大田区こそが発言すべき都や国へのアスベスト対策とは

アスベスト入りの砂利が公共工事や民間駐車場で使われないために④

■東京都に対し要望すべきこと■
 2003年の都市計画審議会において城南島スーパーエコタウン内の建設リサイクル施設の都市計画決定について諮問されました。当時委員だった私は、この建設廃棄物のリサイクル施設内にアスベストの使用されている建築廃材が運び込まれる可能性を指摘していますが、区は、アスベストは運び込まれないことになっているという非常に甘い認識でした。施設稼働後の2005年に、私が視察したところ、現場では混入したアスベスト製品を手で取り除く作業を行っていました。このことを2005年の第三回定例会において当時の西野区長に指摘したところ、「アスベストが入らないとは断言はできない。」と答弁を覆しました。そのうえで、産業廃棄物施設の認可を行った東京都に指導するよう強く言っていくべきであり要請をしていこうと考えるとも答弁しています。それでは、大田区は、東京都に対してこれまで何をしてきたのでしょうか。区の認識と対応の甘さの結果アスベストの混入している再生砕石を大田区の工事現場で使用することになってしまっていないでしょうか。

 大田区には、東京都が認可している規模の大きな産業廃棄物処理施設が数多くありますが、3000平米未満であることを理由にこれまで、環境アセスメントを逃れてきています。地元自治体として、東京都に対し、建設廃棄物リサイクル施設へのアスベスト建材の搬入防止の徹底とアスベスト飛散防止措置の強化やアスベスト濃度の測定を要望していくべきではないでしょうか。納得のいく安全策が講じられないのであれば区民の健康と命を守る責務として大田区はエコタウン外からの購入も含め、公共工事に使用する再生砕石使用を控えるべきであると考えますがいかがですか。

■国に対し要望すべきこと■
 国は、この問題について、9月9日に国土交通省・環境省・厚生労働省の三省合同で「分別解体の徹底」「関係法令の遵守」「ばく露防止対策」の徹底などについての通知を行っています。
 ちょうどその日、私は、この問題について、中皮腫・じん肺・アスベストセンターと市民活動グループなどとともに、内閣官房長官、環境大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣、経済産業大臣に要望書をとどけるため国会に行っていました。

 以下は、その際提出した要望書の一部です。
 現行の建設リサイクル法はアスベストが混ざっていようが廃棄物処理施設が受け取ってくれればよいという法律で、労働安全法は労働者の安全衛生が確保できていればアスベストが周辺に飛散しようが関係ない。大気汚染防止法は建築物の解体などにおいて、レベル3のアスベストについてはいくらアスベスト粉塵が発生するような方法で解体してもよく、また、再生砕石に混入してもかまわない。廃棄物処理法はアスベスト建材の破砕は禁じているものの、実態としては野放しという状況にあります。ところが、この間、関係省庁はそれぞれの所管する法律の不十分さを認めながらも、自分の省庁だけで対応する問題ではないと主張し、具体的な対応を検討してきませんでした。つまり、関係省庁の枠を超えた対応が必要な事案なのです。

 ここまでが要望書ですが、
 現在のところ、国の通知文からは、その対策を自治体にまかせるばかりで、法の不備について何ら対策をとる気配がありません。

・首都圏の建設廃棄物のリサイクルを担う自治体として大田区がすべきこと
 大田区は、産業廃棄物処理施設を多く抱える首都圏のいわば建設廃棄物リサイクルを担う自治体です。国の認識の甘さや法整備の遅れにより、「再生砕石」を流通させるという最悪の事態を招いていますが、アスベストの混入した再生砕石を使用し飛散事故を起こした時区民から責任を追及されるのは大田区です。今こそアスベスト建材のリサイクルによる弊害を被っている大田区が、これ以上、区民の健康や生命を害することの無いよう、国に対して法整備を行うよう文書で強く訴えるべきと考えますがいかがでしょうか。 


なかのひと