大田区のアスベスト被害者救済の課題

死亡小票の保存年限などから

アスベスト新法が改正され、アスベストによる中皮腫や肺がんにかかった方やそのご遺族で労災による補償を受けていない方への給付の請求期限が、平成24年3月27日までに延長されることになりました。

 アスベスト新法では、労災で補償されないアスベスト被害者に対し、アスベスト新法で救済してきましたが、申請数が少なく、期限を延長しています。

 そのため、環境省は、昨年、環境再生保全機構を通じて、未救済遺族の把握と救済制度の周知を全国の自治体に委託しています。3月初旬には、結果が公表される予定です。

 大田区でも、30名の調査対象者を「死亡小票」で確認しましたが、確認できたのは8名うち2名は申請済みでした。今後、申請できていない6名の方への救済が急がれます。
 また、残り28名は、死亡小票を廃棄しているため、さかのぼることができませんでした。

 「死亡小票」とは、統計法による「人口動態調査死亡小票」のことで、亡くなった方の居住地や死因などを記録しています。統計法に基づき収集した個人情報は、目的外の利用が厳格に制限されていますが(統計法第15条)平成19年に「保健医療行政に必要な基礎資料を得るため」であれば、利用できるようになっています。

 アスベスト被害者救済のために活用している「死亡小票」について厚生労働省は自治体に三年間の保管を義務付けていますが、大田区は厚労省の定めに従い保存年限が3年のため、それ以前の死亡小票での確認ができませんでした。
 
 アスベストは、ばく露して(吸い込んで)から発症するまでに数十年と長い時間がかかることから、これまでも
①建築図面の長期保存
②改修・解体記録の長期保存
を求めてきました。
 死亡小票の保存についても、長期間の保存が必等でしたが、廃棄されてしまったことは、非常に残念です。厚労省の死亡小票保存年限3年も、最近決めたことであり、その根拠に疑問が残ります。

 神戸市では、阪神・淡路大震災後の建物解体などで飛散したアスベスト(石綿)による健康被害の懸念もあり、「死亡小票」の保存期間を、国の規定よりも延長しています。
 震災の建物の倒壊・解体による影響は、日常の建築物解体にもつながるもので、神戸市だけが延長すれば良いものではなく、大田区においてもまた全国の自治体においても長期保存が必要です。

 大田区でも、平成19年から死亡小票はデータ保存となっているため、紙で保存していた時期に比べ、保管場所も要さないため、長期保存も可能なはずです。


なかのひと