導と
言っている本当の意味はここにあるので(今の政府の主導争いは、
本質とかけ離れているようにも思いますが・・・)報告します。

司法、立法、行政の三権分立は小学校の社会科で習う、日本の政治の
基本ですが、現実の政治の現場では、立法権が行政に大きく委ね
られています。それは、単に、法案を行政が作るだけでないところに
様々な問題が発生します。

厳密にどこまでを議会が担い、どこまでを行政に委ねるかは、その時々の
政治判断で行われるべきですが、現在の政治は、判断する間もなく
自動的、慣例的に、立法権が行政に委ねられるとともに、その範囲が
広くなっているのではないかという問題意識があります。
紹介するとどのようなことが起きているのか
その片鱗がお分かりいただけるのではないかと思います。

今回の条例改正は、東日本大震災の被災者が大田区の施設を利用する際に減免できるようにするために行われます。
しかし減免免措置できるとしながら
肝心のどのような場合に、誰に対してどの程度減免するかという内容は
条例文にも、規則にも示されず、区長決定で行おうとしています。

政策的事業や、審議会委員の報酬、補助金交付などの多くが、要綱など
議決を必要としない区役所内部で決定されているのが現状です。

予算に賛成しているからという理屈ですが、予算の提案、審議にも問題
があるわけです。そこまでお話しすると長くなりますので、今日は
条例提案における問題点についてお話しします。

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以下、全文です。

第34号議案、「大田区子ども家庭支援センター条例の一部を改正する条例」について質疑させていただきます。

昨年の第四回定例会において「まちづくり条例」が上程された際に、条文に規則に規定するとされているのであれば、上程時に示すべきだが示されるのかと質疑させていただきました。結果として、委員会において規則の素案だけは示されましたが、規則とともに議案が上程される状況にはなっていません。

今回の条例は、子ども家庭支援センターの事業の一つである「一時預かり保育に係る保育料」を減免、または免除できるようにする条例改正ですが、減免の内容については規則で定めるとして、どのような場合に減免されるかが明記されていません。

条文に減免規定を設けることは当然議会に示す必要がありますが、重要なのは、誰にどのような場合にどの程度減免するかということであり、その部分の適否についてこそ、議会が、判断すべきではないでしょうか。

そこでうかがいます。このように、重要な規定について規則で委ねる場合には、規則も上程時に議会に示すべきではないでしょうか。

この根拠は地方自治法にあります。
地方自治法14条2項において、地方公共団体が住民に義務を課し、または権利を制限するには条例によらなければならないとされています。

これは、住民の権利義務に係る規定は、住民に選挙により選ばれた議員で構成される議会の議決を要するということにほかなりません。

今回は、規則に委ねているにもかかわらず、規則では、さらに、区長が必要と認める時として、区長決定でその都度定めていくとも聞いています。

権利義務を条例文に明記せず、規則に委ね、今回のように同時に規則が示されなければ、議会は、減免規定の内容について行政側に白紙委任したかたちになり、その原則は大きくゆがめられることになるのです。

しかし、今回の、条例改正は、東北大震災に伴い被災している方を想定した減免規定であるとも聞いています。

例えば、大田区営住宅条例第14条に減免規定を設けていますが、その第一項で災害時の減免をうたっています。

そこでうかがいます。

今回の子ども家庭支援センター条例改正は、被災し、大田区に避難していらした方たちへの減免であることを想定しているにも関わらず、また、他の条例の同様の規定においては、条文に明記されているにも関わらず、規則に委ねることは、地方自治法14条2項の主旨に反するとともに、大田区の法令体系において整合性を欠くものではないでしょうか。

大田区の見解をうかがいます。

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大田区の答弁は、委員会審議の際に求められれば
提示するというものでしたが、そもそもの、法令体系における
整合性についての回答はありませんでした。

条例提案しながら、重要なことは規則、区長決定に委ね
その内容は聞けば教えると言った姿勢が条例提案にふさわしいと
言えるでしょうか。

この条例は、減免できるとしながら、その内容は、区長決定に
委ねており、現時点で、議会は、区長決定について知らされて
いません。

区長決定は、議会に報告されることもほとんどなく、結果
として、議会は、行政に白紙委任するというのがこの条例の
構成になっています。