大森南の土壌アスベスト処理1400(立方メートル)に2億4千万円をかけて大田区がしたかったこと(その①)

不十分な調査と中断失敗を活かせない体質/遅すぎる判断

 大田区が大森南のアスベスト処理を工事途中で断念したことは、2月7日に報告していますが、今回の補正予算により、アスベスト処理にかかった費用が2億4350万円であることが判明しました。

 当初より、私は問題があると指摘してきましたが、それが証明されたかたちです。

 執行上の問題点について4点指摘します。

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 今回の補正予算に、大森南の出張所移転改築用地の土壌処理及び既存杭対策工事の追加による改築工事費の減として4千万円。土壌アスベスト置換工事の契約変更に伴う減として2億1903万1千円が計上されています。

 昨年の第二回定例会において計上したアスベスト処理費用が、2億4350万円になったということです。

 大田区は、この土地を2004年に産業支援で活用するとして取得しました。その後、2008年に利用目的を一部変更し、大森東特別出張所の移転先として活用することになりました。しかし、「掘り始めてみたら、当初予測していたより大量のアスベストが土中にあった。残りの部分も行うと多額の費用がかかる」というのが今回の工事中止の説明です。

 私は、昨年の第二回定例会において土壌置換工事費用が計上されたときから、一貫して、この工事には問題があると指摘してきました。今回の、工事中止によって、私の主張が正しく、結果、区が判断ミスをしたことが証明された形になりました。

 改めて、土壌置換工事に関わる今回の執行上の問題点について4点申し上げます。

 一つ目は不十分な調査と中断・失敗を活かせない体質です。

 大田区は、3600㎡という広大な土地のわずか28か所のボーリング調査結果をもとに、アスベスト土壌の置換工事の判断を行いました。調査を行った10mメッシュ(一部5m)では土の中の様子はわかりません。
 置換工事を始めた直後の昨年10月22日、23日。新聞にも取り上げられ飛散防止策をとらずに掘削した事故も、たまたま、ボーリング調査を行った場所からアスベストが検出されていなかったため業者が独自に判断して土を掘り返したのが原因でした。その際にも、「10mメッシュの間がどうなっているのかわからない。掘り起こしてみたら、アスベストが大量に出てくることはありうる」と大田区に申し入れています。
 
 区は、土中アスベスト状況を十分に知ることができず、また、知ろうとせず、中断という最悪の選択に追い込まれました。果たして、事前調査は十分だったと言えるでしょうか。
事故による工事中断という異例の事態に陥りながら、なぜ、その経験を十二分に生かすことがでず中止に追い込まれたのでしょうか。

 二つ目は判断が遅すぎるということです。

 一方で、区は、大森東出張所建設地に加え、産業支援予定地部分まで一部、土壌置換を行っています。区は、産業支援施設設置を中止するとしていますが、産業支援施設予定部分の処理土壌672㎥の土壌処分費用1億1499万円は無駄にするのでしょうか。

 さらに言えば、出張所の掘削を始めた当初12月初旬の時点で、予想を超えるアスベスト混入土壌の処理を行わなければならないことは予測し得たはずです。本来の土地取得目的は、あくまで産業支援であり、土地を利用目的に分けて処理する判断もどうかと思いますが、遅くとも、出張所建設予定地のほとんどの処理が終了していた12月半ばには、判断できたはずです。

 その時点で、いったん工事を中断し、議会に報告するとともに土地活用を検討できたのではないでしょうか。

 判断があまりにも遅く、結果として、誰も責任をとることなく不要なアスベスト処理費用を投じることになっています。


なかのひと