ろう学校と日本手話

人権救済申し立て

 ろう学校で使う言葉は何だと思いますか?
 
 「手話」
  そう思いますよね。ところが、違うのです。ろう学校では、主に、口の動きで言葉を読み取る口話と日本語対応手話で教育がなされています。
 
 「日本語対応手話」
 また、聞きなれない言葉ですよね。実は、手話には、日本語対応手話と独自の文法を持つ「日本手話」があります。日本語対応手話の文法は、日本語と同じです。話し言葉に対応して手を動かしていくことで、コミュニケーションをはかります。それに対して、日本手話は、それ自体が、一つの言語として文法を持っています。ろう者にとっての母語は「日本手話」なのです。

 5月27日ろう学校の生徒とその親107名が、
『現在のろう学校の教育は、口話教育が主流である。子どもたちはその方法では理解できない。独自の文法を持つ日本手話で授業をしてほしい』と日本弁護士連合会を通じて、人権救済の申し立てをしました。

 私の友人の子はろうです。
 以前みたドキュメンタリーフィルムに出てくるろう児の親が、子どもに人口内耳をつけることを選ばなかったのが、どうしても理解できなくて、そのことについて質問をしたことがあります。
 その時に
    ◎ろう者の母語は日本手話である
と聞いて、目からうろこが落ちたような気持ちになりました。
 それは、私が、子どもに第2外国語として英語を学ばせようとした時に、母語をしっかりと身に付けさせなさいと言われていたからです。日本語がちゃんとしていない人が、英語を身に付けることはできない。それは、ごくごく当たりまえのことです。
 
 ろう者は、音声からではなく、手の動きで表現するわけですから、聴者と異なった言語表現になって当然です。言語は文化です。ろうにはろうの文化があるのです。
 
 これまでの教育は、ろう者を聴者に近づけるため、口の動きを読み取り、発音の訓練をする教育でした。しかし、ろう者は聴者にはなりません。

★「勉強がわからないのではなく、何を言っているのかわからない」
★「(日本手話を使って)夢や意見を言いあって友だちといっぱいおしゃべりしたい」

 ろうの子どもたちの声にこたえてあげたいと思います。