都営下丸子アパート「スーパーリフォーム」と「飛散性アスベスト」

大田区下丸子の都営アパートのスーパーリフォームが予定されています。

都営下丸子アパートの住戸の天井には、飛散性アスベストである「ひる石」が使用されていますが、東京都の示している対策は「封じ込め」(ボードで天井を囲い中にアスベストを閉じ込めるもの)です。

天井にある飛散性アスベストを封じ込めるためには、天井にボードを張る必要がありますが、天井に釘などを打ち込めばアスベストが飛散することになるため、部屋の4つの辺でボードを支えなければなりません。

この問題については、過去にも取り組んでいますのでこれまでの記事を参考にしてください。  ①都営住宅のひる石(アスベスト)囲い込み工事2006年12月18日記事 ②都営住宅の天井吹き付け材(ひる石)含有調査結果と対応2007年1月10日

現実に重いボードを6畳の部屋の四辺で支えることは不可能で、心配に思った蓮根にある都営アパートの工事を確認しに行ったところ、法律で定められている飛散性アスベストに求められる飛散防止策もとらず、天井に釘を打ちつけ工事が行われていたことが判明しています。

特に、今回の下丸子都営アパートの場合、スーパーリフォームの間、住民が転居を余儀なくされることを考えれば、封じ込め工事ではなく、除去してしまった方が、いずれにしても解体時にはアスベスト除去したうえででしか、解体できませんので、2度手間をかける必要も無く、トータル費用も安くつきます。

今回、東北沖太平洋地震では、建物の倒壊によるアスベストの飛散が問題になっていますが、封じ込めていたのでは災害時のアスベスト飛散のリスクは残ったままです。

スーパーリフォームは、全員の合意が無ければ行うことができませんが、現在、東京都は住民に対してスーパーリフォームの前提にある天井の吹き付けアスベストの対処についても、また、公示期間中の住民の移転先についても十分な説明を行わないまま、工事の同意を取り付けようとしています。

次回の説明は4月27日で、一家族当たりの説明時間は10分にもなりません。最終的な意思表示は5月13日ですが、現在の時点では、それまでの間に全体説明会も行われません。

都営住宅の維持管理の責任は東京都にありますが、住民への説明は、都から指定管理を受けている東京都住宅供給公社にまかせ、東京都は住民への説明会の場にもでてきていません。

現在の都営下丸子アパートは、排水設備も十分整っていないなど、スーパーリフォームによる住環境改善は歓迎されるべきことですが、移転先には現在の場所を遠く離れた東京都西部も含まれるなど住環境が大きく変わることも読み取れる説明会資料でありながら、丁寧な説明も無く合意を取ることを優先にスーパーリフォームが行われるなら大きな問題です。

毎日新聞記事:東日本大震災:南三陸町のアスベスト状況を市民団体が調査

(写真はアスベストの件について一緒に活動している永倉事務局長)

http://mainichi.jp/photo/archive/news/2011/04/10/20110411k0000m040084000c